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「体罰」は実は抜本的で、効果的な対策である

 今、「現行法で許されている範囲内には」と言った。

 では、「現行法」という(かせ)を外して考えるのであれば、こういう「荒れたクラス」を鎮める方法は存在するのだろうか。

 結論を言うと、ある。というか、非行や校内暴力、学級崩壊といった問題が華やかであった頃に小中学校生活を送った方々は、皆すぐ「ああ」と思い当たられるのではないだろうか。

 騒ぐ生徒に、体罰を加えるのである。

 「率先してやりたい放題する子」は、なぜ教師・講師から何度注意されてもその行動が改まらないのか。

 その理由は二つ挙げられる。

 今まで好きなことを好きなだけやってきたのに、なぜ今好きなことをやっていけないのか、その理由がよく分からない、というのが理由の一つ。そして、今まで保護者や教師から山ほど「言い聞かされて」きたため、その「教育」手段に慣れきってしまい、どれほど「言い聞かされた」ところで、(短期的・直接的な)自分の不利益にならないと経験的に知ってしまっている、というのがもう一つの理由である。

 まとめると、

「大人がなにかウザいこといってるけど、そんなの知ったことか。僕・私は今、これがやりたいんだ!いくら何か言われたって、そんなの無視無視。別に痛くもかゆくもないんだから、言いたいだけいわせておけばいい」

とまあ、大体このようなことを、意識的に、あるいは無意識に考えているのである。 

 体罰は、この「子どもの(おご)り」を粉砕する。

 子どもは一般的に、洞察力の未熟さゆえに、間接的・長期的不利益には鈍感だ。だが、その分、自分の直接的・即時的不利益には極めて敏感である。

 社会的に許されない行動をした途端、バシッとひっぱたかれ、痛い目に遭った上、大声で怒鳴られた、となると、驚愕や恐怖を伴う強い「印象」が心に残る。この「印象」が、子どもの次の「やりたい放題」を抑制する歯止めとなるのである。

 この体罰という手段は、本当に効果的だ。

 かつて私は都下でも相当荒れていた公立中学で中学校2,3年時を過ごしたが、甘い先生の授業時にはふざけて大声を上げたり、堂々とゲームに興じていたりした生徒が、こと「怖い」先生の授業ともなると、きちんと着席し、口をつぐんで、しっかりと授業を受けていた――少なくとも余計な私語で授業を妨害することなどなかったことを、今も記憶している。

 また、私は以前、某有名受験塾で非常勤講師として勤務していたのだが、その頃、講師の間で「あのクラスは、成績はいいがどうしようもない。そのうちみんな成績がた落ちになる」と顔をしかめられるほどひどい状況のクラスを担当したことがあった。実際初期のこのクラスは、誰かを注意したら他の誰かがしゃべり出し、またその子を注意すると他の誰かが大声で叫ぶという、無間地獄のような末期的様相を呈していた。が、私が担当となった後、適度な体罰と怒鳴りつけを組み入れた授業を展開したところ、少なくとも私の担当教科に限っては、授業はスムースに進み、成績が低下することもなかった。

 体罰には百害あって一利なし、なにがあっても決して行ってはならない、という神話の元で育った若い世代の方々には、信じられないことのように思われるだろうが、体罰はこのように、やりようによっては実に効果的な教育手段となり得るのである。

 だが、くり返して言うが、現在ではこの「体罰を組み入れた教育」は、ほぼ不可能である。

 「はじめに」でも述べたが、2020年改正の児童福祉法により、体罰は法律違反であり、罰則の対象となると、明確に定められてしまったからである。

 それだけではない。この改正児童福祉法は、子どもを怒鳴りつけることも、厳しく注意することも虐待の一種であると定めている。教育に従事する者に許されているのは、児童本人や周囲に危険が及ぶ可能性がある場合、その身体を傷つけないように拘束して保護すること、および、児童が犯した「社会慣習に反する行為」に対し、なぜそれがいけないのか、理性的に言い聞かせることだけだ。

 すなわち教師・講師は、たとえ生徒が他の生徒をいじめているところを目撃したとしても、その手を押さえ、優しく言い聞かせる以上のことはできない。誰かの悪口を言っていたとしても、その悪口をやめるように言い聞かせることしかできない。生徒が授業中に教室を出て行くのを――身体的な危険がない以上――肩を押さえて止めることもできないし、騒ぎ出しても優しく言い聞かせることしかできない。さらに言うと、生徒が教師・教師の立場にあるに対して暴力をふるってきたとしても――その行為が明白に「危険である」と認知できるものでない限り――「やめなさい」と口頭で理性的に注意する以外、なにひとつ効果的な抑止行動ができない。もしそれ以上の「しつけ」をしたことが事実認定されれば、児童虐待犯とされ、刑事罰を下されてしまうのである。

 これでは、学校や塾に「教育効果」を期待できるはずもない。

 昨今小学校における校内暴力案件がうなぎ登りに増えているのも、うなずける話である。

 


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