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第一章 「子どもを守れ」が子どもをバカにする ――現在の教育機関の現状

 文部科学省が発表した資料である『文部科学省中央教育審議会初等中等教育分科会資料2-2』では、「学校は、全ての子供が自立して社会で生き、個人として豊かな人生を送ることができるよう、その基礎となる力を培う場であり……(以下略)」と定義されている。

 ネットで検索をかけても、「学校とは、教師が児童・生徒・学生に対し、計画的・集団的に教育を行う、教育制度の中心的な役割を果たす機関であり……(以下略)」といった感じで、大筋は文科省の教育審議会と同じ見解であることが分かる。

 すなわち、学校とは「子どもに教育を授ける場である」という見解である。

 極めて妥当な見解だ。これについて、「いや、学校とはそんな場ではない!」と声を荒げる人は、まずいないであろうと思われる。

 ところが、である。

 学校のこの「教育を授ける機関」としての機能が、昨今著しく低下している、との声がある。

 あくまで現場の声でしかないのだが、文科省で定められた小中学校各学年時でこなすべきとされているカリキュラムのうち、こなしきれずに残ってしまう割合が、年々増加している、というのである。

 教育機関として中心的な役割を果たすべき学校が、その役割を果たしきれなくなっているのである。

 このように書くと、教師の質の低下を嘆いたり、文科省の教育課程のおかしさを指摘したりする人もいるかもしれない。が、根本的な原因は、おそらくそうではない。

 なぜそう言えるのか。

 その理由は簡単だ。

 主に学業面で学校を補い、生徒の学力を上げる役割を担う学習塾や予備校も、近年どんどんその機能を果たせなくなっているからである。

 つまり、こういうことだ。

 あなたが子どもさんの学力を伸ばしたいと思い、学習塾に入塾させたとする。

 初めのうちはもちろん、成績は伸びる。塾へ通わせていないときと比べると、学校の成績もやや上昇する。ああやっぱり塾に行かせてよかったと思っているところへ、入塾して最初の模試の成績表が返ってくる。

 それによると、学校の成績は伸びたのに、塾内での成績はどうも思わしくないようだ。だが、今までところ順調に成績が伸びてきているのだから、この先も同じ調子で成績は伸びていくはず、塾内での成績もさらに上がるはずだと考え、そのまま通わせ続ける。

 ところが、である。

 次の模試でも、その次の模試でも成績は横ばい。

 学校の成績も、はじめこそ伸びたが、その後はずっと変わらない。ましてや塾での成績は言わずもがな。ずっとぱっとしないままだ。

 このままだと志望校への入学など夢のまた夢、なんとかしなければと、保護者であるあなたはあせり始める。

 だが、当の生徒はのんびりしたもの。大丈夫だよ、すぐにこれくらい挽回できるから、と自信満々である。そんなんでどうにかなるはずもないと、仕方なく隣について一から勉強を見てやるようになるが、それでもやっぱり成績は伸びないまま。

 結局、そのまま受験へとなだれ込み、結果は惨憺たるものに終わってしまう……。

 これが、近年の学習塾で非常によく見かける光景なのである。

 いくら評判のいい塾に入塾させようとも、伸びるのはほんのしばらくの間。それ以降は、一切成績が伸びず、結局のところ、入学を希望していた学校への合格など夢のまた夢、結局、バカにしていたレベルの学校に合格するのがやっとというのが、学習塾の現実なのである。

 ちなみに、成績が伸び悩む原因を、塾の教え方や雰囲気が合っていないせいだとか、テキストがよくないせいだ、などと考えて、転塾を繰り返したりする方もいらっしゃる。が、それも効果があるとは言えない。というか、はっきり「無駄な努力だ」と言い切ってしまってもいいだろう。

 成績が伸びない真の理由は、他にあるからである。

 ではその、学校でも塾でも、子どもの成績が伸びず、必要な学力を身につけられないままとなってしまう真の理由とは、一体なんなのだろうか。

 


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