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政府は「家庭でのしつけ」をどうとらえているか

 前にも述べたが、政府は2020年4月一日施行の児童福祉法等の改正法において、教育関係者はもちろん、両親をはじめとする保護者がしつけを行う際の「体罰」「暴言」「怒鳴りつけ」等を全て虐待として法的に禁止した。これを受けて厚生労働省は、「体罰等によらない子育てのために」などの文書により、保護者の意識改革をしようとしている。それらの文書によれば、「子どもは尊厳を有する人権の主体であり、叩く等の行為は人権侵害」として許されないが、「ただし、罰を与えることを目的としない、子どもを保護するための行為(道に飛び出しそうな子どもの手をつかむ等)や、第三者に被害を及ぼすような行為を制止する行為(他の子どもに暴力を振るうのを制止する等)等は、体罰には該当しない」ということである。

 つまりは、自分や他人に被害を及ぼす行為以外、子どもを直接触れてはいけないし、また、子どもがどのようなことをしようとしていても、怒鳴ったり、叩いたりしてはいけない、ということになる。

 では、一体どのようにしてしつけをするのか。

 それについて、同文書では

 ①子どもの気持ちや考えに耳を傾ける。

 ②「言うことを聞かない」としても、重要なことでなければ今はそれ以上やり合わない。

 ③子どもが身の回りのことをできるようにサポートしたり応援したりする。

 ④子どもの状況に応じて、身の周りの環境を整える。

 ⑤注意の方向を変えたり、子どものやる気に働きかけてみる。

 ⑥肯定文でわかりやすく、時には一緒に、お手本に鳴るよう行動する。

 ⑦良いこと、できていることを具体的に褒める。

 等の具体的方法を挙げている。

 これらから考えて、厚生労働省は子どものしつけに関して、三つの大まかな方針を立てていることが分かる。

 まず一つ目。子ども周囲の環境を整え、子どもが生活しやすくしてやること。子どもが楽に生活できるようになれば、大人がいちいち目くじらを立てて怒らなくてもすむだろう、という発想であろうか。

 次に二つ目。子どもの言うことをよく聞いて、子どもの機嫌や「やりたいこと」に大人が合わせてやるようにすること。子どもの意見を尊重してその通りにしてやれば、子どももおとなしく行動するに違いない、との考えに基づくものだろう。

 そして、三つ目。子どもを叱るときには、まず子どもの言い分をよく聞き、声を荒げずに冷静に教えさとし、時には注意を諦め、子どもができるようになったら褒めてあげること。あくまで虐待にならないよう、子どもを傷つけないようにするべきである、という考え方である。

 さて、このようにまとめるとおわかりになるかと思うが、この三つの方針のうち、前二つは「子どもを叱る機会をできるだけなくす方法」であり、子どもを叱る時の具体的方法ではない。子どもが家庭内で「悪いこと」「いけないこと」をしたとき、どのように向き合うか、ではなくて、「悪いこと」「いけないこと」の数をできるだけ減らす方法である。

 これら「子どもの前に立ち塞がる障害を極力減らす方法」は一見合理的に見えるが、実は相当な問題をはらんでいる。

 だが、この章で問題にしたいのは「家庭内の子どものしつけ・教育方法について」だ。なので、これら「問題を減らす」方法がなぜ問題なのか述べるのは第3章に譲り、この章では、厚労省が「子どもの具体的な叱り方」として示しているたった一つの方法――すなわち、「子どもを叱るときには、まず子どもの言い分をよく聞き、声を荒げずに冷静に教えさとし、時には注意を諦め、子どもができるようになったら褒めてあげること」という「叱り方」――について、「なぜこの方法だけではしつけが成立しない可能性が高いのか」を述べていきたい。




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