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第六部「異なる岸の記録」 213 三つの扉

船上で寄せ合っていた荷を、今度は別々の部屋へ運ぶ。

扉が三つあれば、閉じる音も三つある。

四人は、それぞれが休む場所を初めて見る。

荷を移した四人のところへ、船側の係員が戻ってきた。

「お部屋へご案内します」


ジュリアは包みを抱え、エリゼーたちのあとに続いた。


階段を下りると、岸の声が遠くなる。

代わりに木の匂いと、閉じた場所のひんやりした空気があった。


旅客用の通路に、三つの扉が並んでいた。

係員は手前の扉を開けた。


「こちらが一人用です。隣も同じく一人用。奥が、お二人で使っていただける部屋になります」


誰もすぐには荷を下ろさなかった。


エリゼーがハインツを見た。

彼も彼女を見て、それから奥の扉へ目を向けた。


「僕と、エリゼーが一緒でいい?」


ハインツは三人に尋ね、最後にエリゼーへ顔を戻した。

「君が、よければ」


エリゼーの返事までに、短い間があった。

「ええ。私は、それでいいわ」


ジュリアは頷いた。


旅費の上の呼び方が二人の関係を決めたのではなく、今、二人が決めたこととして聞いた。


ヘルマンは手前の部屋を覗いた。

「僕は、ここでもいいかな」

「では、私は隣を」

ジュリアが答えた。


ヘルマンの部屋には、壁に沿った寝台が一つあった。

小卓は床に固定され、その脇に椅子が一脚ある。


荷棚は肩より低い位置にあり、寝台に座ったままでも手を伸ばせそうだった。

狭い船窓から、岸の明るさが四角く差し込んでいる。

誰かが卓の前に座れば、もう一人は体を横にして通ることになる。


「ここに、荷を置けばいいんですね」

ヘルマンが棚を指した。


係員は留め具の使い方を見せた。

揺れても戸や荷が勝手に動かないよう、閉めたあとに確かめてほしいという。

ヘルマンは自分でも一度開け閉めした。


隣の部屋へ入ると、ジュリアはまず小卓を見た。

こちらでは窓の光が横から入る。


寝台は壁際、小卓はその足元に寄せてあり、机に向かうと扉が視界の端に入った。

書類を収められる小さな収納にも留め具が付いている。

ジュリアは包みを卓へ置きかけ、まだ何も確かめていないと思って腕へ抱き直した。


「使いにくそう?」

エリゼーが尋ねた。

「いいえ。どこに置こうか、考えていただけです」


答えながら、ジュリアは少し笑った。

全部、自分で決められる部屋だった。


それが気楽であることと、誰かに一度見てもらいたいことが、同時にあった。


奥の二人部屋は、少し広かった。

両側に低い寝台が一つずつあり、間には二人がすれ違うには狭い床が残っている。

船窓の下に小卓があり、寝台の下には荷を収める場所があった。


覆いの付いた灯りが壁に固定されている。

一人が寝返りを打てば、もう一人にも衣擦れが聞こえそうだった。


ハインツは右腕をぶつけないよう、扉を通った。


「上り下りしなくて済むね」

寝台を見て言うと、エリゼーも頷いた。


「どちらを使う?」

「右腕が壁に当たりにくい方がいい。少し、座ってみても?」

「もちろん」


彼は片方の端へ腰を下ろした。

足を床に置き、肩を少し動かす。


エリゼーはその間、もう一方の寝台の足元に立っていた。

自分の場所になるはずなのに、まだ客のように触れずにいる。


「ここがいい」

ハインツが言った。

「じゃあ、私は向かいね」


係員の説明が終わると、ヘルマンは自分の荷を持ち上げた。


「あとで、食事のときに」

「ええ」

エリゼーが返した。


ジュリアも通路へ戻った。


三つの扉が、今度はそれぞれ違う意味を持って並んでいた。

隣にいると分かっていても、閉じれば顔は見えなくなる。


自分の部屋へ入る前に、ジュリアは奥を振り返った。

エリゼーがハインツへ何か尋ねていた。


声の内容までは聞かず、ジュリアは扉を静かに引いた。

四人の荷は三つの部屋に分かれました。

近くにいることと、同じ部屋で過ごすことには違いがあります。

それぞれの扉の内側で、船の暮らしが始まります。

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