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第五部「交易都市編」第五幕「港、決断、出航前の乗船」 206 閉じた包み

結び目は信頼の印ではなく、あとで自分が開けられるという約束にもなる。ジュリアは預けることと確かめることを、もう対立させまいとする。


ジュリアの包みは、布の端が少し擦り切れていた。


旅に出たころはもっと固く結んでいたはずだ。


街道の埃を浴び、雨の日に濡らさぬよう懐に入れ、何度も中の紙を確かめた。


それでも、包みを開くたびに失われる何かより、開かなかったために忘れてしまうことの方が気になるようになった。


クララが示した受渡しの控えは、簡潔だった。


荷の内容を詳しく書きつけるための紙ではない。

とりわけ記録係にとって、荷物の受渡しを示す控えと、誰かが身元を伏せて預けた言葉の記録は、同じ種類の紙ではなかった。


前者のために後者をむやみに開くことはできない。

二つの役目が違うからこそ、どちらの確認も曖昧にしたくなかった。

何を預かったかを本人と照合し、預かったことを互いに確認するためのものだという。


ジュリアはそこをもう一度読んだ。

昨日前までは、預ける人の名前がなくなるのではないかと感じていた。

今日は違う。


名前を書けばすべてが守られるわけではないが、書かないために困る人もいる。


正式に業務命令を受けた今、なおさらその区別は大切だった。


港で扱う手荷物の確認と、教会任務の記録や情報提供者の身元を誰に見せるかは、別の判断である。


次に受け取る初期費用の信用証券にも、情報源の秘密を書き添える理由はない。


「これは私の筆記の包みです」

彼女はクララへ見せた。


「誰かの証言を勝手に開示するようなものは入っていません。でも、自分で扱ってきたものなので、渡すなら確認したいんです」

「分かりました」


クララは包みの外側を見て、そこで手を止めた。

中を見せるよう求める必要があるかどうかは、種類に応じて確かめることだという。

「見せなくていい、という意味ではありません。理由のある確認ならお伝えします」

ジュリアは頷いた。


何も聞かれないことだけが尊重ではない。

尋ねる理由があり、答えを拒む余地がどこにあるか説明されることも、尊重の一部なのだ。


窓口の奥で、マルセルが別の荷の相談をしていた。


太い声が二度聞こえ、それから笑い声がした。

人の仕事には、こちらの知らない手順が幾つもある。


そのすべてを疑うことと、確かめたいことを確かめることは違う。

彼女は以前、その違いをうまく言えずに、相手も自分も傷つけたことがあった。


「お預けになるものについては、この段階で仮の確認をし、実際の受渡しの際には改めて照合します」

クララは言った。


「書いてある以上のことが決まったわけではありません」

「そういう書き方なら、納得できます」


「私も、あとから困る人を減らせます」

クララは少しだけ笑った。


先日、説明不足を認めた顔とは違う。

何かを乗り越えたというより、同じ仕事を続けていく顔だった。


ジュリアは自分の包みに目を落とした。


布をほどき、紙の角を確かめ、筆記具を戻した。

結び直すと、今度は結び目が緩すぎる気がした。

そんな自分を、もう笑うことはできた。


「何度でも確認していいですよ」とクララが言った。

「仕事が増えませんか」

「増えます。けれど、間違ったまま預かるよりは」

二人は短く笑った。


窓口を離れる前、ジュリアは控えをひとりで見返した。

係員の筆跡は自分のものと違う。

見慣れない文字の傾きに、他人の仕事へ自分の荷を預ける感覚が少しだけ具体的になった。


そこに恐れが残っていることを、否定する必要はないと思った。

ただ恐れだけを理由に相手の仕事を疑うのも、公平とは言えない。


旅舎へ戻る途中、エリゼーが「それで、どうしたの」と尋ねた。

ジュリアは包みを持ち上げた。


「預ける必要が生じたら、渡すときに確かめます。自分が何に同意したかも残しておきます」

「信じられるようになったのね」

その言葉には少しだけ、願いが混じっていた。


ジュリアは歩幅を緩めた。

「確認しなくなることが信じることなら、私はまだ違います」

「そうね」

エリゼーはすぐには答えず、やがて言った。


「私は、信じると言えば、自分の不安が消えると思いたかったのかもしれない」


二人は肩を並べて歩いた。


港の水は、昼近くの光を細かく返している。

その表面を見ただけでは、水の下にあるものが分からない。


だからといって、すべてを掬い上げることはできない。

ジュリアはその不確かさを、自分の仕事と結びつけずにはいられなかった。


「本当は、記録を持っていくことも少し怖いんです」

ジュリアは言った。


「なくすことが?」

「なくすことも。持っているだけで、何かを知った気になることも」

エリゼーはゆっくり頷いた。


誰かの言葉を預かることは、その人を持ち運ぶことではない。

二人は同じ答えにたどり着いたわけではないが、同じ問いを見ていた。


夜、ジュリアは包みを枕元に置いた。

正式な受渡しが必要になるのは、もう少し先のことだ。


それでも今日、確かめられることを確かめた。

包みは依然として閉じている。


閉じているから何も起こらなかったのではない。

開くべきところを開き、閉じておくべきところを自分で選んだのだ。

手荷物の仮確認と、実際の受渡しを区別して描きました。

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