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第五部「交易都市編」第一幕都市の人口と異なる価値観 128 広場の影

誰にでも開かれた広場に、誰もが同じ理由で集まるわけではない。

ヘルマンは自分が人に見せてきた街の姿を疑い始める。


楔形広場は明るかった。


昼前になると石の敷き目が白く光り、日差しの当たる側に品物を並べた店が次々と開く。

旅人が最初にここを見るなら、この街を豊かな場所と思うだろう。

ヘルマンもそう説明しようとしていた。


「いい場所でしょう」


口にしたとき、近くの柱の陰に座る男が視界に入った。

男は働いていないのではない。

何かを待っている姿勢だった。


掌に少し傷があり、足元には畳んだ布袋がある。


「何を待っているんだろう」


ハインツの声を聞き、ヘルマンは答えようとした。

「仕事の呼び手かもしれない」

男は顔を上げた。


遠くから荷車が入ってくると腰を浮かせ、何も呼ばれないと戻る。

立ったり座ったりする動きが、一日を小さく刻んでいる。


通りの反対側では、仕立物の店主が戸口へ腰掛け、往来を眺めていた。

あちらも働いていないように見える。


ただ店主には店という戻る場所があり、柱の陰の男には仕事がなければ留まる理由さえなさそうだった。


「ここは誰でも休めるの?」とジュリアが尋ねた。

「たぶん」


ヘルマンは自分の曖昧さが嫌になった。

「休むだけなら、そう見える。

でも、ずっとここで待っていられるかどうかは……違うかもしれない」


四人が少し離れたところで水を飲んでいると、男に仕事を頼む声があった。

呼ばれたのは隣にいた別の者だった。


断られた男は立ち上がりかけ、すぐに座った。

彼は腹を立てた表情を見せない。

そのことがヘルマンには、かえって辛く感じられた。


助けを差し出すべきだと思った。

だが何を渡すのか分からない。


金銭を渡すのは親切かもしれないし、目の前の人を勝手に憐れむことにもなる。

ヘルマンは昔から、道を知らない者へ道を教えることを得意としていた。


今度は、教えてほしい道を相手が尋ねていない。

エリゼーが

「ここから見えるところだけで判断しないほうがいい」と言った。

彼女が誰に向けて言ったのかは分からない。

自分自身を戒めたのかもしれない。


「じゃあ、少し離れよう」とハインツが言った。


それにも迷いがあった。

見守るつもりで立ち続ければ、男は見物される。

立ち去れば、苦しみを見なかったことになるかもしれない。


広場を横切る途中、荷運びの男が彼らを追い抜いた。

先ほど陰に座っていた人ではない。

肩に縄の跡が食い込んでいる。

働いている者の顔も明るくはなかった。

ヘルマンは、仕事に呼ばれることが幸福だと思っていた自分の浅さを恥じた。


柱の陰へ目を戻したとき、若い男がラフィ……と声をかけていた。

二人は知り合いらしく、互いの肩を軽く叩いた。


だが話し終えた男は店のある方へ戻り、ラフィは同じ場所で待ち続けた。

友人がいることと、仕事があることは違うのだ。


ヘルマンは広場の中央に立つ石の標を見た。

あそこを指して「ここが街の中心です」と案内すれば、旅人は満足するだろう。

しかし中心に立っている者と、そこを仕事で横切るしかない者の違いを、彼はどう説明できるのか。


荷車の隙間から、広場を掃く年長の男が見えた。

人が多いほど、彼の掃いたところへすぐ泥が落ちる。


ヘルマンはこの場所を誰にでも開かれた広場と呼んだが、その「誰でも」の中へ、掃き続ける男を入れて考えたことはなかった。


男がほうきを立てると、人が通れる幅が一瞬広がった。

次の瞬間には、また誰かがそこを横切った。


「ここの広場は、何のために造られたんでしょう」

とジュリアが尋ねた。


「集まるため、だと思う」

とヘルマンは答えた。

「でも、誰のために集まる場所なのかまでは知らない」


エリゼーは店の軒に下がる布を見た。

布が揺れるたび、その下の売り手は光から顔を隠す。


柱の陰にいる男は、日差しを避けることはできても、仕事を選べるかどうか分からない。

何も話さずに座る姿が、この街の暮らしを知るための資料のように見えることが、自分には怖かった。


広場の入り口には石畳を修理している箇所があり、作業中の者が行き交う人へ回り道を示していた。

ヘルマンはその指示が人によって違って見えるのを知った。


荷車には大回りの道、足の速い者には細い道、重い包みを抱える者には石段の少ない道。

ひとつの広場に複数の通り方があるのを、彼は新鮮に感じた。


人を案内するとき、道の短さだけではない価値がある。


「私たち、見ているだけでいいのかしら」

とエリゼーが言った。


「何かしなければと考えるのも、僕らの都合かもしれない」

とヘルマンが答えた。


四人は正解を見つけなかった。


そのことが、いつも誰かを導く役目をしていたヘルマンには、ひどく新しかった。


日差しが動き、柱の影も少しずつ移った。

男はそれに合わせて座り直していた。

待つ場所さえ動かされるように見えた。


宿に戻った後で、ヘルマンは自分の説明を思い出した。

「いい場所でしょう」


何にとって、誰にとって。


それを付けずに人へ薦めることで、相手を知らないうちに一定の景色へ連れていく。


翌朝、広場へ行くことを提案するなら

彼はまず「何を見たいか」と聞こうと思った。


案内する者の仕事は、景色の良い方角だけを指すことではない。

広場の石は変わらず白いだろう。

けれど彼が見る影の形は、昨日とは違っているはずだった。

同じ場所を利用できても、そこに留まれる時間や理由は違います。

案内人ヘルマンが、明るい街だけを語ることの不十分さに気づく章です。


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