第二の転生
ん?あれ?俺、寝ていたのか?
杭……いや、標識になってから、こんなことは初めてだぞ?
意識が戻ってきた。
いつものように、街道の脇に立っている感覚――
……じゃない。ん?何だ?
やたら視界が開けている。
しかも、周囲の風景が全く違うぞ!?
さっきまで目の前にあった店もない。
街道もない。村の気配も遠い。
一体、何が起きた!?
落ち着け。落ち着け、俺。
まずは状況を確認しよう。
身体は……ある。
この感じは、木だ。
でも、杭じゃない。横に長い。
しかも――下に水の流れを感じる。
川?
まさか……俺、橋になったのか!?
木製の橋。
俺は今、川の上に架かっている。
……。
……マジか。二回目の転生をしたんだ!
杭から標識。
そして――今度は橋!
そういえば、神様は言っていた。
神力が必要量まで貯まれば、次なる存在へ転生できる。
ということは――俺は神力を貯めた。
だから転生したんだ!
「…………」
すごい。本当に転生できるんだ。
しかも、今度は橋。
杭の時は、ほとんど何もできなかった。
標識になってからは、道を教えることができた。
そして今度は――人が俺の上を歩く。
馬車が俺の上を通る。荷物を運ぶ商人もいる。
もっと多くの人の役に立てる。
そう考えると、なんだか嬉しくなってきた。
そして何より――俺はまた、別の場所で生きることになった。
あの村はどうなったんだろう?
あの猫は?あの親子は?
目の前の店は、今も繁盛しているのだろうか?
気になることはたくさんある。
でも、俺にはもう戻ることはできない。
今の俺は――木製の橋。
川の上に架かる、一本の橋だ。
「よし!」
心の中で気合を入れる。
次の人生も、人の役に立ってやる。
そして、また神力を貯める。
その先に、俺が目指しているものがある。
人間。
杭から始まった俺の転生人生は――まだまだ続くらしい。




