村の発展
斜めになってしまった俺だが――
数日後、村人らしき人がやってきてくれた。
「よいしょ……」
「もう少し右だ!」
「そこそこ!」
そんな声が聞こえてきて――
グッ。
俺の身体が押される。
そして、
「よし!」
「真っ直ぐになったな!」
どうやら、元の状態に戻してくれたらしい。
助かった!
これで薪にならなくて済んだぜ~!
……まあ、俺が薪にされる予定だったのかは分からないけど。
そんなことを考えていると、道を挟んだ向かい側で何かが始まった。
建物を建てている。
最初は小さな基礎だけだった。
それが日を追うごとに大きくなっていく。
柱が立ち。壁ができ。屋根が乗る。
毎日それを眺めていた。
ぱっと見た感じ、一階はお店。
二階、三階は普通の部屋みたいだ。
面白いのは、一階だけレンガ造りで、二階と三階は木造なこと。
この世界では、これが普通なのかな?
まあ、かなり大きな建物だ。
何のお店ができるのか楽しみだなぁ。
俺には時間だけはたっぷりあるからな。
◇
そして――ついに建物が完成した。
どうやら一階は食事処。
二階と三階は宿泊場らしい。
建物を建てている人たちが、よく俺の側で話をしていたから分かった。
「一階は食事処でいいな」
「二階と三階は宿にする」
「旅人も多いから、これなら客も来るだろう」
そんな会話を盗み聞きしていた。
少し離れたところでは、建物の図面らしきものを広げて、指を指しながら話し合っていた。
なるほど。
食事処と宿か。
ということは――やっぱりここは街道なんだな。
村へ向かう人。村から出ていく人。旅をする人。商売をする人。
そういう人たちが、この道を通っている。
そして、その人たちを相手にする店までできた。
俺が転生した時には、ただの未舗装の道だったのに。
少しずつ、人が集まってきている。
もしかして――この場所、これからもっと発展していくんじゃないか?
そう考えると、なんだか楽しみになってきた。
俺は何もできない。ただ、ここに立っているだけ。
それでも――この場所がどう変わっていくのか。ずっと見ていたいと思った。
そして俺は、今日も街道の脇に立ち続ける。
……まあ、動けないから立ち続けるしかないんだけどな。




