馬車事故
昨日と打って変わって、今日は晴天!
気持ちいい晴れ具合だ!
……まあ、気温も感じられないんだけどな。
それでも、雨の日よりは気分がいい。
「にゃ~」
ん?猫!ちゃんと雨宿りしてたか?
「にゃ!」
よしよし!多分、俺の言葉は通じていないと思うが、元気そうで嬉しいぞ!
「ガリガリガリ」
……。
まあ、許す!
俺は猫の爪研ぎ台じゃないんだけどな。
「あー! 猫ちゃん! いたー!」
ん?あの猫人間の子か。
そうか。この子も猫のことが心配だったのか。
「にゃー!」
「待って! エサ用意するから!」
すっかり懐いてるな。
猫も嬉しそうだ。
なんとも平和な光景だなぁ。
……なんて思っていた、その時。
「うわ!?」
「うわーーー!」
何だ?
突然、大きな音が聞こえた。
そして――まずい!
泥道で滑った手引き台車が、こっちへ突っ込んでくる!
しかも、その先には――猫人間の子供がいる!
おい!猫!この子を俺の後ろへ押し倒せ!
「にゃーーー!!」
猫が一気に飛びかかる。
えっ!?
そのまま子供の身体を押した。
「きゃっ!」
よし!ナイス猫!
「エーーン!!」
子供が俺の後ろへ倒れ込んだ。
その直後――ガッシャーン!!
「――っ!」
何だ!?どうした!?衝撃が走った。
……いや。俺にぶつかったのか?
うぅ……。痛くはない。痛くはないが――
「…………」
俺、斜めになっちまった。
どうやら手引き台車が俺にぶつかって、杭ごと傾いたらしい。
まあ、杭なんだから倒れなくてよかった。
……それより。
子供は?
「エーーン! エーーン!」
泣いている。
でも、声からすると痛がっている感じではない。怪我はしていないか?
俺の後ろに倒れたから、大丈夫だとは思うけど……。
「大丈夫か? お嬢ちゃん? 怪我してねーか?」
当然、俺の声は届かない。
「エーーン……」
うん。どうやら大丈夫そうだ。
驚いて泣いているだけだ。
よかった……。
ふぅ~。本当に、よかったぜ。
その時だった。
ほゎーん。
……ん?
何だ?
今の感覚。
身体の中に、何かが流れ込んできたような……。暖かいような。いや、暖かさとは少し違う。もっとこう――力そのものが、俺の中へ入ってきたような感覚。
「…………」
これって……。
まさか。
神力?
俺は動けない身体の中で、少しだけ興奮していた。もしかして俺。今、人の役に立ったのか?




