城攻め
こりゃ……始まった。
ヒュン!ヒュン! ヒュン!
城から、次々と矢が放たれている。
それに対して、攻めてくる兵士たちは盾を頭の上に構えている。
「…………」
映画で見たことのあるシーンだ。
でも――今、俺が見ているのは映画じゃない。
リアルだ。矢が飛んで。人が倒れている。
戦死する人だって、きっといる。
「…………」
何とも言えない気分になる。
俺は石垣だから、この戦いを止めることもできない。ただ、見ているしかない。
それより――城を落とすって、どうやるんだ?
城は高い。周囲は石垣で囲まれている。
城門も閉じている。簡単には中へ入れない。
攻める側は、どうするんだ?
そう思っていると――あれ?
何かを担いでいる兵士がいる。
長い。木でできた――梯子?
あー!梯子を担いできてる!
なるほど。あれを石垣に掛けて、上まで登って内部へ入り込む気か。
……いやいや。ちょっと待て。
こっちにだって、そこそこの兵がいるんだぞ?
石垣の上から攻撃されるんじゃないのか?
そんな簡単に登れるのか?
攻めている兵士たちが、梯子を立てようとしている。
「…………」
本当に、あれで登るつもりなのか?
一人ずつ?
梯子を登っている間に、上から矢を撃たれたらどうするんだ?
「…………」
戦争って――想像していたより、ずっと大変なんだな。そして俺は、その戦いの真っ只中にいる。石垣として。
この城を構成する、一つの石として。
頼むから……
この石垣を越えさせるな。
そう願いながら、俺は目の前で繰り広げられる城攻めを見つめていた。
戦いは、ずっと続いている。
矢が飛び交い、兵士たちが何度も城へ近づこうとする。
でも――一進一退って感じだな。
攻める側が前進する。城側が押し返す。
また攻めてくる。なかなか決着がつかない。
「はぁ……」
見ているだけなのに疲れる。
そんな時だった。
「ん?」
また何か運んできたぞ。
今度は――手押し台車?
何を積んでいるんだ?
……丸太?
「…………」
嫌な予感がする。
兵士たちが丸太を積んだ手押し台車を、城門の方へ押している。
しかも、かなりの人数で。
不味い!
まさか――あれを城門に叩きつける気か!?
おい! 門番! 気づけ!
もちろん、俺の声は届かない。
でも、城壁の上にいる兵士たちも気づいたようだ。
「あれを止めろ!」
「弓を構えろ!」
そうだ!
あんな物を扉に突っ込まれたら――
「このままだと城門が壊されるぞ!」
丸太を積んだ台車が、どんどん近づいてくる。
攻めている兵士たちは、盾を構えながら進んでいる。
「くそっ!」
城門は、この城を守る最後の入り口だ。
あそこを破られたら――敵が城内へ入ってしまう。
「早く!」
俺は心の中で叫ぶ。
「手押し台車を押している奴らに、矢を撃て!」
城壁の上から、一斉に弓が構えられる。
そして――
「放て!」
ヒュン!ヒュン! ヒュン!
大量の矢が、丸太を積んだ台車へ向かって飛んでいった。




