城の仕事
「おーい! 扉が勝手に動いたぞ!」
「ちゃんと取り付けしたのか?」
「軋んだんじゃないか?」
「調整しておきます!」
「任せたぞー!」
……。
いかん。
余分な手間を掛けさせてしまった。
まさか、俺が動かしたとは思わないよな。
そもそも、俺自身もどうやって動かしたのか分からない。
ただ、力を込めたら動いた。それだけだ。
まあ――理屈は分からんけど、動かすことができた。初めて自分の意思で物を動かせたんだ。
それだけでも、ちょっと嬉しい。
……で?
って言われると困るんだけどな。
俺は石垣。
歩けるわけでもない。飛べるわけでもない。
結局、ここから動くことはできない。
まあ、いい。
そのうち何か分かるだろ。
そんなことを考えていると、城内が慌ただしくなってきた。
「到着したぞ!」
「こちらへ運んでくれ!」
どうやら、商人がやってきたらしい。
荷物を積んだ荷車が、次々と城の中へ入っていく。
何かを運び込んでいる。
砂金に関係するものだろうか?
それとも、別の商品の取引なのか?
さらに、役人らしき人たちも忙しそうに動き回っている。
「こちらの書類を確認してくれ」
「この荷は倉庫へ」
「取引の準備を頼む」
どうやら、この城は単なる防衛拠点じゃないらしい。
砂金の管理だけじゃなく、商人との商談や金の取引なんかも、ここで行われているのかもしれない。
なるほど。砂金が採れる。人が集まる。
村ができる。商人が来る。
そして、それを管理するために城ができる。
……。
こうやって町が発展していくのか。
俺が山だった頃に見た小さな村が、少しずつ大きくなっている。
なんだか不思議な気分だ。
まあ、俺には急ぐ必要もない。
どうせここから動けないんだ。
だったら――ゆっくりと様子を伺うかー。
城がこれからどうなっていくのか。
それを見ているのも、なかなか面白そうだ。




