石垣の力
城は完成した。
……けど。
やっぱり、俺が思っていた城とは違うな。
日本の城みたいに、殿様が住んでいる感じでもない。
まあ、そもそも俺が想像していた城と、この世界の城を比べても仕方ないか。
そんなことを考えながら、城に出入りする人たちの話を聞いていると、どうやらこの城には別の重要な役割があるらしい。
「砂金の管理は、ここで行う」
「採掘場から運ばれてきたものは、一度こちらで確認する」
なるほど。
この辺りで採れる砂金を管理するための城なのか。確かに、砂金が採れる場所の近くに管理する場所が必要だよな。
いざとなれば、この城そのものを戦う場所として使うつもりでもあるらしい。
兵士の姿も多い。
武器を持った人たちが、城の中や周辺を警備している。
「ここを守り切れば、簡単には攻め落とされない」
そんな話も聞こえてくる。
なるほど。砂金を守る。
そして、何かあった時には、この地域を守る。
そういう役割の城なんだな。
まあ、管理するのは当たり前か。
貴重なものが採れるようになったんだから、それを守る場所も必要になる。
「…………」
しかし――そろそろ何か、動く物に生まれ変わりてーなー。
石じゃなぁ。
ずっとここにいるだけだ。
山の時も動けなかった。
橋の時も動けなかった。
杭の時なんて、もっと動けなかった。
次こそは――歩けるものになりたい。
いや。せめて、自分の意思で少しでも動かせるものがいい。
「…………」
石じゃ無理だよな。
でも――気合いで何か動かせないかな?
俺は試しに、身体の中へ意識を集中してみた。
うーん……。うーん……。
何かを押すようなイメージ。
動け。動け。
すると――ギギギ……。
「…………」
ん?何か動いた。
ギィィ……。
城門の大きな扉が、ゆっくりと開いていく。
「…………」
俺が動かしたのか?
……。
城門の扉を?いや。俺は石垣だぞ?
どういう理屈だ?
「…………」
まあ、いいや。動いたんだから。
でも――これ、意味あんのか?
城門を開け閉めするたびに、俺が気合いを入れないといけないのか?
……。
うーむ。
よく分からん。でも、初めて自分の意思で何かを動かした。それだけで、ちょっと嬉しい。
もしかしたら――俺の力。
少しずつ、強くなっているのかもしれないな。




