ホフヌング城
数日経つと、やはり石垣だった。
俺の周りに、どんどん石が並べられていく。
積み上げられた石が増えるたびに、少しずつ見える範囲も広がっていく。
「おー……」
中々、立派そうだぞ。
それにしても、この大きさと長さ。
かなり広い。
どうやら、少し斜めになっている土地に沿って石が並べられているようだ。
「…………」
これって――土砂崩れ防止かな?
山の時も土砂崩れがあったからな。
あれは大変だった。
だったら石垣なら安心だぜー。
これだけしっかり作ってあるんだ。
多少の雨くらいなら、土砂を止めてくれそうだ。
そんなことを考えながら、完成していく石垣を眺めていた。
◇
さらに日にちが経ったようだ。
作業員たちの話を聞いていると、どうやらここに――城が建つらしい!
おお!城!カッコ良くね?
石垣の上に建物が増えていく。
門ができ。建物が建ち。
塔のようなものまで作られていく。
ただ、俺が知っている日本の城とは、ちょっと形が違う。
俺も日本の城に詳しいわけじゃないけど……。
なんというか、山城と普通の城を混ぜたような作りなのかな?
これはこれで、かなりカッコいい。
でも――何で城を作ってるんだろ?
この辺りで戦でも始まるのかな?
そう考えると、ちょっとワクワクする。
まあ、俺自身は石垣の一部だから、戦が起きても動けないんだけどな。
◇
そんなことを考えている間にも、さらに日にちが過ぎた。
そして――
「…………」
どうやら、全て完成したようだ。
今日は人がたくさん集まっている。
式典か?
何やら、偉そうな人が前に立って話をしている。
俺には詳しい内容までは分からないが、この世界にもこういう式典があるんだな。
事故もなく、無事に完成したようだ。
そして――
「この度、ホフヌング城の完成を祝って――」
「…………」
……はい?
ホフヌング城?
ホフヌング?
「…………」
いやいや。ちょっと待て。またホフヌングかよ!
俺が標識だった時に見た――ホフヌング村。
橋だった時の――ホフヌング橋。
山だった時の――ホフヌング山。
そして今度は――ホフヌング城。
俺、ホフヌングを知りまくってるじゃないか!
……まあ、知りまくっていると言っても、名前を知っているだけなんだけど。
でも、これだけ同じ名前が出てくるなら――
もしかして、あの山……元俺か?
俺が山だった時。
近くに石切場ができていた。
そこで石が採られていた。
そして今、その石が俺になっている。
その石が――石垣になった。
ということは。
俺が山だった時に採掘されていた石が、今の俺なのか?
「…………」
なんだ、この転生。ホフヌング縛りなのか?
しかも――杭。標識。橋。山。石。石垣。
全部、動けない。
……。
動けない物縛りまであるのかよ!
まあ、いい。
少なくとも、俺はまた人の役に立つ場所にいる。
今度は城を守る石垣だ。
だったら――この人生も、しっかり頑張るとするか。




