山が知らせる地震
うむ。砂金が採れたおかげで、村ができ始めて、人もどんどん増えてきたな。
……俺、ちゃんと役に立ってるだろ?
たぶん?
まあ、砂金が見つかったのは俺の意思じゃないけど。
それでも、この山から採れたものが人の生活に繋がっているんだ。
そう考えると、悪い気はしない。
そんなある日。
少し離れた崖でも、何か工事が始まった。
「ん?」
人が集まっている。
何やら石を切り出しているようだ。
あれは……石切場かな?
なるほど。
確かに、人が増えれば建物も必要になる。
今まで木ばかり使っていたら、近くの木も足りなくなる。
だったら近くに石があるなら、石を使おう。
ってことなのかな?
うーむ。やっぱり人って、色々と考えながら発展していくんだな。
でも、人力だけだから時間は掛かりそうだ。
石を切り出すのも大変そうだし。
まあ、事故がないように気をつけてやってほしいな。
俺には見守ることしかできないけど。
そんなことを考えていると――
「…………」
ん?何だ?今日は、何か変な感じがする。
身体が――いや。
山全体が、むずむずする。
そんな表現で合ってるのかな?
むず痒いというか。今まで感じたことのない感覚だ。何だろう?
「…………」
いや。俺じゃない。
山というか――地面全体だ。
これは……。もしかして。
地震の前触れか?
地震なんて、転生してから初めての経験だ。
本当にこれが前触れなのかは分からない。
でも、この嫌な感覚。
何かがおかしい。
そして――まずい!
村には人が増えている。
石切場にも、大勢の作業員がいる。
砂金の採取場にも人がいる。
おい!地震が来るかもしれん!みんな、離れろ!
必死に叫ぶ。もちろん、俺の声は届かない。
うーん!うーん!
何とか伝えたい。
すると――
「……ん?」
村の方から声が聞こえた。
「何だ? 山が騒がしい?」
「確かに……」
「そういえば、今日、鳥を見たか?」
「いや……そういえば、静かすぎる!」
どうやら、何か異変を感じ取ったらしい。
「何かあるかもしれんぞ!」
「皆に知らせろ!」
人々が一斉に動き始める。
「急げ!石切場にも伝えろ!砂金採取場にもだ!」
どうだ?伝わったか?人が次々と走っていく。
村の中でも、建物から人がわさわさと出てきた。
……よし。
少なくとも、何かがおかしいことには気づいてくれた。
俺も必死に山全体へ意識を集中する。
そして――
ゴゴゴ……。
「……!」
地面の奥から、低い音が響く。
ゴゴゴゴ……。
来る。間違いない。
グラ……。グラ……。
地面が揺れ始めた。
やっぱり……!
地震だ!
山になって初めて経験する、大きな揺れ。
俺はただ、山としてそこにいる。
逃げることもできない。
でも――どうか。
どうか、みんな無事でいてくれ!




