村が生まれる
数日間。
土砂崩れの現場というか、今では砂金が採れる場所になったところを観察していた。
すると――少し離れた場所で、木を切り倒し始めた。
何をするんだ?
しばらくすると、切り倒した木を使って小さな小屋が建ち始めた。
一軒。二軒。
少しずつ建物が増えていく。
そのうち、小屋より少し大きな建物まで建ち始めた。
「…………」
何ができるんだ?
そう思いながら眺めていると――
人が集まり始めた。さらに人が増える。
そして今度は、小さなお店まで建ち始めた。
「おー……」
気がつけば、いくつもの建物が並んでいる。
家があって。店があって。人がいて。
まるで――小さな村だ。
「…………」
こうやって村って出来るのか。
最初は、ただの崖崩れだった。
そこから砂金が見つかった。
砂金を採る人が集まって。
その人たちが暮らすために小屋ができて。
食料や道具を売る店ができて。
さらに人が集まってくる。
産業が出来たってことだよな?
今まで村ができる瞬間なんて、考えたこともなかった。
人が集まって。仕事ができて。
生活する場所が必要になって。
その場所に建物が増えていく。
そうして、村になっていく。
「…………」
いいもん見せてもらったぜ!
山だから視界も広い。
遠くまで見えるから、こういう変化もよく分かる。
杭だった頃は、道の脇しか見えなかった。
橋だった頃は、川とその周辺。
でも山になった今は――この地域全体が見渡せる。
人が増えて。道ができて。建物が増えて。
村まで生まれる。
山は山で楽しいな!
俺は、そんなことを思いながら周囲を眺める。
毎日、少しずつ何かが変わっていく。
だったら――これからも観察していこう。
俺の新しい日課は、山から世界を眺めること。
それでいい。どうせ俺は、動けないんだからな。




