山で見つかった宝
うーむ。
今日も崖崩れの現場を見ている。
土砂をどかしているのかと思ったら――ん?
どうも違う。
何やら足場を作っているようだ。
しかも、上流の方から、あのU字型の木枠を引き込んでいる。
水を流すためのものなのは分かった。
でも――なんで土砂崩れの場所に、わざわざ?
何のために使うんだ?
さらに、近くでは大きな池まで作り始めている。
……溜池?いや、池にしてはかなり大きい。
「…………」
んー。分からん。
ここの人達が何を考えているのか、さっぱりだ。その後も作業は続いた。
土砂崩れの斜面には、どんどん杭が打ち込まれていく。
そして、その杭の上にU字型の板を置いていく。
一本。また一本。
まるで、斜面に木製の水路を作っているようだ。
……。謎行動。
一体、何をするつもりなんだ?
そう思っていると――しばらくして、水が流され始めた。
おお!
上流から流れてきた水が、U字型の水路を勢いよく進んでいく。
そして、その水が流れているところへ――土砂を入れ始めた?
作業員たちが土砂を水路へ入れている。
すると――
ザァァァ……。
土砂が水に押し流されていく。
「…………」
なるほど!そういうことか!
土砂を水で流す作戦か!
人間が一輪車や荷車で少しずつ運ぶより、こっちの方が圧倒的に早い。
しかも――流した水は、さっき作っていた大きな池へ入っていく。
池の中で泥や砂を沈殿させて、比較的きれいになった水を川へ流す。
なるほど。
やるな!ここの人達!思った以上に頭いいじゃないか!
そんなことを感心しながら見ていると――
「おー! 採れたぞ!」
ん?採れた?何か採れたのか?
「本当だ!」
「中々の量だぞ!」
「ほぅ!」
何だ?大量に採れた?魚か?
まさかな。ここは土砂崩れの現場だぞ。
魚なんているわけ――
「砂金だ!」
「…………」
……はぃ?砂金!?
「本当に砂金だ!」
「かなりあるぞ!」
「これだけ採れれば、復旧費用にもなる!」
…………。
マジか。まさかの砂金。俺の山で?
やるな俺!いや、山だけど。
この山――金まで出るのかよ!?
杭だった頃には、こんなことになるなんて想像もしていなかった。
橋だった頃は、人を渡らせることが役目だった。
そして山になった今は、木や水や食料だけじゃない。
土砂崩れによって、眠っていたものまで人間の前に姿を現した。
「…………」
俺、思っていた以上に――凄い山なのかもしれない。




