流木の故郷
今日は晴れだな。やっぱり晴れは気持ちいい。
昨日まで降っていた雨もすっかり止んで、遠くまでよく見える。
そんな中――
ん?
沢の付近に、何十人もの人が集まっている。
ゾロゾロと山を登ってきているようだ。
釣り客でもない。何をしに来たんだ?
耳を澄ませてみる。
「あー。大分、崩れてますな」
「そうだな。これは酷い」
「復旧を急ぎませんと」
……。
どうやら、何かの調査をしているらしい。
そして、話を聞いているうちに分かった。
「この辺りの土砂崩れが原因でしょうな」
……ん?俺が?
どうやら――俺は崩れていたらしい。
山の一部が雨で崩れて、土砂が流れたようだ。
「倒木は早めにどかさないと」
「だな。またホフヌング橋に倒木が当たるのはまずい」
……。
ん?ホフヌング橋?
その名前を聞いた瞬間、俺は思い出した。
あの橋。
俺が二度目の転生でなった、木製の橋。
そして、この前、大量の流木がぶつかってきた。
まさか……な!? ここが、あの流れてきた流木の発生地点かよ!
つまり――俺が山になった場所で木が倒れた。
それが雨で流されて。川へ落ちて。
下流へ流れて。ホフヌング橋にぶつかった。
……前世の俺に迷惑をかけていたの、俺じゃねーか!
「…………」
いやいやいや。何してくれてるんだ、俺!
前世の俺が壊れちまうだろ!
……って。何言ってるんだ、俺は。
俺自身なんだから仕方ないだろ。
いや、仕方なくない!
俺のせいで前世の俺が危険な目に遭ってる!
「…………」
と、とにかく。
今はそんなことを考えている場合じゃない。
なんでもいいから、早く倒木を片付けてくれ……!
俺は心の中で、山に来た人たちへ必死に訴える。
早く。本当に早く。
前世の俺――じゃなくて、ホフヌング橋が壊れる前に!俺は山として、初めて自分が周囲へ与えている影響の大きさを実感していた。




