第三の転生、山
ん?俺、眠っていたのか?
……いや。
この感覚は――また転生か?
意識が戻ってきた。
身体の感覚が、今までとは全然違う。
今度は何だ?うーむ。
……かなりデカくね?
というか、デカすぎないか?
俺は恐る恐る周囲を感じ取る。
すると――げっ!?」
山!?
俺、山になってるのか!?
視界がとんでもなく広い。
遠くには海まで見える。
おー!三百六十度、丸見えだ!
標識の時とは比べ物にならない。
橋の時よりも遥かに広い。
こんなに遠くまで見えるのか。
……すごい。
でも――また固定かよ。
少しは動きたいんだけどなぁ。
杭。標識。橋。そして今度は山。
どれも動けないじゃないか。
まあ、山なら動けないのは当然だけど。
俺の転生って、もしかして動けないもの限定なのか?
そんなことを考えながら、周囲を感じ取っていく。山の裾野には、村……いや、町か?
建物がかなりある様だな。人の気配も多い。
川も流れている。そして――
……ん?
川に何か架かっている。
橋だ。あれって……もしかして、元俺か?
いや、そんなわけないか。
でも、木製の橋に見える。
形も似ている気がする。
……。
もしかして、本当に俺だったりするのか?
俺が橋だった時に見ていた川。
そこから流れてきた水。
その先に、今の俺がいる。
そう考えると、あり得ない話じゃない。
でも、確認する方法がない。
俺は山だ。
動けない。橋のところまで行って確かめることなんてできない。
「…………」
まあ、いつか分かるか?
それより――問題は、今の俺だ。
山。山って……。
人の役に立つには、どうすればいいんだ?
杭なら標識になる。橋なら人を渡らせる。
でも山は?
「…………」
かなりの無理ゲーじゃね?
山を動かすことなんてできない。
話すこともできない。
何かを運ぶこともできない。
……いや。
そもそも、山って何の役に立っているんだ?
水を生み。木を育て。動物が暮らし。
鉱物が眠っている。
……。
もしかして、意外と役に立ってる?
でも俺自身が何かをしているわけじゃない。
ただ、そこにあるだけだ。
「…………」
しっかし、山か。うーむ。なんだかなぁ……。
今までより、規模が大きくなりすぎてないか?
俺、本当に人間に戻れるんだろうな?
少し不安になりながらも、俺は山として、この世界を見下ろしていた。




