耐え抜いた橋
俺は、かなり長い時間、踏ん張って耐えたと思う。
正直――意味があるのかどうかは分からない。
橋桁に力を入れる。
そんなイメージだけを必死に繰り返していた。
ぐぅぅ……!
もちろん、声なんて出ない。
それでも、自分の中にある力を橋桁へ集めるような感覚で、ひたすら耐えた。
ゴゴン……。
さっきまで何度も響いていた衝撃が、少しずつ弱くなっていく。
ゴン……。
まだ流木は当たっている。
でも――さっきほどじゃない。
……もしかして、俺の力が効いたのか?
それとも、ただ雨が止んだだけなのか?
どちらなのかは分からない。
やがて、気づけば雨も止んでいた。
川の流れも、さっきより落ち着いている。
濁った水はまだ勢いよく流れているけど、橋を揺らしていたほどの力はなくなっていた。
「…………」
俺は、しばらく何も考えられなかった。
ただ、耐えた。それだけだ。
橋桁には、まだ大量の流木が引っかかっている。
撤去するのは、人間たちの仕事になるだろう。
でも――俺は倒れなかった。
橋として、ここに残った。
……やったのか?
どうにか、やり切ったのか!
そう思った瞬間――
ほゎん……。
また、あの感覚がした。
身体の奥から、何かが満ちていく。
……神力?
もしかして今回のことも、人の役に立ったってことなのか?
俺はただ耐えただけだ。
誰かを助けたわけでもない。
でも、この橋が壊れなかったことで、この先を渡る人たちを守れたのなら――それだけで十分だ。
「…………」
俺は、少しだけ嬉しくなった。
杭だった頃は、自分が何の役に立てるのか分からなかった。
標識になって、道を教えた。
そして今は――橋として、人々を向こう岸へ渡している。
今回みたいに、橋そのものを守ることも役目なのかもしれない。
まだまだ、橋としてやることはありそうだ。
……よし。
もう少しだけ、この姿で頑張ってみるか。




