人気の橋
あれから数日が過ぎた。
今日も橋の上には、たくさんの人が渡っている。
朝から人が歩き。荷馬車が通り。
旅人も行き交っている。
……これは、かなり役に立ってるんじゃね?
毎日これだけの人が俺を利用しているんだ。
これなら、早めに神力が貯まるのでは!?
そう考えると、橋に転生したのは大正解だったな。
まあ、人の役に立てているんだから、いいことだよな~。
そんなことを考えていると、ふと気になることがあった。
最近、橋を渡るだけじゃなく、橋の上で立ち止まる人が増えている。
「ほら、見て!」
「綺麗だなぁ」
「川の流れがよく見えるぞ」
橋の真ん中で、川を眺めている人までいる。
……観光地みたいになってないか?
橋って、そんなに珍しいものなのか?
確かに、この辺りには今まで橋がなかったらしい。
そう考えると、珍しいのかもしれない。
子供たちが橋の上から川を覗き込んだり。
旅人が立ち止まって景色を眺めたり。
わざわざ橋を見に来ているような人までいる。
「この橋、立派ね」
「できたばかりだからな」
「一度渡ってみたかったのよ」
……。
おいおい。
俺、結構有名な橋なんじゃね?
まだ新しいのに、こんなに人が集まる。
もしかしたら、遠くから見に来ている人もいるのか?
そう思うと、ちょっと嬉しくなる。
標識だった頃は、ただ道の脇に立っていただけ。それが今では、人がわざわざ見に来る存在になった。
橋として、ちゃんと役に立っている。
そして――これだけ人の役に立っているなら。
神力も、かなり貯まっているんじゃないか?
俺の中に、あの不思議な力が少しずつ蓄積されている感覚がある。
まだ転生できるほどではないのかもしれない。
でも、確実に前へ進んでいる。
……よし。
この調子で頑張ろう。
いつかまた転生する、その日まで。俺は今日も、たくさんの人を乗せて川の上に架かっていた。
◇
今日は、雨か……。朝から雨が降っている。
流石に雨だと、観光客は少ないな。
橋の上を渡っている人を見ると、仕事や用事で移動している感じの人がほとんどだ。
「今日は雨かぁ」
「早く向こう岸に行こう」
そんな声も聞こえる。
昨日まであんなに人がいたのに、今日はかなり静かだ。
まあ、こんな日もあるだろ。
毎日、人がたくさん来るわけじゃない。
それに、俺には他にやることもない。
橋をやるしかないからな。
……橋をやるって何だ?
まあ、いい。
今日もここに立って、人が渡るのを支える。
晴れの日も。雨の日も。
俺は橋だ。気長に橋をやるぜ!




