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あえて竜を野に放つ

作者:井ノ下功
月時 曇(つきどき くもり)は美大に通う十九歳。「目が合った美術品を現実のものにする」という特殊な『目』を持つ彼は、それ以上に数奇な運命の中に置かれていた。それでも、何もしなければ、何も起きなかったかもしれない。奇妙な縁と不幸な偶然に導かれ、悲劇はここに幕を開ける。――放たれた竜は、もう二度と、戻ってこない。
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