↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の転生チート《超成長》がどう考えても壊れている ~楽するために努力していたら故郷が発展していきます~  作者: MIYA
第2章 傷と荷物を抱えて旅に出る

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/33

第14話 街道の移動は車輪一つで止まるらしい

「兄ちゃん、これ忘れてる!」

 出発する荷馬車の荷台に足を掛けたところで、リナが家から飛び出してきた。

 差し出されたのは、布で包んだ朝飯だった。母さんからはもう受け取っている。なのに妹は、俺の鞄(かばん)へ押し込もうと両手を伸ばしてきた。

「食料ならあるぞ」

「知ってる。これはおやつ!」

「朝飯食ったばっかりなんだけど」

「じゃあ昼に食べて!」

 押し問答していると、荷馬車の御者(ぎょしゃ)が手綱を持ち直した。俺たちのほかにも荷を運ぶ予定がある。ここで出発を遅らせれば、最初の街道宿へ着く時刻までずれてしまう。

 包みを受け取り、荷台の隅へ置いた。

「ちゃんと食べてね。それと、もう一つ!」

「今度は何だ」

「ルーヴェルの紙!」

 リナは両手で大きな四角を作った。

「こっちの紙より、もっと大きくて、つるつるしたやつ。絵をいっぱい描けるのがいい!」

「そんなに大きかったら持って帰れないぞ」

「折ればいいじゃん」

「絵を描く紙を折ってどうするんだよ」

「じゃあ折らずに持ってきて!」

 注文の難易度が上がった。出発前から追加クエストとは、妹もなかなか容赦がない。

「売ってたら探すよ」

「約束だからね!」

 小指を差し出されたので、右手で引っ掛けた。リナは満足したらしく、ようやく荷馬車から離れてくれる。

 母さんは俺の左腕を見ていた。

「まだ重いものを持っちゃ駄目だからね。傷が閉じても、中まで全部治ったとは限らないんだから」

「分かってる。右手を使うよ」

「左手を使わなきゃいいって話じゃないよ」

「……はい」

 横からミレアが笑った。

「ちゃんと見ときます」

「ミレアちゃんもよ。肩、無理に動かさないこと」

「……はい」

 今度は俺が笑う番だった。

 父さんは荷台に積まれた俺たちの荷物を確かめていた。余計な道具は昨日のうちに減らしたから、網も予備の縄も必要な分しかない。

 その横に、小さな布袋を置かれる。

「畑用の木杭(きぐい)だ。道端の枝よりは当てになる」

「昨日、荷物を減らせって言ったの父さんだろ」

「重いなら置いていけ」

 袋を持つと、思ったほど重くない。使い道も分かる。

 鞄の横へ収めると、父さんは俺の腰の剣に目を移した。

「ボルドに直してもらったんだな」

「うん。ちゃんと使える」

「短くなった分、前と同じ間合いで振るなよ」

「分かってるって」

「それと、折る前に帰ってこい」

 そう言って、畑の方へ歩いていった。

 俺がまだ何か言おうとしているうちに、父さんはもう作業を始めている。出発の見送りも、農家の朝仕事までは休ませてくれないらしい。

「トウマ、乗るよ!」

 ミレアが先に荷台へ上がった。

 俺も続き、御者に声を掛ける。荷馬車が動き始めると、リナが大きく手を振った。

「兄ちゃん! 紙、忘れないでよ!」

「分かったって!」

「いい紙だからね!」

「値段も考えてくれ!」

 最後の言葉は、車輪の音に負けた。

    *

 荷馬車での移動は、思ったほど楽ではなかった。

 板張りの荷台は道の凹凸(おうとつ)を拾うたびに跳ねる。尻の下に畳んだ布を敷いても、座る場所を間違えれば木箱の角が背中に当たった。

「前世の乗り物はもっと快適だったんだけどな」

「またその話?」

「座ってるだけで遠くまで行けたんだぞ」

「これも座ってるだけでしょ」

「尻が痛い」

「歩く?」

「……今のままでいい」

 ミレアは鼻で笑い、道の向こうへ視線を戻した。

 ハルディンから離れるにつれて、畑よりも旅人の姿が増えていく。荷車を引く商人、背中に道具を担(かつ)いだ職人、馬を連れた旅人。みんな同じ道を使っているのに、歩く速さも持っている荷物も違った。

 道が狭くなると、向こうから来た荷車を通すためにこちらが止まる。

 そのたび御者は馬を道端へ寄せ、すれ違う相手に短く声を掛けていた。

「ここ、もう少し広くならないのか?」

 尋ねると、御者は車輪の通った深い轍(わだち)を見下ろした。

「雨が続けばもっとひどくなるぞ。広げたって、道を直す人間がいなきゃ同じだ」

「じゃあ、直せばいいんじゃないか」

「誰が?」

「……誰だろうな」

 俺は口を閉じた。

 前世の道路は、誰かが直していたはずだ。少なくとも、穴が開いたまま何年も放っておくものではなかった。

 ただ、その誰かがどうやって金を受け取っていたのか、思い出せない。

 そんなことを考えているうちに、午後から雨が降り始めた。

 最初は小さな雨粒だったが、しばらくすると荷台を覆う布が重たく垂れ下がってきた。御者は馬の様子を見ながら速度を落とし、早めに街道宿へ入ると言った。

 軒下で荷物を下ろすころには、俺の靴もミレアの尻尾も湿っていた。

「野宿ならもっと節約できたのに」

「薪が濡れてるでしょ」

「《イグナイト》なら火はつけられる」

「つけても消えるって。それに、あんたの腕で薪集めするつもり?」

 言い返せずにいると、宿の女将が入口から顔を出した。

「泊まるなら早く決めとくれ。ほかの荷馬車も来るよ」

 空いていたのは寝台が二つある小部屋だった。

 ミレアは真っ先に窓の鍵を確かめ、寝台の片方に荷物を置いた。俺は部屋代を思い浮かべながら、乾いた布で鞄を拭く。

 階下から煮込みの匂いが上がってきた。

「……飯、頼めるかな」

「さっきまで野宿って言ってなかった?」

「食事は別だ。体力回復は優先事項だろ」

「都合のいいときだけそういうこと言う」

 結局、温かい夕飯を頼むことになった。持参した乾燥肉は、明日も食べられる。

 食堂には荷運びの男たちがいて、翌日の天気や、途中の坂で車輪を傷めた商人の話をしていた。女将は客の荷の量を見ながら、馬を休ませる場所まで案内している。

 ハルディンの宿屋では、こういう光景をほとんど見たことがない。

 うちの村にも宿はある。けれど泊まる旅人が少なければ、女将がどれだけ料理を作れる人でも、食べる客がいない。

 俺は食後、鞄から小さな覚え書きを取り出した。

「また何か書いてんの?」

「ハルディンに足りないものだよ」

「さっきの道も?」

「うん。あと宿屋の客」

 紙に二つの項目を足したところで、視界の端に青白い文字が浮かぶ。

【拠点メモ:ハルディンに足りないもの】

・街道

・宿屋の客

 おお、追加されてる。

 やっぱり拠点の施設を増やすには、周りの環境も整えないと駄目らしい。

「何笑ってんの」

「拠点強化の条件が見えてきた」

「雨、止むかなあ」

 ミレアは窓の外を見ながら答えた。

 会話が噛(か)み合っていない気もするが、こいつも明日の移動が気になるんだろう。

 寝る前に鞄を整理していると、朝リナが押し込んだ包みの中から折り畳まれた紙が出てきた。

『ちゃんとごはん食べて。リナ』

 裏には、欲しい紙の大きさが描いてある。

「……これ、持って帰る方が難しそうだな」

 ミレアが覗(のぞ)き込み、吹き出した。

「あんた、妹にも仕事増やされてるじゃん」

    *

 翌朝、宿を出た荷馬車が街道の坂へ差しかかったところで、前方から木の割れる音がした。

 先を走っていた荷車が、右へ大きく傾いている。

「止まって!」

 声を上げたのはミレアだった。

 こちらの御者が馬を止めるのとほぼ同時に、前の荷車から女の怒鳴り声が飛んでくる。

「そっちへ寄せるな! 坂の下へ落ちる!」

 積んであった木箱が傾き、一つが地面へ落ちた。箱の角が割れ、乾燥した根菜が道へ転がっていく。

 俺は反射的に荷台から飛び降り、箱を受け止めようとした。

 右の肩紐(かたひも)が急に引かれる。

「待ちなさいって!」

 ミレアだった。

「あんたの腕、まだ治ったばっかりでしょ!」

「あ、そうだった」

「そうだったじゃない!」

 転がった根菜は坂の途中で止まったが、荷車の右後輪は少しずつ外側へずれていた。

 御者の女は二頭の荷引き魔物を止め、車輪へ石を噛(か)ませる。短く切った髪には、朝から土埃(ぼこり)が付いていた。

「留め木が割れたか……」

 車軸の先を押さえる木の留め具が、根元から欠けている。

 そのまま走れば車輪が外れかねない。

「何か手伝えること、ありますか?」

 近づいて声を掛けると、女はまず俺の左腕を見た。

「車体の下に入れるかい?」

「すみません。怪我が治ったばかりなんです」

「じゃあ入るな。後ろから荷車が来ないか見てて」

 俺の仕事は一瞬で決まった。

 ミレアはもう坂の上へ向かい、後続の荷車に手を振っていた。左肩を大きく動かさず、右腕だけで合図している。

「そっちの道、少し空けて! 車輪が壊れてる!」

 俺たちを乗せてきた荷馬車の御者も降り、馬を安全な位置へつないだ。

 壊れた荷車の女はクレナと名乗った。ルーヴェルへ保存食を運ぶ途中らしい。

「昼までに納めないと、相手がほかから仕入れちまう。参ったね」

「修理できそうですか?」

「留め木だけなら。でも車軸にも傷が入ってる。荷を全部積んだままじゃ危ない」

 クレナは車輪が動かないように石を追加し、荷引き魔物を道脇の杭へつなぎ直した。

 ようやく縄を緩めたところで、後ろから来た別の御者が顔を出す。

「まだ動かないのか?」

「手を貸してくれたら早いよ」

「こっちだって荷があるんだぞ」

「ここが塞(ふさ)がってたら、あんたも進めないだろ」

 男は不満そうだったが、荷車を降りてきた。

 重い箱を下ろすのは御者たちに任せ、俺は小さな箱の荷札を確かめる。最初に掴もうとした箱は重すぎたので、左手を添える前に諦めた。

 クレナは荷台から長い棒を引き出した。

 その棒を車軸の下へ差し込み、平たい石を支点にする。男たちが棒を押すと、少しだけ車体が持ち上がった。

「そのまま押さえて!」

 クレナは外へずれた車輪を軸の奥まで戻した。

 俺は横から傾きを見る。

「もう少し奥です。……そこ!」

 車輪は元の位置へ戻ったものの、留め木がなければまた抜ける。

「替えはないんですか?」

「昨日までは割れてなかったんだよ。予備なんか積んでない」

 そこで父さんの木杭を思い出した。

 鞄から一本取り出し、車軸の穴へ当ててみる。

「これなら……」

 入らない。

 細すぎた。

 二本束ねれば太さは近づくが、一本だけ外れたら意味がない。無理に押し込んでも、途中で割れるかもしれない。

「駄目だな。これじゃ止まらない」

「そうだね。穴に合う一本を作った方がいい」

 クレナは迷わず杭を返してきた。

「道端で真っすぐな枝を探して。硬いのがいい」

 俺が枝を探している間に、彼女は割れた留め木を外し、穴の形を確認していた。

 持ってきた枝を削(けず)るのもクレナ自身だった。

 小刀を少しずつ動かし、穴に差しては抜き、引っ掛かる部分をまた削る。最後に外側を太めに残して通し、革紐(ひも)で抜け止めを掛けた。

「これで走れる?」

 ミレアが戻ってきて尋ねる。

「試してからだね」

 クレナは支えを外す前に車輪を手で回し、荷を載せていない状態で少しだけ車体を動かした。

 一度止めて留め木を押す。

 もう一度、ゆっくり動かす。

 それでも車軸には傷が残っている。

「全部積み直したら、また壊れるかもしれない」

 クレナは下ろした木箱の山を見た。

 朝から急いで運んできた商品だ。ここで置いていけば、届け先との約束に間に合わなくなるものもある。

「坂の下に荷物を預かるところがあったよ」

 ミレアが道の下を指さした。

「そこに一部を置いて、別の荷車に運んでもらえば?」

「預け賃も運び賃も掛かるよ」

「車輪が完全に壊れるよりは安いと思うけど」

 クレナは箱の荷札を見ながら、しばらく黙った。

 やがて腰に付けた小さな帳面を取り出し、届け先ごとに荷物を分け始める。

「今日どうしても届ける分と、明日でも何とかなる分を分ける。預かり場に空きがあるか聞いてきてくれる?」

「あたしが行く」

 ミレアが坂を下っていく。

 残った俺は荷札の番号を読み上げ、クレナと御者たちが箱を分けるのを手伝った。

 やがて預かり場から低い手押し台が運ばれてきた。係の男は荷札を一つずつ確かめ、クレナと運送便の相談を始める。

「昼過ぎの便へ載せられないかい?」

「空きがあるか先に調べる。積める量で料金も変わるぞ」

「分かった。傷んだ車輪で全部運ぶよりはましだ」

 俺たちが口を出せる話は、そこまでだった。

 クレナは必要な荷だけを積み直し、右後輪に重さが偏らないよう左右の縄を締める。

 車輪をもう一度回してから、ようやく息をついた。

「よし。町まではゆっくり行くよ」

 クレナの荷車が動き出すと、道を塞がれていた荷馬車も順番に進み始めた。

 手伝ってくれた御者たちは、それぞれの荷へ戻っていく。

 俺たちも元の荷馬車へ戻ろうとしたところで、クレナに呼び止められた。

「二人とも、手伝い賃は要るかい?」

「欲しいです!」

 即答すると、隣から肘(ひじ)で小突かれた。

「何でそんなに嬉しそうなのよ!」

「いや、金は必要だろ!」

「必要だけど、もうちょっと遠慮しなさいよ!」

「遠慮したら貰えないかもしれないじゃん!」

 クレナは声を上げて笑った。

 それから割れた箱のそばへ行き、売り物にならなくなった根菜を袋へ詰めてくれる。

「金は車輪の修理代に残しておきたいんだ。食べられるところはあるから、これで勘弁して」

「ありがとうございます!」

 俺は袋を受け取った。

 売り物にならない根菜でも、調理すれば食費を減らせる。こういう節約は馬鹿にできない。

 ただ、魔法鞄を買う金は増えなかった。

 クレナは俺たちの荷物を見て、さらに言った。

「荷物が軽くて助かったね。あんたたちまで大荷物だったら、こんなに動けなかったよ」

「昨日、持ってくるものを減らしたんです」

「そうかい。旅慣れてるねえ」

 俺は胸を張った。

「準備が大事ですから」

 昨日、父さんとミレアに荷物を減らされたことは黙っておこう。

    *

 ルーヴェルの外壁が見えたのは、日が傾き始めたころだった。

「……でか」

 ミレアが小さく呟(つぶや)いた。

 石造りの壁が道の先を塞ぐように続き、その奥から建物の屋根がいくつも突き出している。

 門へ向かう荷車の列は、ハルディンの広場で見た人の数よりずっと多かった。

 俺たちは荷馬車を降りて歩行者用の列へ並び、登録証を出す。門番が札を確認している間にも、隣の荷車用の列では積み荷の検査が続いていた。

 後ろから、聞き覚えのある車輪の音がする。

 振り返ると、クレナの荷車だった。

 門番に右後輪を見せ、道路の脇へ誘導されている。クレナはこちらに気づいて片手を上げたが、すぐに車輪の説明へ戻っていった。

 こっちも手を振ってから、門をくぐる。

 最初に目に入ったのは、道の両側に並ぶ店だった。

 片側には給湯の魔道具を売る店。反対側ではドワーフの職人が金属箱を台車へ積み、通りの奥からは焼きたてのパンの匂いが流れてくる。

 夕暮れなのに、店先の灯りはすでについていた。

「すげえ……」

 俺は思わず立ち止まった。

 直後、後ろから声が飛ぶ。

「おい、真ん中で止まるな!」

 慌てて道の端へ寄る。

 ハルディンなら、道の真ん中で考え事をしていても、誰かに邪魔だと言われることはほとんどない。

 こっちは立ち止まるだけで荷車が詰まるらしい。

「まず宿!」

 ミレアが先に歩き出した。

「待て。せっかくだから町の構造を調べよう」

「それは後!」

「いや、初めての町は地図を手に入れるのが基本だろ」

「部屋がなくなったら、地図を枕(まくら)にして寝るの?」

「……それは困る」

 宿探しを優先することにした。

 冒険者ギルドへ通いやすそうな下町の宿で空き部屋を尋ねると、寝台が二つある部屋なら残っているという。

 別々の部屋を借りる余裕はない。

 ミレアは値段より先に寝台の数と戸の鍵を確かめ、俺は朝飯が付くかどうかを聞いた。

「何でそんなところまで聞くのよ」

「朝飯を外で買うより安いかもしれないだろ」

「食べることだけは抜かりないわね」

「食費を減らせば、その分だけ稼ぎが残る」

 部屋を確保したあと、ようやく地図屋へ向かった。

 店先には古い地図と新しい地図が並んでいる。古い方が安かったので手を伸ばしたが、ミレアが横から新しい方を取った。

「こっちでしょ」

「高いぞ」

「こっちは工事で通れなくなった道が直してある」

「古いのを買って、間違ってるところだけ覚えれば……」

「初めて来た町で、どこが間違ってるか分かるわけないでしょ」

 そのとおりだった。

 新しい地図を買い、宿へ戻って卓上に広げる。

 冒険者ギルドの建物には、店の人が印を付けてくれていた。宿から歩いて行ける距離だが、道が思ったより入り組んでいる。

 町の反対側には倉庫街があり、その先には大きな道が幾つも伸びていた。

 前世の都会に比べれば、まだ不便なところは山ほどあるはずだ。

 それでも、ここにはハルディンにないものが多すぎる。

 明日から依頼を受けて稼ぎながら、一つずつ調べていけばいい。町づくりのための情報収集と金策を同時にこなせるなら、こんなに効率のいいことはない。

「ねえ、トウマ」

 ミレアが地図の上を指で叩(たた)いた。

「明日、まず何の依頼を受ける?」

「そりゃ、稼げるやつだろ」

「一件ずつちゃんと確かめてよね」

 俺はギルドの印を見つめた。

 一つ受けるのも、いくつかまとめて受けるのも、同じ場所まで歩くなら大して変わらない。

「……なあ、ミレア」

「何」

「依頼って、一日に何件まで受けられるんだ?」

 ミレアは地図から顔を上げ、俺をじっと見た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。