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名もなき犬、異界の地にて名を馳せる  作者: イノセス


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9/60

9話〜犬、最高だな〜

【ふぅ(フゥ)。腹いっぱいだ(フワワ)…】


 オーク肉を食べ終えた俺は、暫しその場で休憩していた。

 お腹がはち切れそうで、とても動けそうに無かった。消える前に早く!って必死だったけど、結構長い間残っていたのだ。

 ウサギの時は10秒ちょっとだったのに、オークは1分近く残っていたんじゃないかな?お陰で食べ過ぎちゃった。


 でも、何故そんな事になるのだろう?オークは体が大きいから、ウサギよりもゆっくり消えるって事だろうか?

 それに、俺の牙が通る様になったのも不思議だ。何度突き刺しても分厚い脂肪に邪魔されたのに、消え始めたと思ったら急に、歯が入るようになった。


 考えられるのは、2つ。俺の攻撃力が上がったか、オークの防御力が下がったか。

 もしも後者なら、それは時間経過でオークの脂肪が消えた事が原因じゃないだろうか。ウサギだって角は消えないし、体の部位や硬度なんかで消えるスピードが違うのでは?

 だとすると…魔物の体は、俺達とは違う構造で出来ているのかも。タンパク質ではない何か…例えば、魔力なんかで肉体を作っているんだとしたら?


 何となく、正解に近付いている気がする。でも、検証はここまで。これが正しいかは、人間達が答えを出しているだろう。

 そう結論付け、十分に休んだ俺は立ち上がる。ゆっくりと、川の方へと戻る。

 俺が今すべきは、強くなること。先ずは廃墟ゴブリンを倒せる様になって、現代へ戻らないと。

 異世界にいると、襲われないようにって眠りが浅くなるから、どうしても寝不足になるし。


 河原に戻った俺は、ワニに気を付けながら水を飲み、ステータスを確認する。

 ちょっとだけ凛々しくなった犬の顔が、俺を見つめ返した。


〈ステータス

種族:雑種犬

LV:17(+3)

HP:92(+6)

MP:76(+3)

物理攻撃力:104(+7)

物理防御力:40(+4)

魔法攻撃力:0(+0)

魔法防御力:42(+3)

俊敏性:126(+6)

器用性:37(+1)

スキル:ー〉

 

 うっは。全部項目が上がってる。久しぶりにレベルも上がったし、攻撃力とHPが大幅上昇だ。物理防御も地味に上がっているし、これは全部オークを倒した影響だろう。

 美味い。メチャクチャ美味いぞ、オーク討伐。肉もジューシーでウサギ肉よりもうま味が多かった。ちょっと脂肪分が多くて、出来たら焼肉にしたいんだけど…そんなことしてたら消えちゃうからな。


 ただ、問題もある。量が多い事だ。

 今の俺は中型犬。食べられる量には制限がある。さっきのオークも、お腹のところをかじった程度で満腹になってしまった。

 俺が人間だったらな。その倍は食べられただろう。体が小さいことが恨めしい。

 …まぁ、人間だったら生肉が食えないからな。そこは比べても仕方がない。


 俺は立ち上がり、歩き出す。

 目的地は無い。とにかく動いて、お腹を減らさないと。まさか異世界にまで来てダイエットに走るとは思わなかったけど、食べることが強くなる近道だから仕方がない。

 寧ろ、食べることで強くなるなら、こうして動くことでも強くなりそうなものだ。筋トレしたら、俊敏性とか物理攻撃力が上がるんじゃないか?


 そう思った俺は、草原の中を走る。ただそうしているだけで、心がワクワクしてくる。

 犬だからかな?走るだけでこれなら、ボールでも転がされた日には夢中になって追いかけまわしてしまいそうだ。

 随分と単純になった自分の性格を、俺は少し残念に感じた。

 

 でも、それは誤りだったと思い知る。どれだけ走っても飽きず、苦痛に感じることなくトレーニングをこなすことが出来たから。

 そして、お腹が空いて来る。あれだけパンパンだったのに、もうホーンラビットを見るだけでよだれが出て来るようになっていた。

 素晴らしい体だ。


【犬(ワフ)、最高だな(ウゥウ)~】


 俺は自分の境遇に感謝しながら、覚えたオークの匂いを辿る。先ほどオークを倒したところからほど近い場所で、少し小柄のオークを見つけた。

 う~ん。見つけたのは嬉しいけど、もしかしたら近くにオークの集落があるのかも。慎重に狩りを続けないと。


 と言う事で、俺はいきなり襲い掛かったりはせず、ワザと足音を立ててオークに発見させる。そして、驚いたふりをして来た道を戻る。すると、オークはよだれを垂らして付いて来た。

 よし、よし。いい子だ。悲鳴を聞いて仲間が来るかもしれないからね。もっと遠くまでランデブーしようか。


 そうして俺は、最初のオークを倒したところまで戻って来る。

 そして先ほどと同様に、素早さでかく乱して隙を突く。それだけで、オークは血だらけになっていた。

 攻撃力が大幅に上がったからだろうか。先ほどとは違い、俺の牙がオークの皮膚を貫通するようになっていた。脂肪が多くて嚙み切りにくいけど、ダメージが確実に入る様になっていた。

 凄い。メチャクチャ戦いやすい。


 俺は危なげなくオークを倒す。今回は目玉を繰りぬかなくても、首筋にガブリと二発入れただけで倒せてしまった。それだけ、物理攻撃力が上がったと言う事だろう。

 その攻撃力のお陰で、倒れたオークを食すのもかなり楽になっている。オークが消え始めるより前から牙が通り、肉が削ぎ取れるようになっていた。

 なっているんだけど…脂肪が口に纏わりついて、気持ち悪い。無理に呑み込んだら、胸やけするのが目に見えている。

 やっぱり、ちょっと萎んだ時がベストみたい。脂肪が消えるのを待とう。


 そうして食べ終わった俺は河原に戻り、水分補給とステータス確認を行う。

 やはり、大幅に強化されていた。


〈ステータス

種族:雑種犬

LV:18(+1)

HP:95(+3)

MP:77(+1)

物理攻撃力:109(+5)

物理防御力:42(+2)

魔法攻撃力:0(+0)

魔法防御力:42(+0)

俊敏性:122(+2)

器用性:37(+0)

スキル:ー〉


 相変わらず、HPと物理攻撃力の伸びが素晴らしい。やっぱりオークのステータスは随分と偏っている様子。

 そして、この食べる事で上がるステータスは1種類ではないと。ウサギとゴブリンは1種類ずつしか上がらなかったけど、オークは3つ。この違いは、オークが強い魔物だからなのか、それとも肉を大量に食べているからか。

 …一口だけにしたらどうなるんだろうな。同じ上昇率なら、その方が効率的だぞ?


 そう思って、次のオークは少ししか食べずにステータスを確認してみた。でも、レベルが1つ上がった以外にステータスの上昇はなかった。

 ある程度は食べる必要があるみたいだ。その下限は知りたいな。毎回全力ダッシュは、間接へのダメージも気になるし。

 俺は消えていくオークを見送り、次の獲物を探そうとした。でもその前に、そこに落ちていたドロップ品に目が行く。オークのドロップ品は、袋に入った球二つ。

 …いや、流石にこいつは食べたくない。仮に全能力が上がったとしても…嫌だ。

 俺は気分を変えて、走り出す。やっぱり走るのは最高だ。



 それからも俺は、オークを中心に狩りを続けた。

 どれくらい食べればいいのか実験したところ、口いっぱいに頬張るのを2回行わないとステータスが上がらなかった。そして、物理攻撃力が120を超えてからは、上昇率が大幅に減少した。

 そして、HPも120を超えてから変化が乏しくなり、逆に物理防御力は同じ成長率のままだった。

 これから考えるに…食べる魔物によって上昇率が固定されているんじゃなくて、その魔物と俺のステータスがどれだけ離れているかで決まって来るんじゃないかと思い始めた。それなら、同じ魔物を食べ続けて鈍化するのも分かる気がする。

 あくまで、仮説だが。


 そして、お腹を減らす為に走り続けた結果、驚く効果を見つけた。

 水を飲もうとステータスを見た時に、俺は飛び上がってしまった。


〈ステータス

種族:雑種犬

LV:25(+7)

HP:123(+28)

MP:84(+7)

物理攻撃力:125(+16)

物理防御力:57(+15)

魔法攻撃力:0(+0)

魔法防御力:45(+3)

俊敏性:136(+14)【+20】

器用性:40(+3)

スキル:瞬発力(極小)〉


 なんと、初めてのスキルをゲットしていたのだ。

なんと。スキルはレベルアップで得るものではなく、熟練度?を上げた先に得られる物なのですね。


「それはそれで、大変であるぞ?」

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― 新着の感想 ―
オークオーブ(仮称w)を大量に貪り食えば、信楽焼のタヌキみたいに2足歩行できる様になるかもよ?w(R15 現代社会に戻ったら、スピリタス(アルコール度数96度)とは行かずとも引火するようなアルコール…
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