表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者は神になれない  作者: ふたり旅団
ガロード編
45/50

深い闇の中で

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



深い闇の中。


そこには空も、地も存在しない。


光すらない空間。


音もない。


風もない。


ただ、静寂だけが広がっている。


その静寂の中で。


突然。


淡い光が一つ灯った。


まるで水面に浮かぶ文字のように。


光の記号が、ゆっくりと並び始める。


感情のない表示。


冷たい記録。


そこに浮かび上がる文字。


 


【個体識別:魔王】

【個体名称:ディグレイ】

【個体区分:現地調達兵器】

........................................

【脅威判定:72%】

【使用評価:70%】

........................................

【再計算開始】


 


文字列が止まる。


闇は何も答えない。


ただ。


静かに。


ゆっくりと。


計算が続いている。


遠くで何かが崩れるような。


見えない歯車が回るような。


そんな感覚だけが、闇に漂う。


やがて。


再び光が動き出した。


 


【個体識別:魔王】

【個体名称:ディグレイ】

【個体区分:現地調達兵器】

........................................

【脅威判定:72%】

【使用評価:0.6%】

........................................

【再評備考】

【廃棄決定】

【実施完了】

........................................


 


表示された文字が、静かに揺れる。


そして。


一つ。


また一つ。


光が消えていく。


最後に残ったのは。


無機質な記録だけだった。


やがてそれすら。


闇の中へ溶けていく。


まるで。


最初から何も存在しなかったかのように。


静寂が戻る。


だが。


完全な無ではなかった。


何かがいる。


何かが“見ている”。


意志のない意志。


形を持たない観測。


それが。


ただ、そこにあった。


記録するために。


選別するために。


切り捨てるために。


―― 我らは常に勝ち続ける


声ではない。


だが。


確かに、そう判断された。


闇の奥で。


何かが、僅かに揺らぐ。


次の対象。


次の計算。


次の“選別”。


光が、再び灯る。


 


【個体識別:姫巫女】

【個体名称:ノエリア】

【個体区分:計算中】

........................................

【脅威判定:85%】

【使用評価:計算中】

........................................

【計算開始】


 


数値が揺れる。


増減する。


不安定に。


まるで。


定義できない何かを測ろうとしているかのように。


一瞬。


表示が乱れる。


 


【誤差検出】

【再演算】


 


沈黙。


だが。


すぐに再開される。


冷酷に。


機械的に。


 


【補正完了】

【脅威判定:85% → 92%】


 


ほんのわずかに。


闇が、軋んだ。


あり得ない誤差。


許容範囲を逸脱した揺らぎ。


だが。


それすらも。


“処理対象”として組み込まれていく。


 


【優先監視対象へ指定】

【介入確率:算出中】


 


光が脈打つ。


まるで。


次の一手を楽しむように。


だがそこに。


感情はない。


ただの選択。


ただの最適化。


ただの悪意。


闇は再び、静寂に沈む。


しかし。


確かに。


何かが動き出していた。


誰にも気づかれない場所で。


観測されている感覚。


逃れられない視線。


世界の裏側で。


抗うことのできない計算が。


すでに、既に入り込んでいる。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



次回に続く。次はノエリア編。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ