表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者は神になれない  作者: ふたり旅団
レックス立志編
18/51

象徴

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「おい、なんでレックスたちを行かせた」


ガロードが低く唸る。


琥珀色の瞳が、デルタを睨みつけていた。


ガロードには分かっていた。


デルタなら――


追撃できた。


だが男は動かなかった。


デルタは軽く肩をすくめる。


「邪魔することは出来たよ」


静かな声だった。


「でもね」


「君に与えられる被害も無視できない」


「だから遠慮したんだ」


まるで散歩の話でもするような口調。


その余裕が、ガロードの神経を逆撫でした。


「……あっちにいるシグマという同僚はね」


デルタが遠くの礼拝堂の方をちらりと見る。


「とにかくサディスティックな奴でね」


口角がわずかに上がる。


「まあ、僕と似たような強さだ」


「ちっ」


ガロードは舌打ちした。


つまり、こういうことだ。


デルタを早く倒さないと、レックスが危ない。


わざとだ。


この男は、それを理解したうえで言っている。


精神を揺さぶるために。


「そして」


デルタが続ける。


「君さえ倒せば、追撃してシグマと挟撃すればいい」


氷のような瞳が細められる。


「その方が確実だろう?」


―― やっかいな相手だ。


ガロードは奥歯を噛んだ。


デルタは格上だ。


だがそれ以上に厄介なのは――


油断が一切ない。


慢心もない。


ただ冷静に、相手を殺すことだけを考えている。


プロだ。


―― レックス。


ガロードの胸に一瞬、弟分の顔が浮かぶ。


―― 死ぬなよ。


「退くつもりはないんだよな」


ガロードが低く言う。


デルタは静かに笑う。


「もちろんだよ」


一歩前に出る。


「謹んでお断りする」


次の瞬間。


ガロードが咆哮した。


「――オォォッ!!」


床石が砕ける。


狼のような速度で、ガロードが突っ込んだ。


デルタも同時に踏み込む。


互いに接近格闘型。


次の瞬間。


空中で――


蹴りがぶつかった。


ドンッ!!


衝撃波が礼拝堂の外壁を震わせる。


炎と氷。


そう表現するしかない。


ガロードの蹴りは荒々しく重い。


デルタの蹴りは鋭く、正確だった。


二人の脚が交差する。


蹴り。


回し蹴り。


膝。


肘。


一瞬で十合以上の攻防が交錯した。


「早い……!」


ガロードが唸る。


デルタは最小動作で動く。


無駄がない。


ガロードの拳を、身体に触れる直前で弾き落とす。


「想像より重いな」


デルタは平然と言った。


「今回で三度目だ」


拳と拳がぶつかる。


「だから君の力は十分に評価している」


ガロードの拳を流しながら、デルタは続けた。


「戦士としては一流だろう」


「……てめえ」


ガロードが踏み込む。


だが。


デルタの手が伸びた。


右腕を――


掴む。


その瞬間。


空気が歪んだ。


ガロードの耳が、わずかな音を捉える。


――危険。


本能が叫んだ。


「!?」


ガロードは無理やり身体を引く。


だが。


遅い。


爆ぜる音。


肉が裂けた。


空気が焦げる匂いが広がる。


「……ッ!!」


ガロードが後退する。


右腕から血が流れていた。


デルタはその血を見つめる。


「君の血の匂い」


静かに言う。


「嫌いじゃない」


ガロードが腕を押さえる。


傷は深い。


「僕の刻印兵装はね」


デルタが掌を見せた。


「密着しないと威力が出ない」


「いいのかよ」


ガロードが睨む。


「自分の武器の秘密、喋って」


デルタは笑う。


「いいさ」


氷青の瞳が細められる。


「僕は手札を晒しても」


一歩踏み出す。


「強いよ」


―― こいつは危険だ。


ガロードは理解した。


背後の礼拝堂から、激しい戦闘音が響いてくる。


壁が震える。


シグマとレックスの戦いだ。


だが。


今は目の前の敵だ。


デルタが静かに構える。


「続けようか」


城壁前の戦いは――


デルタ有利で始まっていた。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



礼拝堂の大扉が砕けるように開いた。


その中央に、レックスは立っていた。


息は荒い。


だが、その紅い瞳は真っ直ぐ前を見据えている。


その視線の先――


そこには、黒鉄の鎧を纏った女がいた。


血のような深紅のマントが、ゆらりと揺れる。


戦闘種族。


シグマ。


その背後には、礼拝堂の奥で息を呑むエルディナの姿があった。


「エルディナ様! ご無事ですか!」


少年の声が礼拝堂に響く。


「……はいっ!」


震える声。


しかしその顔には、安堵が浮かんでいた。


来てくれた。


レックスが。


その光景を見て、黒鎧の女がゆっくりと首を傾ける。


「何だ、お前は」


声は柔らかい。


だが、底に潜む嘲笑は隠そうともしない。


レックスは棍棒を構えた。


「……デルタの言ってた、帝國の戦闘種族か」


シグマの口元がわずかに歪む。


「邪魔だ」


次の瞬間――


消えた。


視界から完全に。


「遅いのよ」


背後。


声がした瞬間。


レックスの身体は反射で動いた。


棍棒を振り向きざまに叩きつける。


―― キィン!!


二つの刃が、火花を散らす。


左右から振るわれた魔剣が、同時に棍棒へ食い込んでいた。


シグマの目が、わずかに細まる。


「……何、それ」


鉄すら両断する刃。


それが、少年の棍棒を斬れない。


レックスは答えない。


彼自身も、この武器の異様な耐久を完全には理解していない。


だが――


今はどうでもいい。


「エルディナ様!」


叫ぶ。


「皆を連れて脱出を!」


そのまま踏み込み、棍棒を突き出す。


だが。


シグマは軽く身体を捻った。


まるで舞うように。


攻撃は空を切る。


その瞬間。


チッ。


頬に小さな痛み。


「……!」


レックスが後退する。


一拍遅れて。


赤い血が頬を伝った。


「レックス!」


エルディナの悲鳴。


シグマは、すれ違いざまに剣先で頬を撫でただけだった。


それだけ。


それだけで、血が流れる。


レックスの背筋が冷える。


シグマは剣先を眺めながら、楽しげに呟いた。


「なるほど」


「血が出るのね」


「物の怪ではない、と」


―― キィン。


遅れて、音。


レックスの背後の石柱が、斜めに滑り落ちた。


切断面は鏡のように滑らかだった。


「武器の問題ではなさそうね」


シグマが微笑む。


次の瞬間。


嵐が来た。


左手の剣だけ。


それだけで、凄まじい連撃が降り注ぐ。


音がない。


風切り音すらない。


だが。


レックスは、動いた。


避ける。


弾く。


受ける。


棍棒が火花を散らす。


シグマの瞳が、僅かに見開かれた。


「……童の太刀筋を追えるのか」


興味。


純粋な、戦闘への興味。


だがレックスには分かる。


この女は――


自分を敵だと思っていない。


狩りだ。


獲物だ。


娯楽。


それでも。


レックスは退かない。


浅い傷が増える。


肩。


腕。


脇腹。


血が床に落ちる。


それでも、棍棒は止まらない。


「すごい……どうして……」


遠くでエルディナが呟く。


彼女の隣で、老貴族が静かに言った。


「間合いだ」


アルドリック・ヴァルハイト侯爵。


鋭い目で戦いを見ている。


「肩の振り、腕の長さ、剣の軌道」


「それを読んで避けている」


だが。


侯爵の表情は険しい。


「しかし……」


レックスの攻撃は。


一度も当たらない。


シグマは、軽く避け続けている。


「……面白いじゃない」


瞬間。


血が弾けた。


レックスの左肩。


深く斬られる。


「くっ……!」


シグマの笑みが深くなる。


「いいわ」


「もっと踊りましょう?」


レックスは歯を食いしばる。


そして叫んだ。


「早く行け!」


「エルディナ!」


声はもう、少年のものではない。


戦場の声だった。


「男爵領の人たちが危ない!」


礼拝堂に沈黙が落ちる。


そして。


侯爵が静かに言う。


「行きなさい」


「エルディナ・ヴァルディア」


「彼の覚悟を、無駄にするな」


エルディナは震えながら立ち上がった。


「……はい」


そして走り出す。


礼拝堂の外へ。


シグマが剣を掲げた。


「逃げられるとでも?」


雷が集まる。


「させるか!」


レックスが踏み込む。


全力の突き。


だが。


シグマはわずかに頭を傾けた。


回避。


そして――


「死ね」


雷光が放たれる。


「エルディナ!!」


だが。


バチッ。


空中に魔法障壁が現れた。


雷が弾け散る。


「今だ! 走れ!」


侯爵の刻印魔法。


エルディナは振り返らない。


そのまま戦場へ走り去る。


やがて礼拝堂に残ったのは。


二人。


レックス。


そして。


シグマ。


黒鎧の女は、愉快そうに笑った。


「羽虫を逃がす褒美よ」


「童を楽しませよ」


赤紫の瞳が細くなる。


「できなければ――」


「羽虫が死ぬだけ」


レックスは棍棒を握り直す。


震えは止まっていた。


勝てない。


それは分かっている。


だが。


負けるとは、まだ決まっていない。


レックスは小さく息を吐く。


紅い瞳が、鋭くなる。


戦いは。


ここからだった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



礼拝堂の外へ出たエルディナを、二人の侍女が迎えた。


「エルディナ様、ご無事で……!」


クラリッサとミレイユが同時に駆け寄る。


二人の顔には明らかな安堵が浮かんでいた。


「大丈夫です」


エルディナは静かに微笑み、二人を安心させるように頷いた。


だがその目はすでに、礼拝堂の外――


煙と怒号が上がる城内へ向けられていた。


「状況を」


近くにいた衛兵へ短く告げる。


「はっ!」


兵士は敬礼し、すぐに報告を始めた。


「現在、ルシアン殿が指揮をとり帝國軍の侵入を食い止めております」


「しかし……戦況は芳しくありません」


兵士の声は重かった。


「城壁の破壊による混乱、奇襲による士気低下」


「さらにグレイヴァス閣下が重傷を負われ、指揮系統が……」


そこまで聞いたところで、エルディナは侍女たちへ振り返る。


「鎧と兜を」


「……はい!」


クラリッサとミレイユはすぐに動いた。


程なくして、軽装の騎士鎧が運ばれてくる。


エルディナは迷いなく袖を通した。


金糸の髪をまとめ、兜を被る。


腰にレイピアを差した。


「お父様」


エルディナは父、アルベリオ・ヴァルディアを見た。


「わたしが陣頭指揮をとります」


その言葉に周囲がざわめく。


だがエルディナは続けた。


「叔父様は重傷です」


「レオナルト様も戦線離脱」


「今、指揮系統を立て直さなければ――」


「ヴァルディアは墜ちます」


アルベリオはしばらく娘を見つめていた。


そして、短く頷く。


「……わかった」


「お前に全権を託す」


迷う時間はなかった。


「エルディナ様、馬の用意ができました!」


兵士が軍馬を引いてくる。


エルディナは鐙に足をかけ、軽やかに馬上へ上がった。


だが――


手綱を握る手が、わずかに震える。


胸の奥が冷たい。


怖い。


戦場に向かうのは初めてではない。


それでも、恐怖は消えない。


逃げたい。


そんな感情が胸をよぎる。


そのとき。


―― 早く行け、エルディナ!


―― 男爵領の人たちが危ない!


レックスの声が脳裏によみがえった。


命を懸けて、彼は自分を行かせてくれた。


ならば。


応えなければならない。


エルディナは息を吸った。


震えは止まる。


青い瞳がまっすぐ前を向いた。


「行きます!」


軍馬が駆け出した。


向かう先は――戦場。


 ヴァルディア内城門前。


石畳の広場は、すでに戦場と化していた。


剣戟の音。


怒号。


逃げ惑う住民。


帝國軍が押し寄せ、ヴァルディア兵が必死に食い止めている。


「隊列を崩すな!」


鋭い声が響いた。


ルシアン・ヴァルツァー。


若き騎士隊長が剣を振るいながら叫ぶ。


だが状況は悪い。


兵は散り、陣形は崩れていた。


このままでは崩壊する。


―― まずい。


ミレーネは舌打ちした。


「隊列を立て直せ! 狼狽えるな!」


そのときだった。


戦場に、よく通る声が響いた。


「ヴァルディアの兵士たち!」


ミレーネが振り向く。


そこにいたのは――


「エルディナ様……!」


軍馬にまたがる少女。


軽鎧を纏い、レイピアを掲げる姿。


金色の髪が戦場の風に揺れる。


まるで戦乙女だった。


「ヴァルディア男爵領の兵士たちよ!」


エルディナの声が戦場を貫く。


「我らの民を守りなさい!」


「暴力に屈してはなりません!」


「帝國を追い出すのです!」


剣が掲げられる。


その姿を見た瞬間。


兵士たちの顔が変わった。


「令嬢様が……前線に!?」


ざわめき。


そして――


歓声。


エルディナは領民に愛されていた。


その令嬢が。


逃げず。


前線に立ち。


共に戦う。


それだけで兵の士気は跳ね上がった。


「隊列を再編する!」


ルシアンが叫ぶ。


「押し返すぞ!」


剣が振るわれる。


ヴァルディア兵が前へ出る。


帝國軍が押し返され始めた。


ミレーネは小さく笑う。


「……本当に」


剣を抜いた。


「無茶な令嬢ですね」


そして駆け出す。


「護衛泣かせですよ、エルディナ様」


銀髪が風を切る。


その横で、ルシアンが静かに呟いた。


「……この方こそ」


「男爵領の未来でしょう」


戦場の流れが変わり始めていた。


ヴァルディア男爵領軍は――


帝國軍を押し戻しつつあった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「こいつは……」


帝国軍の戦列を見渡しながら、デルタは小さく呟いた。


軍人としての経験が告げている。


戦場の流れが変わった。


理由は明白だった。


城門広場の中央。


軍馬にまたがり、剣を掲げる少女。


エルディナ・ヴァルディア。


「あの娘か」


デルタは静かに息を吐く。


作戦でも戦術でもない。


だが、戦場では時として最も危険な要素。


―― 象徴。


兵士たちの目に、明らかな光が戻っている。


ヴァルディア兵は押し返し始めていた。


帝国兵がじりじりと後退している。


「……面倒だね」


デルタは舌打ちした。


計算外。


だが、馬鹿にはできない。


このままでは戦線が崩れる。


ならば――


早く終わらせるしかない。


視線を戻す。


目の前にいるのは、銀髪の少年。


ガロード。


同時に。


ガロードも戦場の変化に気づいていた。


遠くで響く歓声。


ヴァルディア軍の士気が上がっている。


「……エルディナ様、やるじゃねえか」


小さく呟く。


状況は同じだ。


お互い、急ぐ必要がある。


レックスを救うために。


帝国軍を救うために。


互いの目的が、剣のようにぶつかる。


そして次の瞬間。


二人は同時に動いた。


ガロードが地面を蹴る。


デルタも前へ出る。


正面衝突。


拳と掌がぶつかる。


衝撃が石畳を震わせた。


「速いね」


デルタの声は静かだった。


だが、その掌が閃く。


魔力を帯びた打撃。


ガロードが腕で受ける。


衝撃。


骨が軋む。


「……ッ!」


ガロードの体が吹き飛ぶ。


地面を転がり、すぐに立ち上がる。


だが。


次の瞬間には、もうデルタが目の前にいた。


掌打。


肘。


蹴り。


無駄がない。


まるで機械のような連撃。


ガロードは反撃する。


拳を叩き込む。


だが――


軽く躱される。


「残念だ」


デルタは淡々と言った。


「君は強い」


「でも、まだ壊れる瞬間が見える」


掌がガロードの腹に触れる。


爆ぜた。


魔力の爆発。


衝撃が体内を揺らす。


「ぐッ……!」


ガロードの膝が沈む。


血の味が口に広がる。


デルタは静かに微笑んだ。


「壊れる瞬間の表情が好きなんだ」


拳が振り下ろされる。


ガロードはかろうじて腕で受ける。


だが、防ぎきれない。


打撃。


衝撃。


ダメージが蓄積していく。


視界が揺れる。


膝が震える。


その時。


―― ガロード。


師の声が、脳裏に響いた。


オルグラート。


滅多に教えない武の師。


だが、時折。


ぽつりと核心を突く言葉を残す。


―― お前は、お前を理解しておらん。


あの巨大な男はそう言った。


―― お前の血は、魔王国でも自由を愛した銀狼族の末裔。


―― 奴らは捕まえられぬ。


―― 疾風だ。


視界の端で、デルタが動く。


次の一撃。


その瞬間。


ガロードの口元に、笑みが浮かんだ。


口の中は血の味なのに。


笑っていた。


「……そうかよ」


地面を蹴る。


大きく後ろへ跳んだ。


石畳を削りながら距離を取る。


デルタは追わない。


静かに観察している。


「逃げるのかい?」


「違う」


ガロードは息を吸った。


胸いっぱいに空気を取り込む。


背筋が伸びる。


肩が落ちる。


全身の力を抜く。


そして。


大きく咆哮した。


狼の遠吠えのような声。


「俺は――」


銀髪が風に揺れる。


琥珀の瞳が光る。


「疾風だ!」


瞬間。


心臓が跳ね上がった。


ドクン。


ドクン。


血が駆け巡る。


本能が解放される。


風が巻き起こる。


砂塵が舞い上がる。


デルタの目が、わずかに見開かれた。


「……なるほど」


その瞬間。


ガロードの姿が――


消えた。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ