↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
26/27

平均的な女子を目指します

第二十四章 前日対策会議


木曜日。


---


体力測定前日。


---


朝から気分が重かった。


---


非常に重かった。


---


理由は明白だった。


---


明日。


---


運命の日である。


---


俺は机に突っ伏した。


---


「おはよー!」


---


元気な声。


---


ひまりだった。


---


今日も全力だった。


---


「おはよう」


---


「元気ない!」


---


「普通」


---


「嘘だ!」


---


即否定された。


---


なぜ分かる。


---


「顔に書いてある」


---


ひまりが言う。


---


そんな能力があったら怖い。


---


◇◇◇


---


ホームルーム。


---


先生が教室へ入ってくる。


---


「明日は予定通り体力測定です」


---


教室からため息。


---


あちこちで悲鳴。


---


「嫌だー」


---


「走りたくないー」


---


「体重計壊れろー」


---


物騒だった。


---


先生は苦笑する。


---


「諦めなさい」


---


正論だった。


---


俺は静かに目を閉じた。


---


逃げたい。


---


◇◇◇


---


一時間目終了。


---


休み時間。


---


「ねえねえ」


---


ひまりがこちらを見る。


---


嫌な予感がした。


---


高確率で当たる。


---


「悠って運動得意?」


---


当たった。


---


しかも最悪な方向で。


---


「普通だよ」


---


「またそれ」


---


美月が笑う。


---


「悠の普通は信用できない」


---


なぜだ。


---


「この前もそう言ってたじゃない」


---


綾乃まで乗っかる。


---


包囲網だった。


---


「まあ運動神経は良さそうよね」


---


「分かるー」


---


やめてほしい。


---


本当に。


---


「そんなことないって」


---


俺は笑う。


---


誤魔化す。


---


だが。


---


正直。


---


かなり焦っていた。


---


期待値が上がるのは危険だ。


---


目立つのも危険だ。


---


何より。


---


理央がいる。


---


◇◇◇


---


昼休み。


---


四人で昼食。


---


話題は当然。


---


体力測定だった。


---


「シャトルランだけは嫌」


---


ひまりが断言する。


---


「昨日も言ってた」


---


美月が呆れる。


---


「だって辛いもん!」


---


それはそう。


---


俺も同意見だった。


---


「悠は何が一番不安?」


---


綾乃が聞く。


---


俺は少し考える。


---


全部だった。


---


全部危険だった。


---


しかし。


---


そんなことは言えない。


---


「握力かな」


---


「意外」


---


綾乃が目を瞬く。


---


「なんで?」


---


なんでだろう。


---


俺も知りたい。


---


本当は。


---


一番誤魔化しにくそうだったからだ。


---


もちろん言えない。


---


「なんとなく」


---


便利な言葉だった。


---


◇◇◇


---


昼休みの終わり。


---


みんなが席へ戻る。


---


その時だった。


---


「悠」


---


声がした。


---


理央だった。


---


俺は少し身構える。


---


反射的に。


---


「なに?」


---


「体力測定」


---


やはり来た。


---


最近。


---


理央との会話の半分くらいが危険な気がする。


---


「明日だね」


---


「そうだね」


---


「頑張って」


---


普通の会話。


---


普通の言葉。


---


だが。


---


理央は続けた。


---


「記録楽しみにしてる」


---


心臓が止まりかけた。


---


「なんで?」


---


思わず聞き返す。


---


理央は笑う。


---


「なんとなく」


---


俺がさっき使った言葉だった。


---


嫌な偶然だった。


---


「そっか」


---


俺も笑う。


---


理央も笑う。


---


しかし。


---


妙に落ち着かなかった。


---


◇◇◇


---


放課後。


---


帰宅。


---


俺は自室の椅子に座った。


---


そして。


---


ノートを開く。


---


人生で初めての。


---


体力測定対策ノートである。


---


虚しかった。


---


非常に。


---


ページの上には。


---


『作戦』


---


と書かれている。


---


その下。


---


握力。


---


『本気禁止』


---


反復横跳び。


---


『速すぎ禁止』


---


立ち幅跳び。


---


『飛びすぎ禁止』


---


シャトルラン。


---


『頑張りすぎ禁止』


---


見事だった。


---


全部禁止事項だった。


---


どうしろというのか。


---


俺は頭を抱えた。


---


◇◇◇


---


夜。


---


夕食後。


---


ベッドに寝転ぶ。


---


天井を見上げる。


---


明日。


---


すべてが決まる。


---


大げさではない。


---


少なくとも俺にとっては。


---


普通の女子として。


---


自然に。


---


違和感なく。


---


体力測定を終える。


---


それだけだ。


---


それだけなのに。


---


難しすぎる。


---


スマホを見る。


---


時刻は二十三時前。


---


そろそろ寝るべきだろう。


---


明日に備えて。


---


俺は深く息を吐く。


---


大丈夫。


---


目立たなければいい。


---


普通にやればいい。


---


そう。


---


普通に。


---


そのはずだった。


---


第二十四章 前日対策会議 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。