平均的な女子を目指します
第二十三章 女子の平均値は難しい
水曜日。
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体力測定まで。
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あと二日。
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俺は朝から現実を突きつけられていた。
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スマホの画面。
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昨日調べた記録一覧。
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『女子高校生 体力測定 平均』
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握力。
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二十五キロ前後。
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俺は黙った。
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もう一度見る。
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二十五。
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やっぱり二十五。
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女子としては普通の数字だ。
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問題は。
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俺が普通じゃないことだった。
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本気で握ったら終わる。
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本当に終わる。
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◇◇◇
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登校中。
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俺は考えていた。
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男子だった頃。
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握力は四十キロ台後半だった。
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運動部でもない。
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むしろ普通。
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普通の男子だった。
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だから困る。
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今の俺も。
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体力は多少落ちているだろう。
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だが。
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女子平均まで落ちているとは思えない。
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二十五。
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その数字がやけに遠く感じた。
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◇◇◇
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休み時間。
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当然のように。
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話題は体力測定だった。
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「私、握力だけは自信ある!」
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ひまりが胸を張る。
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「何キロ?」
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美月が聞く。
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「二十八!」
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「微妙」
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「えー!?」
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教室に笑いが起きる。
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綾乃も苦笑していた。
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「二十八なら結構ある方じゃない?」
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「そうかな?」
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「女子なら十分じゃない?」
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その会話を聞きながら。
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俺は内心で凍っていた。
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二十八。
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結構ある方。
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そうなのか。
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知らなかった。
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本当に知らなかった。
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「悠は?」
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突然。
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ひまりが話を振ってきた。
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「え?」
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「握力どれくらいだと思う?」
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危険質問だった。
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非常に危険だった。
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「二十五くらいじゃないかな」
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無難な数字を答える。
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「悠ならもっとありそう」
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美月が言った。
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心臓が跳ねる。
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やめてくれ。
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本当に。
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「そんなことないよ」
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「手大きいし」
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「関係ないって」
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俺は笑って誤魔化した。
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だが。
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背中には嫌な汗が流れていた。
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◇◇◇
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昼休み。
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俺は机に突っ伏していた。
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握力。
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二十五。
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反復横跳び。
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女子平均。
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シャトルラン。
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女子平均。
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数字は分かった。
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問題は。
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どうやってその数字を出すかだった。
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本気を出せば駄目。
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下手に手を抜いても駄目。
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自然に。
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女子らしく。
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それが難しい。
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「顔怖いよ」
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声がした。
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理央だった。
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俺は顔を上げる。
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「そう?」
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「そう」
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理央は即答した。
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容赦がなかった。
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「体力測定?」
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鋭い。
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最近本当に鋭い。
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「まあね」
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「そんなに嫌なんだ」
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「普通だよ」
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すると。
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理央は少し首を傾げた。
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「普通の人って平均記録まで調べる?」
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終わった。
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俺は思った。
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終わった。
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見られていた。
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あの日。
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確実に見られていた。
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「参考程度だよ」
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なんとか平静を装う。
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「へえ」
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理央は笑う。
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しかし。
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納得した顔ではない。
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そんな気がした。
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「何か隠してる?」
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心臓が止まりそうになった。
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「別に」
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即答。
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反射だった。
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理央はしばらく俺を見る。
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そして。
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「負けず嫌い?」
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「まあ」
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「なるほど」
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頷く。
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だが。
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どこか引っかかっているようにも見えた。
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気のせいであってほしい。
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切実に。
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◇◇◇
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放課後。
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帰宅後。
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俺は自室にいた。
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作戦会議。
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参加者は俺一人。
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昨日と同じだった。
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「さて」
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まず握力。
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握力計はない。
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終わった。
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開始五秒だった。
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過去最速である。
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仕方なく。
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近くにあったペットボトルを握る。
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べこっ。
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少し潰れた。
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参考にならない。
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全く参考にならない。
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「そうじゃない」
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欲しいのは。
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全力の数字じゃない。
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女子らしい数字だ。
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次。
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走る。
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軽く近所を走ってみる。
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余裕だった。
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参考にならない。
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さらに階段を駆け上がる。
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普通だった。
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参考にならない。
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結論。
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何も分からない。
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本当に何も分からない。
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俺はベッドへ倒れ込んだ。
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女子を演じるのは慣れてきた。
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話し方。
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仕草。
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表情。
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服装。
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全部。
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毎日気を付けている。
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だが。
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体力だけは。
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演技ではどうにもならない。
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◇◇◇
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夜。
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ベッドの上。
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天井を見上げる。
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体力測定まで。
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あと一日。
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握力。
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反復横跳び。
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立ち幅跳び。
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シャトルラン。
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全部。
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自然にやらなければならない。
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男子だと疑われないように。
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女子として違和感がないように。
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そして。
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理央にも怪しまれないように。
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難易度が高すぎる。
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俺はため息を吐いた。
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女子の平均値は分かった。
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だが。
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女子の平均になりきる方法は。
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まだ分からなかった。
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第二十三章 女子の平均値は難しい 完




