平均的な女子を目指します
第二十五章 運命の体力測定
金曜日。
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ついに来た。
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運命の日。
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体力測定当日である。
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俺は朝から緊張していた。
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かなり。
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いや。
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ものすごく。
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「おはよー!」
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いつもの声。
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ひまりだった。
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今日も元気だった。
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羨ましい。
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精神力を分けてほしい。
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「おはよう」
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「悠顔硬い!」
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「そうかな」
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「硬い」
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即答だった。
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そんなに分かりやすいだろうか。
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分かりやすいのだろう。
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きっと。
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◇◇◇
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ホームルーム。
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先生が教壇に立つ。
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「今日は予定通り体力測定です」
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教室中からため息。
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俺も吐いた。
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心の中で。
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「去年の記録更新頑張りましょう」
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先生は言う。
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頑張りたくなかった。
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記録更新だけは。
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本当に。
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◇◇◇
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一時間目終了後。
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体育館へ移動。
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各クラスごとに測定が始まる。
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最初の種目は。
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身長だった。
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「次ー」
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順番が回ってくる。
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俺は測定台へ立った。
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身長は諦めている。
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誤魔化しようがない。
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結果。
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去年とほぼ同じ。
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問題なし。
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たぶん。
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次。
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体重。
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もっと問題なし。
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誤魔化しようがない。
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数字を見て。
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俺は静かに諦めた。
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考えても仕方ない。
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◇◇◇
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そして。
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問題の種目。
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握力。
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ついに来た。
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俺は握力計を見る。
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敵だった。
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完全に敵だった。
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「頑張ってねー」
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ひまりが言う。
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頑張ってはいけない。
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今日一番大事なことである。
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俺は深呼吸した。
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そして。
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握る。
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本気ではない。
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適度に。
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自然に。
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女子らしく。
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そう意識する。
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だが。
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加減など分からない。
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表示された数字。
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二十九。
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俺は固まった。
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どうなんだ。
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これは。
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高いのか。
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普通なのか。
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分からない。
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「おー」
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ひまりが声を上げる。
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心臓が跳ねた。
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「結構あるじゃん」
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らしい。
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危険だったかもしれない。
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ぎりぎりだったかもしれない。
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分からない。
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だが。
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再測定はない。
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助かった。
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◇◇◇
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反復横跳び。
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これも危険だった。
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速く動ける。
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だからこそ困る。
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俺は必死に自分を抑えた。
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結果。
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無難。
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たぶん。
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無難。
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お願いだから無難であってくれ。
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◇◇◇
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立ち幅跳び。
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飛ぶ。
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着地する。
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「おー」
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また誰かが言った。
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やめてほしい。
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本当に。
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記録など発表しなくていい。
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静かに測らせてほしい。
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心からそう思った。
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◇◇◇
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午前最後。
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シャトルラン。
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最大の難関。
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ラスボスだった。
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体育館へ並ぶ。
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みんな憂鬱そうだった。
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俺もだ。
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別の意味で。
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「嫌だー」
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ひまりが泣きそうな声を出す。
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「諦めなさい」
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美月が言う。
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「悠も嫌だよね?」
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聞かれる。
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当然だった。
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「うん」
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本音だった。
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非常に。
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◇◇◇
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電子音が鳴る。
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スタート。
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生徒たちが走り始める。
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俺も走る。
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まだ余裕。
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当然だ。
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問題はここからだった。
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人数が減っていく。
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一人。
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また一人。
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脱落していく。
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ひまりも途中で力尽きた。
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床に座り込んでいる。
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お疲れ様である。
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俺はまだ走っていた。
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まずい。
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少しまずい。
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まだ余裕がある。
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だが。
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余裕そうに見えてはいけない。
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自然に。
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女子らしく。
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苦しそうに。
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しかし不自然ではなく。
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難易度が高すぎる。
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役者になった気分だった。
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◇◇◇
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その時。
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視線を感じた。
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理央だった。
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体育館の端。
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順番待ちをしながら。
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こちらを見ている。
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目が合った。
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一瞬だけ。
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理央が首を傾げる。
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嫌な予感がした。
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非常に。
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俺は視線を逸らした。
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走ることに集中する。
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集中しろ。
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今はそれだけだ。
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◇◇◇
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さらに人数が減る。
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そして。
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そろそろか。
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俺はタイミングを計った。
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少し遅れる。
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無理をしたように息を吐く。
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数回。
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そして。
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ラインに届かなかった。
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終了。
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俺は床へ座り込んだ。
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疲れた。
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演技で。
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精神的に。
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とても。
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◇◇◇
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測定終了後。
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俺はスポーツドリンクを飲んでいた。
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生還した。
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たぶん。
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今のところは。
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「悠」
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声がした。
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理央だった。
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嫌な予感しかしない。
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「シャトルラン」
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「うん」
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「結構残ってたね」
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終わったかもしれない。
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俺は思った。
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「たまたまだよ」
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「そう?」
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理央は少し笑う。
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そして。
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小さく呟いた。
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「なんか不思議」
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心臓が跳ねた。
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「何が?」
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「ううん」
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理央は首を振る。
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「気のせい」
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そう言って去っていく。
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俺はその背中を見送った。
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気のせいではない。
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たぶん。
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理央は何かに気付いている。
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まだ確信ではない。
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だが。
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少しずつ。
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確実に。
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近付いている。
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そんな気がした。
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体力測定は終わった。
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しかし。
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問題はまだ終わっていなかった。
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第二十五章 運命の体力測定 完




