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平均的な女子を目指します

第三話 平均的な女子を目指します編

第二十一章 先延ばしの終わり


月曜日。


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眠い。


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とても眠い。


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瞼が重い。


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身体も重い。


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原因は分かっている。


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お泊まり会だ。


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あれだけ騒いで。


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あれだけ緊張して。


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あれだけ危険な目に遭えば当然だった。


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私は机に突っ伏した。


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「おはよー!」


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元気な声が響く。


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顔を上げる。


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ひまりだった。


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朝から全力だった。


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「おはよう」


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「元気ない!」


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「眠い」


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正直に答える。


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「私も!」


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嘘だと思った。


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全然眠そうに見えない。


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「ひまりは寝不足でも元気だから参考にならないよ」


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美月が呆れたように言う。


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「えへへ」


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ひまりはなぜか嬉しそうだった。


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褒められていると思ったらしい。


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違う。


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絶対に違う。


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「みんな大丈夫?」


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綾乃が席へ座りながら聞く。


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「私は平気かな」


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「私は眠い」


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美月が即答する。


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「私も」


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私も便乗した。


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すると。


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「珍しいわね」


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綾乃が少し笑った。


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「悠もそんな顔するのね」


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「そんな顔?」


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「今にも寝そうな顔」


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否定できなかった。


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その時。


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理央が教室へ入ってきた。


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「おはよう」


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「おはよう」


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短いやり取り。


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理央は席へ向かう。


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その途中。


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一瞬だけ。


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こちらを見た。


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気のせいかもしれない。


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でも。


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お泊まり会の後から。


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妙に目が合う気がする。


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気のせいであってほしい。


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切実に。


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◇◇◇


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ホームルーム。


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担任の先生が教室へ入ってきた。


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「おはよう、みんな」


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挨拶が返る。


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私は半分眠っていた。


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提出物。


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委員会。


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進路関係の連絡。


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いつもの話だ。


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そして。


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次の瞬間だった。


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眠気が吹き飛ぶ。


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「それから連絡があります」


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先生がプリントをめくる。


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「先月延期になった身体・体力測定だけど」


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教室がざわついた。


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嫌な予感。


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非常に嫌な予感だった。


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先月。


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身体・体力測定の日。


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私は測定中に倒れてしまった。


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そのせいで。


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測定は途中で中断。


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再実施は未定のままだった。


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だが。


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ついに。


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「再実施の日程が決まりました」


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先生が黒板に日付を書く。


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『金曜日』


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「今週の金曜日に行います」


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世界が終わった。


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本当に終わった。


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「えーっ!」


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教室中から悲鳴が上がる。


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「体重測るの嫌ー!」


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「シャトルランやりたくない!」


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「最悪ー!」


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先生は苦笑した。


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「先生だってやりたくないわよ」


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教室が少し笑う。


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「でもやらないといけないからね」


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もっともだった。


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「それまでに体調は整えておくこと」


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「前回みたいに倒れないようにね」


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その言葉が。


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私には死刑宣告に聞こえた。


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◇◇◇


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休み時間。


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当然。


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話題は測定のことになった。


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「今年は身長伸びてるかなー!」


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ひまりが言う。


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「まず体重を心配しなさい」


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美月が突っ込む。


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「大丈夫だもん!」


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「どこからその自信が出るの」


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綾乃が苦笑している。


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平和だった。


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みんなは。


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私は平和ではなかった。


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身長。


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まだいい。


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体重。


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かなり危険。


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握力。


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危険。


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反復横跳び。


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危険。


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立ち幅跳び。


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危険。


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長座体前屈。


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危険。


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シャトルラン。


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大危険。


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つまり。


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全部危険だった。


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「悠は?」


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ひまりが聞いた。


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「え?」


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「何が一番嫌?」


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私は少し考える。


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そして。


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「全部」


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正直に答えた。


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「分かるー!」


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ひまりが大きく頷いた。


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意味は違う。


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絶対に。


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◇◇◇


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昼休み。


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私は机に突っ伏した。


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どうする。


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どうすればいい。


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身長は誤魔化せない。


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体重も誤魔化せない。


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握力は加減が必要。


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走る系はもっと危険。


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本気で走れば目立つ。


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かといって遅すぎても不自然。


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難しすぎる。


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「顔怖いよ」


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突然声がした。


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理央だった。


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私は少し飛び上がる。


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「驚いた」


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「考え事?」


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「ちょっと」


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「測定のこと?」


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鋭い。


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本当に鋭い。


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「まあね」


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曖昧に返す。


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すると。


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理央は少しだけ首を傾げた。


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「そんなに嫌なの?」


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「普通」


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「普通じゃない顔してる」


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即座に返された。


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反論できなかった。


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◇◇◇


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放課後。


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チャイムが鳴る。


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生徒たちは帰る準備を始める。


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私は席に座ったままだった。


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金曜日まで。


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あと四日。


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何もしなければ終わる。


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だから。


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何か考えなければならない。


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最低でも。


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女子として自然な数値と記録を出す方法を。


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私はゆっくり立ち上がった。


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まだ作戦はない。


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だが。


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悩んでいるだけでは始まらない。


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身長。


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体重。


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そして体力測定。


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すべてを乗り切るための戦いが。


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今。


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始まろうとしていた。


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第二十一章 先延ばしの終わり 完


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