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お泊り会は危険がいっぱい

第十九章 一ノ瀬理央の確信

目が覚めた。


---


正確には。


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ほとんど眠れなかった。


---


窓の外は少しずつ明るくなっている。


---


朝だった。


---


理央は静かに目を開く。


---


周囲を見る。


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ひまり。


爆睡。


---


美月。


爆睡。


---


綾乃。


静かに眠っている。


---


そして。


---


柏木悠。


---


何事もなかったように眠っていた。


---


理央は小さく息を吐く。


---


寝不足だった。


---


原因は分かっている。


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さっきの出来事。


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洗面所での事故。


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あれが頭から離れない。


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◇◇◇


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変だ。


---


やっぱり変だ。


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理央は天井を見上げる。


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最初は本当に些細な違和感だった。


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女子の話題。


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恋愛の話。


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周囲の反応。


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少しだけ。


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みんなとズレていた。


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それだけだった。


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でも。


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それが積み重なっていく。


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体育の着替え。


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更衣室を使わない。


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保健室。


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部室。


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トイレ。


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とにかく人前で着替えない。


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そして。


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お風呂。


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あれほど露骨に避ける理由が分からない。


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さらに。


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恋愛トーク。


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男子の考え方に妙に詳しかった。


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本人は誤魔化した。


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でも。


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あの時の反応は覚えている。


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理央は目を閉じた。


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整理する。


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一つ一つ。


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冷静に。


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順番に。


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◇◇◇


---


理由を考える。


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まず。


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悠は嘘が下手だ。


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そこは分かる。


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誤魔化す時の顔も。


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話題を逸らす時の癖も。


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だんだん分かってきた。


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だからこそ。


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余計に引っかかる。


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何かを隠している。


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それは間違いない。


---


でも。


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何を?


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そこだけが分からない。


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◇◇◇


---


昨夜。


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悠の荷物を見ようとした。


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結局見られなかった。


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綾乃に止められたから。


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今思うと。


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少し反省している。


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良くないことだった。


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確かに。


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その通りだ。


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それでも。


---


知りたかった。


---


理由が。


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正体が。


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あの違和感の正体を。


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◇◇◇


---


そして。


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今朝。


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洗面所。


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理央はその光景を思い出す。


---


近かった。


---


本当に近かった。


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あと少しだった。


---


あと数秒だった。


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何かを見た。


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確かに見た。


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でも。


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決定的ではない。


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説明できない。


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証拠にもならない。


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ただ。


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おかしかった。


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それだけは分かる。


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「……なんなの」


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理央は小さく呟いた。


---


もちろん。


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返事はない。


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◇◇◇


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その時だった。


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隣で寝返りを打つ音がした。


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悠だった。


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理央は視線を向ける。


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穏やかな寝顔。


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昨日も思った。


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優しい人だ。


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ひまりの話を聞く。


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美月を気遣う。


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綾乃を励ます。


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誰に対しても優しい。


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だからこそ。


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余計に分からない。


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なぜ。


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そこまで壁を作るのか。


---


なぜ。


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本当の自分を見せないのか。


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◇◇◇


---


理央は少し考える。


---


そして。


---


ようやく結論を出した。


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証拠はない。


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何もない。


---


推測だけ。


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勘だけ。


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それなのに。


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妙な確信があった。


---


柏木悠には秘密がある。


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間違いなく。


---


大きな秘密がある。


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それだけは確信していた。


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◇◇◇


---


「理央?」


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不意に声がした。


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理央は振り返る。


---


綾乃だった。


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少しだけ目をこすっている。


---


「起きてたの?」


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「うん」


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「早いわね」


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綾乃が小さく笑う。


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理央は返事をしなかった。


---


その代わり。


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もう一度悠を見る。


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綾乃はその視線に気付いた。


---


「悠がどうかした?」


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その質問に。


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理央は少しだけ考えた。


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そして。


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小さく首を振る。


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「別に」


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今はまだ言わない。


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言えない。


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根拠がないから。


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でも。


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いつか。


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確かめたいと思った。


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違和感の正体を。


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柏木悠が隠しているものを。


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◇◇◇


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部屋のカーテンの隙間から。


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朝日が差し込む。


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新しい一日が始まろうとしていた。


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楽しかったお泊まり会も。


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そろそろ終わる。


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けれど。


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理央の中では。


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まだ終わっていなかった。


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小さな疑問は。


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もはや疑問ではない。


---


確信になりつつある。


---


柏木悠には秘密がある。


---


そして私は。


---


その秘密を知りたい。


---


理央は静かにそう思った。


---


第十九章 一ノ瀬理央の確信 完


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