女子校に入学しました(バレたら即終わりです)
第十章 お泊まり会決定
「じゃあお泊まり会しよう!」
ひまりが言った。
私は固まった。
完全に固まった。
時間が止まったと言ってもいい。
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「え?」
やっと出た言葉がそれだった。
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「お泊まり会!」
ひまりは元気よく繰り返す。
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「聞こえてる」
問題はそこじゃない。
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「楽しそうじゃない?」
美月が言う。
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「うん!」
ひまりが頷く。
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「お菓子食べて!」
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「ゲームして!」
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「恋バナして!」
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「夜更かしして!」
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盛り上がっている。
非常に盛り上がっている。
私以外が。
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(終わった)
私は思った。
心の底から。
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なぜなら。
私は男だからである。
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女子のお泊まり会。
それはつまり。
危険の塊だった。
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着替え。
入浴。
就寝。
恋愛トーク。
女子だけの空間。
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どこを取っても死亡フラグだった。
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「悠も来るよね?」
ひまりが聞く。
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「えっと……」
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逃げよう。
そう思った。
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だが。
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「来るわよね?」
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美月が微笑む。
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「来られるかしら?」
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綾乃も聞いてくる。
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三対一だった。
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さらに。
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「・・・」
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理央がこちらを見ている。
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無言だった。
だが。
なぜか断れない空気があった。
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怖い。
色々と怖い。
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「用事とかない?」
私は悪あがきする。
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「土曜日だよ?」
ひまりが言う。
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終わった。
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「家の都合とか」
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「大丈夫!」
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なぜひまりが答えるのだろう。
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「まだ何も言ってないけど」
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「大丈夫!」
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根拠がなかった。
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「大丈夫よ」
綾乃も言う。
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「ご家族への連絡なら早めにすればいいし」
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正論だった。
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「私は都合を合わせられるわ」
理央まで言う。
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完全包囲だった。
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私は空を見上げた。
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春の夕空。
綺麗だった。
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現実逃避したかった。
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「どこでやるの?」
美月が聞く。
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「うち!」
ひまりが即答する。
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予想通りだった。
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「お母さんに聞いてみる!」
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まだ許可取ってなかったのか。
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恐ろしい行動力である。
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すると。
ひまりはスマホを取り出した。
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数秒後。
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「オッケーだって!」
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早かった。
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「早っ」
思わずツッコミが出る。
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「やったー!」
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「決まりね」
綾乃が微笑む。
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「土曜日か」
美月も楽しそうだ。
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そして。
理央も小さく頷いた。
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「楽しそうね」
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その瞬間。
私は思った。
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逃げ道がない。
本当に。
一切ない。
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帰宅後。
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私はソファに崩れ落ちた。
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「おかえり」
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叔母だった。
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相変わらず優雅に紅茶を飲んでいる。
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「ただいま」
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「どうしたの?」
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「人生終わった」
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「また?」
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またとは何だ。
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「女子のお泊まり会へ行くことになった」
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ぶふっ。
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叔母が紅茶を吹いた。
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珍しかった。
初めて見た。
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「本当に?」
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「本当に」
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「最高じゃない!」
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「どこが!?」
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私は叫んだ。
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「普通に考えて死ぬだろ!」
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「バレなければ平気よ」
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「その条件が無理なんだよ!」
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叔母は楽しそうだった。
本当に楽しそうだった。
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他人事だからだろう。
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「頑張りなさい」
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「嫌だ」
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「青春よ」
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「青春じゃない」
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「ラブコメよ」
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「サスペンスなんだよこっちは」
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私の発言に。
叔母は大笑いした。
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納得いかない。
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全然納得いかない。
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しかし。
現実は変わらない。
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土曜日。
私は女子だけのお泊まり会へ参加する。
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参加者。
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朝倉美月。
小鳥遊ひまり。
九条綾乃。
一ノ瀬理央。
そして。
私。
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危険人物が一人いる。
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一ノ瀬理央。
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私を疑っている少女。
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そんな相手と。
同じ家で。
一晩過ごすことになる。
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考えれば考えるほど終わっていた。
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私は深いため息を吐く。
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窓の外では夜風が吹いていた。
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そして。
胸の奥で警報が鳴り続けている。
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絶対に何か起きる。
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しかも。
かなりまずいことが。
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もちろん。
この時の私はまだ知らない。
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お泊まり会当日。
理央が。
予想を遥かに超える方法で。
私の秘密へ迫ってくることを。
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そして。
女子校生活最大の危機が始まることを。
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第十章 お泊まり会決定 完




