↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル0の雷帝  作者: ゆき
崩壊と再生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/30

8 弟子になる条件

 メルディ家の長女、リハーナ=メルディは召使いらしき者に食事を持ってきてもらって、次の日もダナフォルトの屋敷の前にいた。


 次の次の日もいた。


 次の次の次の日もいた。


 次の次の次の・・・・。



「ダナフォルト様、クッキーとカフェをお持ちしました」

 ベルフェゴールが、軽食を置いてお辞儀をする。


「つーか、なんであいつは帰らないんだよ!」

「ダナフォルト様が何もしないからじゃないのでしょうか?」

「いや、執念深すぎるだろ!」


 ずっと無視してきたダナフォルトが、ついに話題に出した。

 ベルフェゴールがほほ笑む。


「明日から学校が始まるので、きっと、ダナフォルト様にくっついて回るつもりでしょうね」


「最悪だ」


「ちゃんと向き合ったほうがいいんじゃないんですか? 少なくとも、遊び半分で言ったわけじゃなさそうですよ?」


「ったく・・・・・・・」

 ダナフォルトが面倒くさそうに、頭を掻いて立ち上がる。


「お出かけですか?」

「すぐ戻るよ。ハーブティー、そのままにしておいて」


「かしこまりました。いってらっしゃいませ」

 ベルフェゴールが頭を下げた。





「リハーナ=メルディ」

 ダナフォルトが門のいる前にいたリハーナに声をかける。

 瞳は赤くなっていた。


「ダナフォルト・・・・」


「ここにずっといられても迷惑だからな。ついてこい」

「あ・・・」

 ダナフォルトが転移魔法陣を展開させた。


 シュッ


「ひゃっ・・・・」

 リハーナが目を開けると、誰もいない闘技場のような場所にいた。

 ダナフォルトが杖を出す。


「転移・・・魔法?」

「俺は13の場所に転移魔法陣を張れる。ここはその一つだ」


「ど・・・どこ・・・?」

 リハーナが砂埃に目を擦りながら、周囲を見渡す。


「誰もいない・・・見たことのない場所」

「当然だ。たまに、俺が創った魔法を試したりする場所だからな。もう一度聞くけど、弟子になりたいって言葉に二言は無い?」


「もちろん!」

 リハーナが食いつくように頷いた。


 ダナフォルトが冷静な目でリハーナを見定めようとしていた。


「杖を出せ」

「う、うん」

 戸惑いながら杖を出す。


― 七つの月は沈み、八つ目の影が天へと昇る。

  その刻、我は古き門の前に立つ。

  封印されし石門よ、永き眠りより目覚めよ・・・・


  ˆx Nihilø ad Nihiløm,äb Initîo äd Fînem.

  ˆx Nihilø ad Nihiløm,äb Initîo äd Fînem.

  ˆx Nihilø ad Nihiløm,äb Initîo äd Fînem -


 ダナフォルトが金色の髪をなびかせて、杖を動かしながら詠唱を始めた。

 人の言葉では聞き取れない、悪魔が使う言葉だった。


 ゴオォオオオオ



「!!」

 リハーナが身構える。


 7つの檻が現れて、中から7体の獰猛な獣が現れた。

 1体のドラゴンは爪を立てて、リハーナを睨み、大きな獅子のような獣は炎を噴いていた。

 大蛇はとぐろを巻いて、リハーナを見下ろしている。


「久しぶりに出しておいて悪いけど、見定めてくれ」

 ダナフォルトが獣たちに声をかける。


「これは・・・・・・?」

「7体とも俺の召喚獣だ。弱い者は嫌いでね、今のところ俺の言うことしか聞かないんだ。あと、手加減とかできないから、本来は俺がサポートしなきゃ味方まで殺しちゃうんだよね」

 ダナフォルトが黒い大蛇に近づき、頭を撫でる。 


「わかったわ」

 リハーナが唾を吞んでから、杖を構えた。


「要は弟子になりたければ、彼らを倒してみろってことでしょ?」

「そう。理解が早くて助かるよ」


「貴方の考えてることはなんとなくわかるの。不思議とね」

 リハーナが黒い髪を後ろにやって、笑みを浮かべる。


「・・・・ふうん」

 ダナフォルトが無表情のまま、杖を檻に向ける。


「・・・怖くないのか?」

「怖い。でも、これに勝てなきゃ弟子にしてくれないんでしょ?」


「そうだ。足手まといは作りたくない。大昔、俺に弟子入りしてきた者はみんな戦いで死んだからな」

 杖先を見つめながら言う。


「俺がいなくなったらスタートだ。7体全て倒せたら認めてやる。もう一度、言っておくが、こいつらは容赦ないからな」

「うん」


「死にそうになっても助けには来れないからな」

「大丈夫、私が勝つ。必ずね」


 リハーナが杖を持ち直すと、魔力が1秒凪いだ。 

 ダナフォルトが一瞬驚いたような表情をしたが、すぐに視線を逸らした。


 転移魔法陣を発動させる。


 シュッ




 ダナフォルトはリハーナと召喚獣の戦闘の様子を全く見ずに、部屋に戻っていた。

 椅子に座って、少し温くなったハーブティーに口をつける。


「ダナフォルト様、お客様です」

 ベルフェゴールがドア越しに声をかける。


「今忙しいって・・・」

「お通ししますね」


「おい!」

 ベルフェゴールがダナフォルトを無視して、ドアを開ける。

 アルバスが目じりに皺を寄せて、ダナフォルトを見つめた。


「ダナフォルト様・・・・」


「なんだ、アルバスか」

「・・・む、その反応は、少しショックではありますが・・・」

 アルバスが咳払いをする。


「ハハ、嘘だって。アルバス、よくやってくれてありがとな。おかげで国も元に戻りつつある。魔法学校も早く元に戻るように動いてくれてたんだろ?」

「いえいえ、司祭として当然のことをしたまでです」

 アルバスが言いながら、子供のように満面の笑みを浮かべた。


 ベルフェゴールが頭を下げて、ドアを閉める。 


「でも、アステリア魔法学校の校長は・・・・」


「聞いたよ。俺が直前まで戦ってたんだろ? さすがだよ・・・俺がもっと早く来れていればな・・・・」

「はい。彼女らしい最期でした」


「彼女がいたから助かった生徒も多い。生徒もいきなりこんなことがあって、傷ついてるだろうな」

「そうですね」

 アルバスが声を詰まらせた。


「明日から学校が始まりますが、ダナフォルト様は生徒として通われるのですか?」

「まぁな。ぶっちゃけ、正体バレたから気まずいよ。でも、ちょっと色々な契約の問題でね、これからも通わせてもらうよ」


 ダナフォルトが立ち上がって、遮光カーテンを閉める。


「はぁ・・・指導にあたっていただきたいという話をしにきたのですが、難しいですか・・・」

「だろうと思った。何度も言ってるだろ? 俺はレベル0だから教えられないんだって」


「実戦教育を、と思ったのですが」


「実戦教育ならまずは軍でしょ。王国騎士団長たちが実戦を求めるなら、声かけてよ」

「え?」

 アルバスが顔を上げる。


「おそらく、魔族がこの国に来る頻度も高くなるだろう。上位魔族が来たってことは、マーキングされたようなものだからな。今までは俺が倒してきたけど、今後は軍が感知して戦闘できるようサポートしなきゃいけないからな」


「・・・そうですね。ダナフォルト様はいずれ、旅立たなければいけないお方ですから」


「・・・さぁ、今回はどうかね」

 ダナフォルトが軽く伸びをして、椅子に座り直した。


「今のところは予定が無いよ。他の3人が優秀だったから、仲間だった俺も英雄になっただけだし」


「ダナフォルト様・・・」

 アルバスが何かを言いかけて呑み込んだ。



 キィ・・・・


「失礼します。お口に合えばいいのですが」

「カモミールティーか。大好きだよ。ありがとう」

 ベルフェゴールが入ってきてアルバスにハーブティーを差し出していた。

 アルバスがソファーに座って、息をつく。


「国の復興の話ですか?」

「そうだよ。真面目な話だから、ベルフェゴールは席を外してて」


「かしこまりました。必要なものがありましたらお呼びください」

「はいはい」


 ベルフェゴールが静かにドアを閉める。

 しばらくダナフォルトとアルバスが、今後のラグナディア雷帝国の話をしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。