↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/27

第二十四話 四天王、登場

【場所移動:(梅太郎たちの転送先)】


移動先の欄に、梅太郎たちが飛ばされた場所を入れて、保存を押した。


タッタッタッ。


視界が開けると、足元から、ひやりとした風が吹き上げてきた。


そこは、大地に巨大な穴が空いたような、不思議な空間だった。


地面は大きく裂け、周囲には、切り立った崖がそびえている。空は、薄く曇っていた。


「……なんか、見覚えがあるような」


景色を眺めて、首をかしげた。


某有名RPGの第六作、そのオープニングで、龍が飛んでくる場所。そんな雰囲気のある空間だった。


俺は、足元の大きな岩の陰に、身をかがめた。


ほどなくして、裂け目のふちに、梅太郎たちが現れた。


四人とも、転送の余韻で、足元がふらついている。


「ここは、どこだ?」


梅太郎が、あたりを見回した。


そのとき、北の崖に向かって、怪しい影が、逃げていくのが見えた。


「おい、待て!」


シャフトが、叫んだ。


四人は、影を追いかけた。


しかし、崖の手前で、ついに影を追い詰めた。


「ナーハッハッハッハ! これで追い詰めたと思うな!」


「……くないきゃう、だったか?」


岩陰で、名前を思い出した。


たしか、アンデッドエンマを光で消し去った、謎の男だ。


「ユケ、四天王!!」


くないきゃうが叫ぶと、目の前に、三人のキャラクターが現れた。


「我が名は、徒歩」


「我が名は、りゃはく」


「我が名は、まうかうねん」


「…………」


黙った。


変なやつらが、三人現れた。


いや、名前が変なのは、今に始まったことではない。


だが、四天王と名乗っているのに、三人しかいないのは、どういうことなのか。


「ナーハッハッハッハ! さらばだ!」


くないきゃうは、そう言い残して、消えていった。


「貴様らなど、我々の足もとに及ばんわ」


徒歩が、言った。


「くないきゃう様のお手を煩わせることもない」


りゃはくが、続く。


「覚悟せよ」


まうかうねんが、構えた。


「……待て」


梅太郎が、手を挙げた。


「四天王なのに、三人しかいないぞ」


「数が合ってないな」


ナカシマが、冷静に指摘した。


三人は、顔を見合わせたまま、何も答えなかった。


岩陰で、編集画面を開いた。


「あと、名前は、何なんだ?」


気になったので、メモを確認してみる。


【メモ更新日:25年前】


『古典の教科書で、読み方が面白い人たちが、たくさん出てきたから、使おう。


四天王、作りたいな。


もうほぼ作ってしまったから、最後にねじ込むか。』


「……なるほど」


納得した。


おそらく、杜甫、李白、孟浩然。昔の仮名遣いで読むと、「まうかうねん」になる。


そして、ラスボスの名前は、宮内卿だろう。


何をした人なのかは、覚えていない。ただ、何となく、名前だけは覚えている。


「名前を考えるって、大変なんだな……」


しみじみと、思った。


確かに、ネーミングをつけるのは、大変だ。


仕事でも、同じだった。サーバーだ、ネットワークだ、ファイルだと、適当に名前をつけると、後になって、「何で、こんな名前にしたんだ?」となる。かといって、ちゃんとルールを決めて名前をつけても、いつの間にか形骸化して、誰もルールを守らなくなる。


……今、考えることじゃないか。


そんなことを考えているうちに、戦闘は、終わっていた。


やはり、レベルを上げすぎている。


「「「くっ、無念……」」」


三人は、そう言い残して、消えていった。


「……あっさり終わったな」


梅太郎が、拍子抜けした顔をした。


四天王のうち三人が登場し、ほとんど何もできずに敗北。残る一人は、最初からいない。


「さあ、ここから、どうすれば……」


シャフトが、頭を悩ませた。


そのときだった。


ファーン。


ファーン。


またしても、神々しい光が、現れた。


「ビューン!」


「ビュ、ビューン!」


「……効果音、ちょっと変わった?」


スライム大統領が、首をかしげた。


光の中から、レフト兄弟が、姿を現した。


「タ、タイヘンダー! クナイキャウ、トイウオトコガ、カコニトビタッタゾ!」


「転送してやる!」


「ちょっ……!」


梅太郎が、手を伸ばした。


しかし、間に合わなかった。


四人は、再び、転送された。


相変わらず、本人たちの意思は、関係ないらしい。


「…………」


岩陰で、ため息をついた。


「さあ、おそらく、今度こそ最終局面だな」


何度も何度も転送され、ようやく、ラスボスの手がかりが、見えてきた。


もっとも、四天王の人数すら合っていない世界だ。本当に最終局面なのかは、まだ分からない。


「……まあ、行こう」


編集画面を開いた。


移動先は、「過去」。くないきゃうが、飛んでいったという場所だ。対象は【自分】。


保存を押す。


タッタッタッ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。