表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『この安息の地からは退会できません。あなたに代わる「新しい生贄」の心当たりがない限り。』  作者: サカキカズキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/32

【第2話】完璧な女の嘘

東京の夜は、どれだけネオンが煌びやかでも、一人きりの部屋までは照らしてくれない。


午前二時。


六畳のワンルームマンションで、結城紬(28歳・Webデザイナー)はベッドに寝転がったまま、スマートフォンの青白い光に顔を照らされていた。画面に映っているのは、今日紬自身がSNSに投稿した写真だ。


「#週末のご褒美」「#最高の仲間と」

お洒落なビストロの料理写真に、そんなハッシュタグが添えられている。もちろん、嘘だ。

写真は数年前の使い回しで、今日の夕食はコンビニの冷やし中華だった。


投稿にいくつか「いいね」がつくものの、親指を動かすたびに、自分の人生がひどく薄っぺらで、誰からも必要とされていない透明な存在であるという事実が、胃の腑に重くのしかかってくる。


今日、職場でミスをした。


同じチームの先輩である篠原しのはらが不器用に庇ってくれたものの、ひどく惨めな気分だった。誰かに愚痴を聞いてほしかった。


ただ「頑張ってるね」「あなたは悪くないよ」と、私のすべてを無条件に肯定してほしかっただけだった。

しかし、メッセージアプリの履歴を開いても、並んでいるのは業務上の連絡か、企業の公式アカウントからの広告だけだ。


学生時代には親友と呼べる存在もいたが、いじめられ始め、次は自分がいじめの標的にされるのを恐れて、彼女を見捨ててしまった過去がある。


今さら誰かにすがる資格など、自分にはない。


「……誰か、いないの」


ぽつりとこぼした呟きは、誰の耳にも届くことなく、冷えた部屋の空気に溶けて消えた。


孤独が物理的な重さを持って胸を圧迫し始めた、その時だった。


『ポンッ』


静寂を切り裂くように、軽快な通知音が鳴った。


画面の上部に表示されたポップアップを見て、紬は怪訝に眉をひそめる。


【桐谷美咲さんから、完全招待制コミュニティ『Havenヘイヴン』への招待状が届いています】


「……桐谷さん?」


半年前まで同じ職場で働いていた、大人しい同僚だ。


寿退社したと聞いていたが、それ以来まったく連絡を取っていなかった。


なぜ、こんな夜更けに彼女から?





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ