第95話 第19章 未来の財産 3 必要最低限の生活
夕食の時間。モチタとモチクロは、ホクホク顔でテーブルに向かう。
コツ勉猫:「お疲れ様。夕食用意してるから食べててね。お手伝いのご褒美に、モチタにはゲーム、モチクロには絵具の補充よー!」
モチタ・モチクロ:「わーーーーーい!」
モチオもどさくさに紛れて向かおうとするが……バシッ!とコツ勉猫の平手が飛ぶ。
コツ勉猫:「モチオさんは相談があるでしょうが!!」
モチオは執念で手を伸ばし、パーティーの残り物のローストビーフを強奪。
それをムシャムシャと頬張りながら、相談所の重苦しい話に耳を傾ける。
がり勉猫:「こればっかりは……」
コツ勉猫:「そうなんです……」
ネコロボ:「ですね……どうしようも……」
その煮え切らない空気に、モチオがキレた。
モチオ:「おかしいニャ! おかしいニャ! なんでユキコが大学行けないんだ! お母さんが体調不良で生活保護受けてるからって、ユキコは関係ないだろ! 奨学金受けてもバイトしてもダメって、はあ!?」
がり勉猫:「一応、大学進学は『贅沢』だと見なされるのが今のルールでして……」
モチオ:「はあ!? 文部科学省は大学を温泉か何かだと思ってんのか? 贅沢品に国が補助金出してるってのか! 大学は勉強するところだ! 贅沢じゃない! 違うか!?」
正論すぎる怒号に、全員が沈黙した。
モチオ:「そういう理不尽は全く許せん! 俺に任せろニャ!! 待ってろユキンコ! 大学生になっても雪遊びさせてやるニャ!!」
モチオはそのまま事務所を飛び出した。残された面々は「理不尽はお前だろ」と思いつつも、今回の言い分には反論できず、ユキコを励まして帰路につかせた。
一方、モチオは市役所の窓口にいた。
市役所:「また君か? 戸籍がないとダメだよ」
モチオ:「違う! ユキコのことニャ!」
市役所:「ああ、その件ね。……先に言っておきますが、『迷子の子猫ちゃん』「想い出迷子」で終わるオチ、裁判ネタは禁止ですよ。2章と被るしネタ切れだと思われますからね」
図星を突かれて固まるモチオ。だが、すぐに食い下がる。
モチオ:「おい! 生活保護は憲法の最低限保障だろ? じゃあ聞くが、最低限の生活ってなんだ! 冷蔵庫のサイズか? テレビのメーカーか? 回転寿司で110円以上の皿は何皿までだ! 焼肉のカルビは何人前まで食えるんだ!」
市役所:「それは……個別の状況を……」
モチオ:「答えろ! 660円の皿は規制しないのに、なんで大学進学だけ規制するんだ! その根拠を出せ! カニのコースは良くて、大学はダメな理由をニャ!!」
市役所:「屁理屈です! 警備の方、この汚いネコを追い出して!」
モチオ:「俺は間違ってねえ! お好み焼きはミックスでもいいのか? タコ焼きにマヨネーズはつけていいのか! アイスコーヒーをフロートにしてもいいのかーー!!
おやつにバナナは含まれてるのか!!! 答えろ! 答えろーーー!!最低限の生活って何ニャーーーーー!!!」
ドガガ
ほおりだされた。
締め出されたモチオは、夜の路上で拳を握りしめた。
「くそ……ヨンピルネタ、裁判オチを先に封じやがって。こうなりゃ、こうだニャ!!」
モチオは再び、夜の街へと走り出した。




