第92話 第18章 5丁目のシンデレラ 完 5 ガラスの靴
モチオ:「おおお……大漁まつりじゃ!!!」
アパートに詰めかけた群衆が騒ぎ立てている。
A:「お前なんだよ!! どけよ!! この嘘貧乏女を撮ってやろうとしてるのに!!」
B:「どけ、邪魔だ……」
モチオ:「おい、ネコロボ……一網打尽で行くぞ……」
ネコロボ:「ウゴー――!!」
ネコロボは目からビームを出す。
「あああ、苦しい……苦しいよー……。た、す、け、て……」
バタッ……と群衆の一人が倒れる。いや、倒れたのは味方のモチクロだった。
モチオ:「お前ら馬鹿にはわかるまい……これが『カニ光線』だ!! 昭和初期に某文学者が開発した!! カニ光線だ!!」
ひるむ群衆。
ネコロボ:「ウゴー―――!!!!」
C:「確かに聞いたことある! カニコウセン 小林、、、??なんだっけ?」
D:「でも内容までは読んだことないよー…… 光線開発の内容だった?」
モチオ:「ははは!!! オキアミども!! 次はまとめてかき揚げにしてやるわーー! 行け、ネコロボ!! 」
「ぎゃーーー、あつい、あつい!! 熱い!! ぎゃーーー!!!!」
また一人が倒れる。いや……今度はモチタだった。
群衆 「破壊ロボだ!!!」
群衆 「逃げろ――――!!」
モチオ:「ほれ、散れ! 散れ! オキアミども!! ネコロボ、追い打ちの『千本桜』だ!! 電子の歌姫の力で全員串刺しニャ!! 千本の桜の枝で全員串刺しニャ!!」
ネコロボ:「うごー――!!!!」
「ぎゃーーーーーー!!!」
群衆は蜘蛛の子を散らすように散っていった。
モチオ:「ふん!! たいしたことねー奴らだ!!」
静まり返ったアパートの室内。
モモ:「あれ? 静かになったね……」
真由美:「そうみたい……」
そこへ、倒れていた二人が起き上がる。
モチタ:「モチオ、1000円!」
モチクロ:「今頂戴!」
モチオ:「ちっ……」
言いながら、モチオはモチタとモチクロに1000円札を渡す。
モチタ:「でたらめだよ? わからないのかな…? 僕、吹き出しそうになっちゃった」
モチクロ:「千本桜で串刺しってww ネコロボ、出るの?」
ネコロボ:「出るわけありません……。それにしても私、初めて『ウゴー』って言いました。なんか極悪ロボみたいで、楽しかったです」
モチオ:「だろ?」
ネコロボ:「にしても、カニコウセン……ネーミングセンスがありませんね」
モチオ:「え? 違うの???」
一方、実験室。
「……起動します」
がり勉猫が、脳に直結した電波のスイッチを入れる。
子の死産を乗り越え、盲目にさいなまれ、その後、勇気をもって授かった命。その脳に、ノイズ混じりの、でも「本物の光」が走った。
「あ……」
そこには、初めて見る「我が子の輪郭」があった。
「私のあかちゃん……私のあかちゃん……私の……私の……宝物、私の宝物!!!! 何者にも代えがたい、宝物!! やっと、やっと、やっと会えた。
ありがとう、がり勉猫先生! ありがとう、コツ勉猫先生!!」
涙で言葉にならない母親。
涙で目が真っ赤になった父親に抱かれた赤ん坊は、優しく微笑んでいる。
牧師ががり勉猫に近づく。
牧師:「ありがとう……ありがとう……。神の意志に背くお願い、本当にありがとう。」
(それより……)
がり勉猫は心の中でつぶやいた。
(この手術に7000万かかっています。このご家族、財産のすべてどころか、相当の借金まで背負ってこの手術を依頼してきた……。 自分の赤ちゃんを一目見たいその願いのためにすべてをこの手術にかけた。 どうか、どうか、この家族に、この愛に、神のご加護を……)
祈る思いで祭壇を見た。
教会の祭壇はいつもと変わらず、同じ七色の光を反射して輝いていた。
あれから真由美はSNSをやめた。遠回りせず、ネコネコ荘に帰る。モモもやっと道を覚えたようだ。
「痛い!!!」
真由美は安アパートの鉄製の階段で躓き、真っ赤なヒールのかかとが取れた。足元を見ると、手をつないでいるモモと視線が合う。
モモ:「私ね、大きくなったら科学者になるの! そしてね、お母さんに新しい靴買ってあげる! でね、隣の大きいおうちも買ってあげるね! いっぱい、いっぱい買ってあげるね」
自慢げにコツ勉猫からもらったワッペンを見せるモモ。
真由美は優しく微笑んだ。
真由美:「そうね……期待してるわ」
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魔法使い、かぼちゃの馬車、美しく着飾った舞踏会
そして運命の王子様
そんなものはおとぎ話かもしれない
でも、ゆっくり足元をみてごらん
ガラスの靴は履いてる
第18章 5丁目のシンデレラ 完
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