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第89話  第18章 5丁目のシンデレラ 2 白馬の王子様

真由美:「ちょっと話聞いてるのー!」


モチオ:「ああ、続けろ……」


あれは1時間前の事。


モチオ:「なんだ、またお前か……。まあいい、お前のおかげで温泉の候補を半分まで絞れたからな。まあ依頼を聞こう。受ける受けないはそれからだ」


真由美:「私に似合う結婚相手を探してほしい」


だろうな……。


そんな空気が流れた。


モチオ:「分かった……条件を言え」


真由美は嬉しそうに話し始める。


真由美:「まず年収は2億ぐらいでー、タワマン住んでてー、あ、資産は100億ぐらいかな。金融資産よ。でねー」


モチオはパンフレットを見ている。


がり勉猫は論文添削。


コツ勉猫は少女漫画を読んでいる。


ネコロボは充電を始める。


真由美:「でねーー、別荘とか軽井沢、ドバイあたりにあってー」


モチオはパンフレットを見ている。


がり勉猫は論文添削。


コツ勉猫は少女漫画を読んでいる。


ネコロボは充電を始める。


真由美:「ちょっと話聞いてるのー!」


モチオは目線をパンフレットに合わせながら言う。


モチオ:「ネコロボ、よろしく」


ネコロボ:「はい。真由美様のお相手は……日本で18名該当します」


がり勉猫:「(吹き出しながら)6000万人いて、たった18名……www」


真由美:「え、え、え! どんな人? どんな人?」


ネコロボ:「・・・・・」


モチオは目線をパンフレットに合わせながら言う。


モチオ:「真由美、約束したはずだ……ネコロボの検索エンジンは日本一、世界有数のものだ。検索は一回5万だ」


と言って、机に置いた箱を指さす。


真由美:「わかったわよ!!」


箱に5万円を入れる。


真由美:「で!」


ネコロボ:「はい、全員既婚者です」


真由美:「じゃー年齢制限はいいわよ、これでどう?」


モチオが「ケ!」と奇声を発する。そして箱を指さす。


箱に5万円が入る。


ネコロボ:「はい。2名の未婚者が該当しました」


真由美:「え、誰々!」


ネコロボ:「はい。お一人は86歳、もうお一人は92歳です。いずれも奥様に先立たれています」


真由美:「・・・・・」


モチオ:「彼らが欲しいのは人生のパートナーじゃなくて介護のパートナーだな……」


真由美:「じゃー別荘はいい!」(5万投げ出す)


真由美:「じゃー年収は1500万でいい!!」(5万)


真由美:「じゃー身長は!」(5万)




はあはあ、はあはあ……。



モチオは目線をパンフレットに合わせながら言う。


モチオ:「よかったな……2000人まで増えたぞ。しかし……」


ネコロボ:「既婚者は1870人です」


モチオ:「よかったな……130人いる。全国から探してこい!」


真由美:「どこにいるか教えて!!!」


ネコロボ:「それは無理です。できません」


真由美:「なんでよー!」


がり勉猫が論文の添削をしながら言う。


がり勉猫:「そりゃそーでしょ? プライバシー保護がありますから。警察の要請以外、プライバシーは公開しません。あ、ここ間違ってる……。ここは結婚相談所じゃありません。ちなみにネコロボ、全国の結婚相談所のデータベースでは? あれ? ここの数字こうだっけ?」


ネコロボ:「0です」


失笑の声だけが響いた。


モチオ:「おい! 自分の理想を棚に上げるだけでは足りず、エベレストの頂上まで置いてくる女! 帰る前に俺からのサービスだ」


ネコロボ:「はい。成人男性の未婚者1670万人中、真由美さん(の条件)を結婚相手として選ぶ可能性のある男性は……3万2250人です」


がり勉猫:「くくく……0.02%……落雷に当たる確率よりは、ありますね……」


がり勉猫は添削しながら言う。


がり勉猫:「そんなに相手に求めるんじゃなく、自分が(理想の相手に)なったらどうですか? あ、ここスペルミス……」


真由美:「そんなのできるわけないでしょ!!!」


がり勉猫:「モチオさんならこう言うでしょうね。『お前は50階建てのビルから飛び降りろと言っている。じゃあお前自身でやってみろと言ってもできない。つまり自分ができないことを相手に押し付けている』ってね……。それを愛だの恋だのわめいている厄介な人間だって……。あ、アンディー様、素敵……」


ネコロボ:「『24時間私のことだけを考えて!』とか言う女性ですね。プログラムされたロボットでも無理です。充電に3時間は休止しますから……。はい、充電37%」


真由美:「私だって素敵な彼氏や旦那ができる可能性はある!!」


モチオ:「だな……」


モチオは帰り際に真由美に言う。


モチオ:「おい、真由美……今まで履いてた俺のこの靴下を、5万で買い取れ!」


真由美:「そんなのいらない! 誰が買うの!! そんな汚い靴下!!」




モチオ:「だろうな……」




「またのお越しを―」


全員は顔を上げて手を振り、にこやかに笑っている。


真由美:「二度と来ないわよ、こんなところ!!」


真由美は怒鳴りながら帰っていった。

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