第83話 第17章 命の炎 1 自然淘汰
ヒロシ:「私はもう長くはありません…」
そっか……。
いつになく事務所が暗い。
モチオ:「でだ、依頼は何だニャ」
ヒロシ:「はい。あと半年の命、どう使えばいいかわかりません」
そっか……。
いつになく事務所が暗い。ネコロボが言う。
ネコロボ:「ほら、趣味なんてどうでしょうか! 趣味を楽しむとか…」
ヒロシ:「私に趣味はありません」
がり勉猫:「そうだそうだ!! 家族で過ごすとか!!」
ヒロシ:「私に家族はいません」
モチオ:「じゃー 俺に全部お金を預けるのはどうだ!!」
コツ勉猫が睨む。
モチオ:「ジョーダンニャ ジョーダン……」
ヒロシ:「いえ、それでもかまいません」
モチオ:「いや、冗談だから…今のは忘れてくれ……」
いつになく事務所が重たい。
ヒロシ:「とにかく私は 余命は半年ですが…何をしたらいいかわかりません。趣味もないし、お金もないし、家族もないし、それに…気力もありません」
モチオ:「それは大丈夫ニャ!!」
ヒロシ:「ええええ!! そうなんですか!!!」
モチオ:「おう! ここにいるがり勉猫先生はかしこーーいので、任せるとよいでしょう」
ええええ! 逃げだ!……丸投げだ!!!
がり勉猫:「『どうしたいか』がわからないのでは…私もどうも……」
ヒロシ:「私が死んでも誰も悲しまないし、なんら影響もありません。ただただ時間の流れに淘汰されるだけ」
ネコロボ:「今は何をされているんでしょうか」
ヒロシ:「何もしてません。人間関係もこりごり…なにもかもこりごり…です。ただ 週に1回病院に。先生も『もう長くないし、結果は見えてるので、病院も薬だけでいい』と」
コツ勉猫:「では、病院以外では、どちらに…?」
ヒロシ:「家にいます」
そっか……。
(沈黙が続く)
モチオ:「おい…ネコロボ、ネコロボ!!!」
小声でモチオがささやく。ネコロボは反応する。
ネコロボ:「なんでしょう モチオさん…」
モチオ:「なんか適当な理由こねて…断れ!! 無理ニャ!!!」
ネコロボは手でOKサインをだす。そして。
ネコロボ:「ヒロシさん、あなたの依頼は受けられません。理由は『こねる理由もない』からです。すみません」
ヒロシ:「そうですか…では……」
ヒロシはとぼとぼと去っていく……。
あああああああああああああああああ!
わかったよ!! わかった!!!! ああああ わかった!!!!
モチオ:「お前ずるいぞ!! 背中で『引き留め大歓迎、ここで引き留めるところですよ!!』って書いてある! ずるい!!!」
モチオ:「もおおおお! 任せろニャ!!!!」
ええええええええええええええええええ! いったい何を!?




