第73話 第15章 父親が守りたかったもの 2 親子という病
黙ってモチオを見つめるがり勉猫。
その視線の先では、依頼の対象である息子・コウスケとモチオが火花を散らしていた。
モチオ「権利ある!」
コウスケ「なんでお前に言う権利があるんだ! これは俺と親父の問題だ! 部外者に何の権利がある!」
モチオ「お母さんに頼まれてきてるんだ! 金をもらってる。だから権利ある!! お父さんに会え! そして任務完了、以上ニャ!!」
コウスケ「お前に指図される筋合いはない!」
モチオ「ある! じゃないと依頼が終わらん!」
コウスケ「お前は自分の事しか考えてないな!!」
モチオ「じゃー何か? 自分のことを考えずに、他に何を考える! 世界平和か! おれはノーベル平和賞なんていらん!!」
がり勉猫は、そのあまりの身勝手な言い分に……少し吹いた。
がり勉猫:「通常運転ですね……よかった」と小さくつぶやく。
がり勉猫「コウスケさん。まずは、あなたの話を聞かせてください。モチオさんは置いておいて」
ネコロボ「……いつもの流れですね……」
コツ勉猫「ええ、とても平和ですわ」
一方、
頑固な父親・ゲンタロウの元へ。
ゲンタロウ「わしに何の用だ! 息子に会え? ふざけるな! あんな出来損ない!」
がり勉猫は思った。(モチオさん × 堅物親父 = 共鳴ですね。ここは……)
がり勉猫はあえて仕掛けて見せた。
がり勉猫:「ここはお父様から頭を下げて、息子さんに……」
ゲンタロウが怒りで声をあげようとした瞬間、モチオが割って入った。
モチオ「はあ??? なんで父が頭下げなあかんニャ!! 父の言うことは絶対! 一言でも文句言うようなもんなら、蔵に閉じ込めて反省ニャ!!」
がり勉猫「やはり歩み寄りを……」
モチオ「うるせー、歩み寄りだと? じゃー、父0歩、息子1万歩にゃ!! これが父上に対する歩みよりの方法ニャ!! それ以外ない!!」
ゲンタロウ「お、お、お……そういうことだ……」
予想外の理解者(?)の出現に、ゲンタロウが毒気を抜かれる。
モチオ「息子のヤロー、なっとらん!!! ニャ!!! あああ、おいたわしや……。再教育が必要ですぞ、父上!! 私めが必ずや、必ずや改心させ、ここに連れてきてまいります。父上への無礼を謝罪させて見せましょうぞ」
ゲンタロウ「お、お、お……そうだな……。た、頼んだぞ……」
モチオ「御意……! おい、兵隊ども、戦の準備じゃーー!! コウスケを捕らえて城に連れて帰ってまいるぞ!!!」
がり勉猫「なんでですか!!無茶苦茶です!!」
と言いながらもどこか、満足そう……。
その様子を見る2人。
コツ勉猫「モチオさん、なんでお父さんの肩持つんでしょうか」
ネコロボ「それは明確です。お父様のほうがお金を持ってるからです」
コツ勉猫「でしょうね……。にしてもお兄様、モチオさんの性格知ってて、なんであえてこんなこと言うんでしょうか?」
ネコロボ「さあ……」
一方。
コウスケ「何度来ても一緒だ!帰れ!!」
モチオ「じゃー、1万やるからついてこい。バイトだと思え」
コウスケ「お断りだ!!」
モチオ「交渉上手だな……。じゃー1万2000円にしてやろう。これ以上は無理だ……」
コウスケは呆れている……。
がり勉猫が入る。
「なんでそんなに頑なに拒否するのでしょうか。理由をお聞かせください。でないと私どもも、お母さまの依頼を受けてる以上、引くに引けません」
コウスケは理由を話し始める。
ゲンタロウは息子に期待を寄せ、幼いころから習い事、そして勉強を強いてきた。
友達と遊ぶ時間も削られたが、大学受験に失敗し、そこから疎遠になっている。
ゲンタロウは高学歴、自分は低学歴という劣等感。ゲンタロウは短距離で国体に出るほどの選手、しかし自分は鈍足……。ゲンタロウは勉強もできない、運動もできないコウスケを目の敵のように連日叱っていた。
そして、自分の理想を押し付けるゲンタロウのやり方にコウスケは納得できない、とのことであった。
がり勉猫「もうかかわりたくないですか……」
がり勉猫は深く深く考え、感慨深く言った。
モチオ「お前はお父さんに何一つ勝てないからいじけてる大人子どもだな……なっさけねー!」
コウスケ「お前も親父に会ったろう!!」
モチオ「まあな、会ったな……。だからどうした?」
コウスケ「あんな親父に話し合いなんて意味ないんだよ!」
がり勉猫はモチオを見つめる……。
なんていうんだろう、こんな場合……。




