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第69話 第14章 水槽の金魚 3 アナザーストーリー

ネコロボ 耐えるんだ! 耐えるんだ!!


ネコロボは動かない、いや動けない。


本日は特別授業をがり勉猫の根回しで開催された。


しかし、朝一からネコロボだけは設置されている。


ネコロボは充電中として教室の片隅に置かれている。


男の子1「おい! マサシ 学校来たんだな!」


男の子2「じゃーまた ヒーローごっこな!お前は悪者のデビル男な!」


ネコロボは動かない。


2時間目が終わり、長い休み時間。


男の子2「ヒーローごっこ始めるぞ! おりゃー」


ビービービー! いきなりネコロボに警報が鳴る。


急いで向かうがり勉猫。


周りには子どもたちが。


がり勉猫「すみません、あ、故障かな……いえ、違うみたいです」


その騒動で休み時間は終わってしまう。


3時間目、


がり勉猫とコツ勉猫の特別授業……


がり勉猫「さあ! 宇宙物理学の授業ですよーー!」


コツ勉猫「宇宙はまず138億年前にビッグバンにより誕生し、その後、約46億年前に地球にジャイアントインパクトが起きて……」


がり勉猫「そう! そして月に分離し回転、つまり自転と公転が……」


盛り上がる2匹!! 目はキラキラしている。


しかし



ぽかーーーーーーーーーーーーーーん



モチオはがり勉猫とコツ勉猫をよける。


「どけ!」


モチオが教壇に立つ。


モチオ「さあ、俺の授業だ! ガキども! 耳掃除は済んだか!」


ネコロボはディスプレイを用意する。どうもドラマが始まるらしい。



「パパ―! おかえりー!」


駆け寄る子供デビル。


デビル男「ただいま」


子供デビル「今日もヒーローにやっつけられたの?」


デビル男「仕方ないよ、仕事だから。痛たたた……」


奥さんデビル「あなた……そこまでして……」


会社。


デビル上司「デビル男君! いつになったらできるんだね! ヒーローはいつ倒すんだね!」


デビル男「しかしですね、向こうはパワーアップアイテムもありますし」


デビル上司「また言い訳か! また言い訳か! 給料下げる!!!」


連日の叱責。

そして赤ちょうちん。


デビル男「まおーのばーろー!!」


そして家に帰る。


デビル妻「あなた……もうデビルやめて、山で暮らしましょう? ね? 体がもたないわ!」


デビル男「で、でも……デビミの塾代はどうする? 生活はどうする? 俺がこうやってヒーローからやっつけられて……それで家族が幸せなら、それでいい」



デビル妻「あなた……」



翌朝。


デビル妻:「あなた、まだ傷が癒えてないでしょ? 今日は休みましょう!ね!」


デビル男:「大丈夫さ。じゃ、悪魔城に行ってくる……」


足を引きずりながら、デビル男は悪魔城に出社する。その背中を見送るデビル妻。


一方、ヒーロー側。


ヒーロー1:「デビル男さー、だっさいよな! またやられるの!」


ヒーロー2:「5人でボコボコに一人を叩くって、気持ちいい!」


ヒーロー3:「今度はこの新しい武器でやっつけようよ! ね!」


ヒーロー4:「そりゃーいい! デビル男、痛い痛いって言うだろうなー!」


ヒーロー5:「早く倒しに行こうよ! ね!」


「オ―――――!」


――完――



モチオ:「さあ、ガキどもに聞こう! どっちが正義だ? どっちが悪魔だ?」


がり勉猫:「古典的手法です」


コツ勉猫:「しかし、一周回って新しいとか……?」


静まり返る教室。


男の子1:「こんなの、ただの作り話じゃないか!」


モチオ:「お、頭いいじゃねーか。そうだ、作り話だ」


男の子2:「そんなもん、偽物だ!」


モチオ:「そうだ、偽物だ。でも、お前らが毎日見てるテレビもそうだろう。偽物だ」


「え?」



モチオ:「じゃー、お前らに本物を見せてやる! ネコロボ!!」


ディスプレイに、新たな映像が流れる。


監督:「はい! カット!!!」


ヒーロー1:「デビル男さん、今の痛かったですか?」


デビル男:「いえいえ、実際は当たってないので……大丈夫ですよ。でも、私こそデビルソード、当たりませんでした?」


ヒーロー2:「大丈夫ですよ、よけましたから……」


デビル男:「あああ、よかった! 本当に当たったかと思った。演技がすごいから!」


ヒーロー3:「それより、ランチどうします? 次の撮影まで時間ありますし」


デビル男:「あ、近くのハンバーグ屋さん、おいしいって有名らしいですよ」


ヒーロー4:「行きましょう! ね!」


ヒーロー5:「あ、今から予約しますね。監督もどうですか?」


監督:「あ、僕も!!」


ランチに行く道中。


監督:「いつも悪いねー、デビル男君」


デビル男:「いえいえ。みんなのヒーローをかっこよく見せる……これが、僕の仕事ですから」


ヒーロー達:「デビル男さんがいないと、僕たちは活躍できないから。いつもありがとうね!」


デビル男:「いえいえ(少し照れる)」


「ハンバーグ楽しみーーー!」


――完――


モチオ:「これが……リアルじゃ――――!!!!! ではガキに聞こう。デビル男は、悪者か!! どうなんだ!」


モチオは、指でチョキのサインを出す。


モチオ:「これは何のサインだ? おい、そこのヒーロー1、答えろ!」


男の子1:「ピースサインだよ」


モチオ:「なぜこれがピース、平和だ? 形はVだ……Pじゃない。なぜだ?」


モチオ:「ビクトリーのV。つまり勝利だ。勝てばいい、勝てば平和P! お前らは間違った教育を刷り込まれているんだ! 勝てばいい! やっつければ平和! ……なんて考えは、大間違いだニャ!!!」


女の子:「えっ、でもあの女の子たちは違うもん!!」


モチオ:「そうだ! それニャ!!! だからあの名前だ。かわいい、プラス、癒やしだ! 英語は自分で調べろ! だから画期的なんだ!! ニャ!」


モチオ:「さあ、みんなで見るぞ! 1話からな! 20年分から『俺セレクション』だ! 読書感想文が宿題ニャ! 今やジェンダーレスの時代、男子も女子も関係ない!!」


やっつけるのではない。

癒やす。

治療する。


そんな目的で女の子たちが変身し、活躍するアニメを、子供たちは永遠に見せられた。


男の子:「……これ、今パンチしてるやんけ!」


モチオ:「うるせー! あれはパンチじゃない、手当てだ!!」


先生:「あの、モチオさん。そろそろ次の授業なんですが……」


モチオ:「うるせー! 特に神回と言われている『運動会』の回だ。授業より価値がある!」


そして、物語は映画版へ突入する。


モチオは画面に向かって、激しく感動していた。


モチオ:「がんばれ――――!!! ほら、お前らもペンライトを真剣に振れ! 思いは届かないぞ!!!」


「が、が、がんばれーーー……」


教室の子供たちは、困惑しながらもペンライトを振っている。


その頃。


がり勉猫とコツ勉猫、そしてネコロボは、呆れ果てて職員室に避難していた。



モチオの事務所の入り口。


そこにある金魚の水槽の中では、大きな金魚が小さな金魚を、相変わらず激しく追


いかけ回していた。


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