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第60話 第12章 母親なんて大嫌いだ 4 謝罪

さらに10日が経過した。事務所には、絶望のどんよりとした空気が漂っている。


モチクロ:「いい加減にしてよ!」


モチタ:「これじゃ、俺たちがぐれちゃうよ!!」


モチオ:「何言ってるんだニャ? ケチャップ海鮮丼が嫌だというから変えてやったのに、このワガママボーイたちめニャ!!」


モチクロ:「ケチャップ海鮮丼が豚丼に変わっただけじゃんかー!」


モチタ:「コツ勉猫のオムライスが食べたいよぉ……」


モチオ:「黙れニャ! 俺の海鮮丼だってケチャップベースなんだニャ!!」


 その時だった。全員が一斉に、研究室の方を振り向いた。


「わはははははははははは!」


 がり勉猫の、地鳴りのような高笑いが響き渡る。



続いて、コツ勉猫の「きゃああああ!」という歓喜の悲鳴。



モチクロ:「……とうとう、おかしくなっちゃったの?」


モチタ:「モチオ、早くがり勉猫たちに謝って! 壊れてるよ……」


ネコロボ:「ダイチ君には謝れと言っておいて、自分は……。身勝手です」




 翌朝。



食卓には、懐かしくも輝かしい光景が広がっていた。


モチクロ:「ああ……いつもの朝食だ!! コツ勉猫、待ってたよ!」


モチタ:「やっぱり3食豚丼は地獄だったよ……おいしい、おいしいよぉ」


モチオ:「ふん……まあ、うまいニャ……」


 コツ勉猫は上機嫌だった。料理の品数で、彼女の達成感が手に取るようにわかる。



コツ勉猫:「……やっぱり女性ですもの。そのままでは、、、やはりお化粧と、それなりの衣装も必須かしら……」


 何やら意味深な独り言をこぼしている。



 そして次の土曜日。



 事務所にはダイチと父・一郎が呼ばれていた。がり勉猫は、皆の前で厳かに咳払いをした。


がり勉猫:「ダイチ君。あなたのお母さん、ケイコさんは、あなたを愛したまま、無念にもお亡くなりになりました。これは、動かしようのない事実です!」


ダイチ:「……何言ってるんだ。そんなことあるもんか! いつもいないじゃないか! 勝手に天国に行って……母親なんて大嫌いだ! 愛してるなら、なんでそばにいないんだよ!」



 一瞬、静寂が包む。



がり勉猫:「はい。私は天国に行って聞いてきたわけではありません。ですが、はっきりとこの耳で、彼女の言葉を聞いてきました」


モチオ:「(小声で)……モチタ、とうとうあいつの頭がパンクしたニャ」


がり勉猫:「ごほん!! お静かに。……ダイチ君、大人は嘘をつくとでも思っていますか?」


ダイチ:「当たり前だろ! お父さんだって、お母さんは僕を愛してたって言うばかりで……。愛してるなら、なんでいないんだ!!」


がり勉猫:「コツ勉猫。準備をお願いします」


コツ勉猫:「はい、お兄様」


がり勉猫:「……では、お母さん本人から説明してもらいましょう。――その前に」



 がり勉猫が、ギロリとモチオを睨みつけた。


がり勉猫:「モチオさん。『科学をバカにしてごめんなさい』は?」


モチオ:「はあ!? なんで俺が……っ」


がり勉猫:「早く謝ったほうが、お互いのためですよ。先に進みません。……ごめんなさいは?」


 ダイチの冷たい視線がモチオに突き刺さる。


モチオは顔を真っ赤にしながら、蚊の鳴くような声で絞り出した。


モチオ:「……ご、ご……ごめんなさい、ニャ」


がり勉猫:「はい、馬鹿かと思ってましたが、おりこうさん! 素直に科学の力に従っていればいいのです! ね、ダイチ君?」



 ダイチは驚きつつも、モチオの情けない姿を見て、不意にくすっと笑い声を漏らした。


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