第53話 第11章 日曜日の午後 2 オーラと波動
事務所。
モチオは相変わらず、身も蓋もない論理を依頼者のタケシにぶつけていた。
モチオ:「んなもん、信じるのも騙されるのも自由だニャ! ほっとけニャ!」
ネコロボ:「モチオさん、お仕事ですから……。タケシさんの悩みは、ハッピー教にハマった彼女のカナさんを助けたい、ということです」
タケシ:「そうなんです。カナのやつ、セミナーに通い詰めて相当つぎ込んでて……。おまけに毎日俺にも『ああしろ、こうしろ』って、教義を押し付けてくるんです」
がり勉猫:「信じるのは自由ですが、他者への強要はいけませんね」
コツ勉猫:「『押し付けはやめて』と言うだけで解決しないのかしら?」
タケシ:「それが、もう信じ切っちゃってるから……」
モチオ:「じゃ、別れろニャ。以上」
ネコロボ:「極論が出ました。タケシさん、お気になさらず……。ネコロボ、ハッピー教について解析します」
ネコロボは嫌な予感に電子頭脳を震わせながら、データを読み上げた。
ネコロボ:「ハッピー教。宇宙物理学を基礎とし、そこから放たれる『宇宙エネルギー』により人間のオーラを診断。オーラの波動により幸運を引き寄せる……というセミナーを定期開催しています。……なお、これは原文ママの説明です」
その瞬間、がり勉猫が薄ら笑いを浮かべた。
がり勉猫:「宇宙物理学、ですか……。面白い。非常に、面白いですね……」
コツ勉猫:「オーラ? 宇宙エネルギー? お兄様、面白いですわ! とても!!」
ネコロボ:(……ダメだ。本物の科学者の導火線に火をつけてしまった)
タケシ:「これ、チラシです。『あなたのオーラ診断します。セミナーに参加すればオーラは浄化され、幸福を引き寄せます。参加費10万円』……」
モチオ:「おいタケシ。それでカナは幸福をお前に引き寄せてるのかニャ?」
タケシ:「……いえ、迷惑ばかり、です……」
モチオ:「最高だな、おい!! 宇宙のゴミを引き寄せてるんじゃねーかニャ!」
チラシを奪い取ったモチオの目が光る。そこには『初回参加無料』の文字。
モチオ:「ほー。タダなら、馬鹿に群がる馬鹿どもを拝みに行ってやるニャ」
がり勉猫:「いいえ、モチオさん。きっと私を超える『天才』なのでしょう。宇宙エネルギーの何を、どこから取り込むのか……。ぜひ教えを乞わねばなりませんね ふふふ」
コツ勉猫:「オーラの波動……量子力学についても、専門的なご意見を伺いたいですわ ふふふ」
ネコロボは思った。
「……危険です。なぜか今回は がり勉猫さんもコツ勉猫さんも やる気です。」




