表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
50/100

第50話 第10章 淋しい熱帯魚 4 経済理論?

 事務所のドアが開くや否や、怒号が響き渡った。


マサル:「おかしいだろ! 勝ったときだけ15%取るなんて! 全部負けたんだから、さっきの6000円返せよ!」


モチオ:「アホかニャ! その6000円はコンサル料だニャ! 負けたから返せって言うなら、JRKに直談判してこいニャ!」


 がり勉猫たちは、戻ってきた二人のあまりの低次元な争いに唖然としている。


モチオ:「それより380円返せニャ! 今すぐニャ! 電車賃がないって泣きつくから貸してやっただけだニャ! 返せニャ!」


マサル:「6000円も取っといて、たかが380円くらい言いだろ!」


モチオ:「その『たかが』が払えない人間が偉そうに言うなニャ! お前は『たかが』以下だニャ。380円以下の人間確定ニャ! 明日になったら利子で50万ニャ!!」


 そこでマサルは、冷ややかな視線を送る真美たちに気づいた。


マサル:「真美……このうるせー猫に380円返してやってくれ……」


 真美は無言で財布から380円を取り出し、モチオに手渡した。


モチオ:「命拾いしたな!」



 モチオは受け取った小銭を大事そうに貯金箱へ入れた。


がり勉猫:「……理由はともあれ、全員集まりましたね。本題に入りましょう」


 モチオとマサルはふてくされた様子でソファに座る。モチオはまだ言い足りないといった表情で、口火を切った。


モチオ:「真美、こいつはギャンブル依存症でもなんでもないニャ! そもそも俺のプロの目から見て、こいつはギャンブルのセンスが『ゼロ』だニャ!」


マサル:「はあ? お前がプロ? なめんじゃねえぞ、このエセが! 思いっきり外してたじゃねえか!」


モチオ:「プロなら確実に当てるのかニャ? かのスーパースターは全打席ホームランかニャ? 三振しないのかニャ? あああ!?」


マサル:「……っ。でも、お前なんかにセンスないなんて言われたくないね!」


モチオ:「馬鹿はこれだから困るニャ。マサル、お前は何のために勝負事をするんだニャ?」


マサル:「そりゃ、楽して稼ぎたいと思ってるに決まってるだろ!」


 モチオは西洋人のように両手を上げ、「これじゃお手上げだぜ」というポーズを決めてみせた。


マサル:「それの何が悪いって言うんだよ!」


モチオ:「本当にお前は何もわかってねーニャ。おいネコロボ、この海底人に経済の基本を教えてやれニャ。お金を稼ぐためには、どうすればいいニャ?」


ネコロボ:「はい。それは『支出を最小限に、利益を最大限にする』ことです」


マサル:「それが何なんだよ!」


モチオ:「これが俺みたいなプロと、お前みたいなど素人の違いだニャ!!」


マサル:「……?」


モチオ:「お前は昨日と今日で、自分のお金をいくら使ったニャ?」


マサル:「0だよ! 全部使ったし……でも昨日は5万勝ったんだよ!」


モチオ:「いくら投資して5万勝ったニャ?」


マサル:「勝ったり負けたりで、トータル10万くらい使ったかな」


モチオ:「今までの人生でいくら使ったニャ?」


マサル:「500万は使ってる……でも、今度は勝てる! 今は300万くらい負け越してるけどな!」


モチオ:「馬鹿の発想だニャ。一方、俺みたいなプロが今まで使った金は……」


モチオ:「0円ニャ!!!」


モチオ:「おいネコロボ、経済の基本は何だ!」


ネコロボ:「はい。それは『支出を最小限に、利益を最大限にする』ことです」


モチオ:「俺は支出0円だ! これで利益を稼いでいる。お前は必死に金をつぎ込んで稼ぎもなし……楽して金を稼ぎたい? 毎日毎日パチンコ屋に行って、ご苦労なことだニャ。で? 結局何も稼いでない。お前のやってることは経済理論でいうところの……頓珍漢とんちんかんニャ!」



モチオ:「俺はパチンコはお前の玉をもらっただけ、競馬はお前に付いていっただけだニャ! ふん、これだけで俺は大金を手にしている。これがプロだ!!」


 モチオは「決まったぜ!」と言わんばかりのドヤ顔を見せた。


がり勉猫:「経済理論としては成立していますが……単なるタカリでは? 何でしょう、このモヤッとした感じは。ちょっと理論が濁ってるんですよね……」


ネコロボ:「わかります。言語化は難しいですが、がり勉猫さんの言いたいこと、よくわかります」


がり勉猫:「モチオの経済論は、なんとなくですが分かりました。で、この話がどうやって相談内容に繋がるのでしょうか?」


ネコロボ:「そうですよ。そんな暴論を吐いたからといって、マサルさんのギャンブル依存症が治るとは思えません」


モチオ:「そんなの知っとるわいニャ!!! マサルが問題じゃないニャ!!! 深海の液晶画面で一生海底にいろニャ! アンコウと戯れてろニャ!!! もう二度と陸に上がるなニャ……」


モチオ:「おい、真美。こいつは海底魚だから、もう陸には上がれんニャ」


真美:「……えっ? どういうこと……?」


モチオ:「それより……深刻な……問題は……」


モチオ:「真美!! お前だニャ!!!!!!!!!!!」



全員:「ええええええええええええええええ!!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ