第34話 第6章 打ち上げ花火 4 劣等感
モチオ:「俺が言いたいのは、整形しても大して変わらん! ということだけニャ!」
モチオは椅子にふんぞり返り、肯定も否定もしない冷徹なスタンスを強調した。
その言葉の真意を、隣で聞いていたがり勉猫が静かに汲み取る。
がり勉猫:「……モチオさんの言いたいこと、分かりました。一見ひどい言い草ですが、そうではありません。整形をすれば、一時的に見た目も気分も変わるでしょう。しかし、根底にある劣等感までは消えない」
モチオ「そう、見た目が変わっても中身まで他人にはなれない。」
がり勉猫は両親を見据えて続けた。
がり勉猫:「一度手を出せば、目は、次は口、鼻、胸、脂肪吸引……と、際限なく繰り返す依存状態に陥るリスクがある。整形さえすれば人生が180度変わるという『過度な期待』を持つな、と。劣等感と過度な期待の相乗効果が、破滅への入り口になると仰っているんですね」
モチオ:「そういうことニャ。やろうがやるまいが、俺にはどーでもいい。金がもったいないとしか思わん。俺はそう思う、でもミズキは違う それだけニャ。」
母親:「……でも、なぜミズキが整形を強行するというのですか? なぜそれが、私たちの責任なのですか?」
母親の問いに、モチオは「やれやれ」と肩をすくめるジェスチャーを見せ、ネコロボに説明を振った。
ネコロボ:「それは、ご両親が反対すればするほど、整形への期待値が異常に膨らむからです。抑圧が強ければ強いほど、『変われないのは整形できないせいだ』『両親の反対のせいだ』と、整形を魔法の解決策のように思い込んでしまうのです」
がり勉猫:「抑圧が期待を高め、劣等感と混ざり合って、やがて依存症へと向かわせる……」
モチオ:「そういうことニャ。このまま反対だの時間稼ぎだのしてたら、劣等感だけが膨らむ。ちゃんと話し合うことだニャ」
モチオは投げやりなようでいて、本質を突く一言を放った。
両親:「……どうすれば……」
モチオ:「知らん! 俺は個人の考えを歪めるような依頼は一切受けんニャ!」
突き放すようなその言葉は、ある意味で相談者の主体性を尊重する、モチオなりの「誠実さ」の裏返しだったのかもしれない。
ネコロボ:「確かに、年齢とともに外見は変化(劣化)します。そうなると、失われる美を繋ぎ止めようとして依存はさらに強くなる。悪循環ですね……」
その光景を見ながら、がり勉猫は心の底から強く念じた。
(……これはフィクションですし、発言主はあのモチオですから。どうか小説として楽しんでください。極めて倫理観に触れるデリケートな問題ですが、あくまで……あくまでフィクションなんですよ、読者様!!)




