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第32話 第6章 打ち上げ花火 2 リフォームの惨事

モチオ:「あああ、うるせー、うるせー、うるせー!!」


ついにモチオがキレた。


モチオ:「おい! U子!」


久子「私、、、久子ですが、、、、」



両親は自分たちを指差し、困惑した表情を浮かべる。モチオのマシンガントークは止まらない。それが「空手か柔道か」の言い間違いを指摘された腹いせなのか、それとも本気なのかは誰にも分からない。


モチオ:「おい、この娘はこう思ってるニャ! 『こんな親から生まれてきて私はなんて不幸なの! こんな親のせいで私の人生は台無しだ!』ってニャ! お前らのせいだ、謝れ!」


あまりの極論に、逆にミズキのテンションがスッと下がった。


ミズキ:「いや……私、そこまでは言ってないよ。思ってないし……そこまで」


モチオ:「じゃあ、なんで整形したいんだ?」


ミズキ:「だって、今時整形なんて当たり前だよ! SNSでも整形に5000万かけた人とか普通にいるもん! 私はそこまでじゃないし!」


モチオ:「あほか……」


モチオは心底あきれたように吐き捨てた。


モチオ:「いいか、よく聞け。いい物件を買ったら、リフォームは壁紙とカーテンだけで済む。だがな! 俺の家見てみろ! 買った値段よりリフォームに金がかかってる。壁を剥がして柱からやり直しニャ!」


ミズキ:「……?」


モチオ:「リフォームに金がかかってるってことは、元がボロボロの欠陥物件だって証明してるようなもんニャ! リフォームしてみろ、後悔するぞ!!!」


一同は……ぽかんとしている。


ネコロボ:「……つまりですね。モチオさんは『整形を繰り返すと、元の自分を否定し続けることになって後悔するぞ』と言いたい……ということだけは読み取りました。あとは……」


(一同の心の声:……作者のリフォームの単なる愚痴だこれ)


ミズキ:「私、後悔なんてしない!! 整形してアイドルになる!!!」


モチオ:「いくらチューニングしようが、軽自動車は軽自動車ニャ! テメーは軽自動車でF1レースに参戦しようとしてるようなもんニャ! やめとけ。軽自動車は買い物にでも行ってろ! 公道では極めて高性能ニャ!小回り効く人生選べ!」


ミズキ:「私だって輝けるもん!」


モチオ:「あほか。軽自動車で輝いてたら、それは単なる派手なヤン車ニャ! 夜中に大黒ふ頭でたむろってろ!」


がり勉猫:「たとえ話が……極めて分かりにくいですが……」


ネコロボ:「今回、私は解釈を控えさせていただきます。……危険すぎます」


見かねた母親が口を挟んだ。


母親:「要するに、モチオさんは反対してくれているのよ……ね! モチオさん!!」


モチオ:「U子! 俺の話を聞け」


母親:「だから、、、私、久子ひさこですが……」


モチオ:「整形したい? 勝手にしろ! しかし、たいして良くはならん。以上ニャ!」


ミズキ:「そんなことないもん!! 絶対に、絶対に綺麗になるもん!!」


少女の意地と、猫の暴論。相談所の空気は、解決とは程遠い熱を帯びていく。


ミズキ:「全部変えればいいじゃん!!!」


ミズキはやけくそになった。モチオはさらに畳み掛ける。


モチオ:「ほら見ろ! やっぱり親から引き継いだものに納得がいってないニャ! なんでこんな特徴を私に引き継がなきゃいけないんだ! 全部変えたい! そう思ってるんだろうが! だから親のせいニャ! お前ら夫婦のせいだニャ!!」


ミズキ:「だから!! そんなこと言ってない!!!」


モチオ:「だったら何だ? お前の顔は親から引き継いだものニャ! それを否定するのは、自分のルーツそのものを否定しているのと同じニャ! 先祖代々全員敵に回すぞ!」


ミズキ:「……整形したいってそんなに悪いことなの?」


モチオ:「だったら! だったら親と話せニャ!! そもそも俺には関係ねーーーーーー!!!! 俺はお前の親じゃねーーーーーーー!!!」


鼻水を垂らしながら絶叫し、モチオは全責任を放り出した。


自分の暴論で現場をカオスにし、少女を泣かせ、挙げ句の果てに自分も泣きながら「無関係」を主張する。


その支離滅裂な姿に、一同は言葉を失った。


ネコロボ:「……ルーツの否定という論点に持っていくのは、さすがに極論ですが。しかし、モチオさんの言う通り、これは他人がどうこう言うべき問題ではありません。法的な同意権を持つのは、あくまでご両親ですから」


ネコロボが淡々と事務的な正論で場を収めようとする。


がり勉猫は、冷めた目で泣き喚くモチオを見ていた。


(モチオさん……絶対、親側の相談料のほうが高いから親の味方をして、面倒になったら逃げたな……)


さらに、がり勉猫は心の中でこうも思っていた。


(正直、他人が整形しようがしまいが、どうでもいい……)


だからこそ、彼はモチオの暴言にあえて深く突っ込まず、最後まで静観を決め込んでいた。

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