第17話 第3章 夢の押しつけ 6 決着の行方
人は極限の「ゾーン」に入ると、0.1秒の間に一時間の走馬灯が流れるという。
そうスポコンはこんな感じのナレーションで始まる。
ショウタの脳裏には、がり勉猫との特訓の日々が鮮明に蘇っていた。
そうスポコンはこんな感じの回想シーンがある。
ショウタ「できないよ、、、がり勉猫」
がり勉猫『……いいですか。大人は時に圧倒的な力でねじ伏せてきます。非力なあなたが力で対抗しても無駄。……分かりますか?』
ショウタ『わからないよ、がり勉猫……』
がり勉猫『その力を利用するのです! 勝つのは筋力ではありません。相手の力を自分のものにする技術です!!』
ショウタは、ゆっくりと目を開いた。
あれは!!!
コツ勉猫「かのレジェンドの打法!」
モチクロ「行けるよ!!!」
モチタ「振り子打法 イケー!!」
ショウタのバットはしなやかにその威力を吸い込み、弾き返した!
打球は二塁手の頭上を越え、センターへ!
モチタ「行ける!! 回れショウタ!!」
だが、三塁ベースコーチのがり勉猫が、必死の形相で両手を広げた。
がり勉猫「ストップ!! ストーーーップです!!!」
なんで!!!!!
コツ勉猫「あれは!かのレジェンド」
モチタ「栄光のバックホームだよ、、」
モチクロ「あれじゃー無理だよ 止まって正解だよ」
さあ
2アウト一三塁。本当の、本当の最終打席。
マウンドの父親は、依然として「ストレート」を構えている。
ショウタは再び、2ストライクまで追い込まれた。
モチオ「いけーーー!!黙って勉強しろ 糞ガキ ストレートニャ!! 毎回小テスト、月一クラス替えテスト、夏期講習に冬期講習ニャ!! この令和の時代に、5分早いと思ってたが、実際は3分遅れていたみたいな、おっちょこちょい+壊れた時計問題やれニャーーーー!!!! 答えはスマホ見ろニャーーー!!!」
父親は深く、深く深呼吸をした。そして、静かに決意を固める。
「……よし」
放たれた白球。
だが、
モチオ「なんでだニャ!! テメー、馬鹿か!! なんでここでスプリットなんだよ!!! それじゃー 回りくどいことせんでもPとCで解ける組み合わせ問題ニャ! 一発でやられるニャ!!! 円順列なんて公式あてはめて終わりニャーーーー!!」
がり勉猫「あ、……チャンスです、ショウタ君!! 曲がらない『似非スプリット』対策は万全!! いけええええ!!」
ショウタのフルスイングが、空を切り裂いた。
カキィイイイイイン!!!
高く、高く上がるボール。
それは秋の空をどこまでも彷徨いながら、吸い込まれていく。




