第138話 第26章 孤独の番人 完 5 番人の最後
モチオが依頼元へ電話を入れると、担当者は「振り込みが間に合わない」と焦った様子で、わざわざ事務所まで現金を持参してきた。
さらに、追加の条件を伝えると、旅費としてポンと100万円を手渡される。
モチオ:「ネコ建設もえらい太っ腹だニャ。さすが大手! ……というか、交渉した俺様が凄すぎるのか!」
ネコロボ:「明日は、私とがり勉猫さんも一緒に行きますね。それにしても、随分と遠い場所ですが……」
モチオ:「おい待て! 俺の成功報酬を横取りするつもりか! 許さんぞ!」
がり勉猫:「あ、いいですよ。別に。私とネコロボは『思い出の品』を運ぶっていうから、人手が必要だと思って提案しただけですから。どうぞ、お一人でごゆっくり」
モチオ:「……嘘ニャ! 嘘!! 手伝ってニャ!!」
ネコロボ:「……現金な人ですね。ところで、どんな荷物か詳しく聞いたんですか?」
モチオ:「いや、中身までは聞いてない。ま、写真とかビデオとかの『思い出の品』だろ。わざわざ100万も上乗せしてくれたんだ。マサヤ君の墓参りついでに、一泊して温泉でも浸かろうぜ!」
お留守番のコツ勉猫、学校帰りのモチタ、モチクロはその会話を聞いて、無言でモチオをジト目で睨みつける。
モチオ:「……いえ、あの、改めて……みんなで行きましょう……ニャ」
三匹の顔に、ようやく笑顔が戻った。
翌日、タツオがいたあのボロ家は、ネコ建設の手によって解体が始まった。
時を同じくして、モチオたちは指示された住所へと向かう。
モチオ:「えらい山奥だニャ……。新幹線、ローカル線、挙句にタクシーまで乗り継いで……まだ着かないのか! 近所のレンタル倉庫にでも預けとけってんだ、もう!」
ネコロボ:「ですね……空気が薄くなってきた気がします……」
がり勉猫はGPSの画面を凝視しながら、淡々とナビゲートする。
がり勉猫:「あ、次を右です。そして、その次も右……行き止まりに見えますが、その先です」
深い深い山道を切り裂くように進むと、木々に埋もれるようにして小さな小屋が佇んでいた。
モチオ:「『吉田』……『吉田』……あった、ここだ! やっと着いたニャ……」
ネコロボ:「やっと……ですね。不気味なほど静かです」
がり勉猫:「鍵、かかってませんね。……まあ、こんな山奥に泥棒も来ないでしょうけど」
三匹が恐る恐る中に入り、預かるはずの「荷物」を目にした、その時――。
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一方その頃、事務所ではモチタ、モチクロ、コツ勉猫がテレビを見ていた。
画面には、解体工事が始まったばかりのあのボロ屋が映し出されている。
モチタ:「モチオさん、成功したんだね。やっとあのボロ屋、取り壊されるみたいだよ」
モチクロ:「あそこ、15年も立ち退き拒否で開発が止まってたんでしょ? 執念だよね」
その時、テレビのアナウンサーが血相を変えて声を張り上げた。
アナウンサー:「緊急ニュースです! 本日解体された例の空き家(田所家)の中から、親子三人と見られる遺体が、白骨化した状態で発見されました! 死因は他殺と思われます。亡くなったのは父・田所勉さん、母・クミさん、娘・アイカちゃん(当時11歳)。さらに――それとは別に、身元不明の遺体、合わせて4体が見つかりました!」
モチタ:「そういえば、あそこの調査に関わったネコ建設の従業員、何人も不慮の事故で亡くなってるって噂だよ……。あの家のトラック運転手一家の田所さんが行方不明になったのも、ちょうど15年前……」
モチクロ:「当時の社長も行方不明のままだしね。呪われてるなんて言われてたけど、まさか」
テレビからは、さらなる情報が流れてくる。
『遺体が古すぎて、DNA鑑定は困難を極める模様です』
『もう一体の遺体は、当時の社長の可能性が高いものの、断定はできません
『事件は迷宮入りの可能性が極めて高いでしょう』
『なぜ、ネコ建設は長年この空き家を放置し続けていたのでしょうか――』
コツ勉猫:「え……?」
コツ勉猫は、震える手でモチオがネコ建設から受け取った「ターゲット資料」を凝視した。
コツ勉猫:「え……?? 調査対象者:名前……吉田タツオ……??」
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時を同じくして、深い山奥の小屋。
モチオ:「…………おい、これ」
経年劣化した、タツオと思われる白骨死体がそこにあった。
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タツオはなぜアケミの記憶を消したんでしょうか。
田所家を殺害したのは、本当にタツオでしょうか。
第26章 孤独の番人
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