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【3分短編オムニバス】相談を聞かないモチオ相談所 〜身勝手な人間のカルテと不適切なネコの処方箋〜  作者: モチモチオ
第 25章  HOME (15話 長編) 「未成年者略取誘拐罪」

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133/140

第133話 第25章 HOME 完 15 永遠の輝き

ある男が、高い塀の中から今、出てくる。


法という名の見えない壁は、出所した彼と娘を、物理的な距離以上に遠く引き離していた。


男は警察に深々と一礼をした後、行く当てもなく重い足取りで歩き出した。


冷たい風が頬を打つ。


自由になったはずなのに、心はあの独房の中よりも狭い場所に閉じ込められたままだった。


「……待ってたよ」


聞き覚えのある声。顔を上げると、そこにはかつての社長が立っていた。


社長:「君の帰りを待ってた。……今までご苦労さん。さあ、焼肉でも行こう」


ブンタ:「……焼肉……」


夢のような響きだった。


ジュージューと音を立てる網を囲み、脂の乗った肉を口にする。


無言で肉を頬張るブンタの前


社長:「ある男から、これを渡されたんだ。……ブンタ君、これを。」


ブンタ:「……はあ」

*************************


一方


モチオ:「俺は、コツ勉猫の幸せを思って……!!」


モチオの叫びが響く中、がり勉猫が冷徹に告げる。


がり勉猫:「コツ勉猫、まだ吐きませんよモチオさん、じゃーグラインダーの新しい刃を持ってきてください。……次、適当なことを言ったらスパッと行きますから。スパッと」


コツ勉猫:「はい!!!」


モチオ:「だから信じてくれ!! 俺はコツ勉猫のしあ……」


ネコロボ:「……いえ、親権問題です」


え?


全員が振り返る。


ネコロボ:「コツ勉猫さんは18歳になりました。18歳未満であれば保護されても抵抗できませんが、18歳を超えれば自分の意思で戻ってこられる。親権がないからです。……違いますか、モチオさん?」


モチオ:「そんな話は知らん!!」


ネコロボ:「しかし意思を確認する必要があったから、一度家に戻る必要があった。モチオさんは彼女が戻ってくると信じていた。……テレビ出演も、あなたが売ったんですよね?」


モチオ:「何の話だ!! ニャ!! もうこの話はいいだろうが! 前話でハッピーエンドだろうが!!」


ネコロボ:「つまり、意思確認しない限り追いかけてくる。いったん戻ればいいだけの話。つまりモトミさんの500万円には最初から意味がないから、吹っ掛けたのでしょう。」


モチオ:「もう、やつの電源を止めろ!! 誰か電源を落とせ!!!」


がり勉猫:「……何!! 最低です!! 最低です!!」


ネコロボ:「でも、勘違いしないでください。がり勉猫さんの釈放に金を出したのも、モチオさん。多分テレビのお金です。 ……そして、『コツ勉猫を一番信頼しているのは俺たちだ。あいつは必ず帰ってくる』と言っていたのも、モチオさんです」


静まり返る一同。


モチオは照れ隠しをかなぐり捨てて、コツ勉猫を見た。


モチオ:「コツ勉猫……。お前は科学者だ。想像じゃなく事実で答えを出す。だから行く必要があった。……でだ、行ってみて、あの親と俺たち、どっちがお前の家族だ?」


コツ勉猫:「……ここです」



モチオ:「……お帰り、コツ勉猫」


(完)





……と思いきや、




タツキが引き出しを暴いた。


がり勉猫:「何が『完』ですか!!!! 騙されませんよ!! 事実で答えを出せ? 上等です!! これを見てください!!」


引き出しから出てきたのは、なんと5円。


がり勉猫:「あれ???? 500万は!!」


モチオ:「だから知らんって!!!!」


モチタ「絶対かくしてるよ!!!」


モチクロ「さがそ! さがそ!!」


ネコロボはあることに気づく、、、


ネコロボがガタガタと奥の倉庫へ向かい、埃を被った一台の機械を持って戻ってきた。


それは、かつての図書室でタツキがクルミに手渡した、あの古びたタブレットだった。


ネコロボ:「これ……がり勉猫さんが子供の頃に使っていたタブレットですね。……通信の反応があります。電源を入れてみましょう」


画面がチカチカと不規則に明滅し、12年前のパスワードが解除される。


現れたテレビ電話の画面には、白髪が混じり、深く刻まれた皺の奥に優しい光を宿した老けた男が映っていた。


焼肉屋の店先。社長に見守られながら、震える手で端末を掲げる男。


ブンタ:「……ただいま、クルミ」


その声を聞いた瞬間、コツ勉猫クルミの目から、大粒の涙が溢れ出した。


「コツ勉猫」という仮面が剥がれ落ち、12年前のあの「少女」が、今、時を超えて叫んでいた。


クルミ:「……お帰り、パパ!」


コンビニ弁当のサンマのかば焼きを分け合った、四畳半の夜。


ネズミの耳をつけて、シュークリームを頬張りながら笑い合った、遊園地の日。



ブンタが受け取った小包には、500万円と殴り書きの手紙が置かれてた。

そこにはモチオ相談所である、クルミの住所も書かれていた。



あの日から


止まっていた親子のストーリーは、今、12年の歳月を飛び越えてひとつに繋がろうとしている。



********************


ダイヤモンドに傷がいけば その価値は下がるけど


愛情は傷ついても その価値は増していく


ダイヤモンドが永遠の輝きなら


愛情は時を重ねるほどに輝きを増していく



第25章 HOME 完

がり勉猫「事実、別居した実の子を誘拐したとして実刑を食らっている父親・母親がいます。そしてそれは圧倒的に父親に多い。共同親権など持っても、今のルールじゃ絵に描いた餅です」


ネコロボ「そう、子供が同居親から虐待を受けているなどの緊急事態であっても、連れ出しとして警察に捕まり実刑を食らいます。おかしいと感じる方のほうが自然かと思いますが、それが今の法律です」


がり勉猫「報酬欲しさに、連れ去り離婚をすれば勝ちだと弁護士が裏で手を引いているケースも少なくありません。これは国際的に大きな非難を受けていますが、日本は直す気すらありません」


モチオ「拉致したもん勝ちなんて言ってる国が、よくもどの面下げて他国の拉致被害者なんぞぬかすのかニャ! 反吐が出るニャ!」


がり勉猫「ハーグ条約を巡る諸外国からの厳しい追及が、まさにそのいい例です」


ネコロボ「共同親権になっても、これらの根本的な問題を一切解決することなく、ただ別居親からお金を取りやすくするための仕組みでしかありません。一部の弁護士たちが反対しているのは、親権を盾に揉めてもらわないと自分たちが儲からないからです。離婚ビジネスが成り立たなくなるからです」


がり勉猫「では、その『離婚ビジネス』の汚い実態とは一体なんなのか。これは次作『モチオ3(仮)』で、徹底的に解剖していこうと思います」


ネコロボ「もしあなたが片親なら、同居している母親の話を鵜呑みにしないで、しっかり自分の目で見て事実を確認してほしいと心から願っています。あなたの別居親は、あなたに会いたくても、声を掛けたくても、法律という巨大な壁の前に身動きが取れないだけなのだという事実を伝えたい。これこそが、この章で私たちが最も伝えたかったお話です。動けるのは子供であるあなたたちだけです! 親は祈る思いで毎日 奇跡を信じてます! 探して 見つけて 声をかけてあげてください 父親は実刑を食らっても あなたが自発的に父親にあいに行くことには なんら犯罪ではありません。」


(一同、深く一礼)


モチオ「ついでで結構ですので! 読者の皆様、もし少しでも胸に刺さるものがあったら、ブクマ・評価をもらえれば最高に嬉しいニャ!!! モチオのビールの肥やし、そして作者の次なる執筆の命の水になるニャ!! よろしくニャーーー!!!」

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