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【3分短編オムニバス】相談を聞かないモチオ相談所 〜身勝手な人間のカルテと不適切なネコの処方箋〜  作者: モチモチオ
第 25章  HOME (15話 長編) 「未成年者略取誘拐罪」

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第129話 第19章 HOME 11 登場

一か月後。ブンタは、約束通り自首した。


けれど、肝心のクルミの居場所については、死んでも口を割らなかった。


その頑なな沈黙は、警察の焦りを生み、やがて最悪のシナリオ――「殺害」の疑いへと変質していく。


TVモトエ:「あいつは悪魔ですわ! DVだけじゃ飽き足らず、あんなに愛していた娘にまで手をかけるなんて……! 私の、私の最高傑作を返して!!」


テレビの中では、モトエが連日、悲劇のヒロインを演じ、世間の同情を一身に集めていた。暴力、虐待、性的搾取……。ありもしない罪が雪だるま式に膨れ上がり、ブンタは「世紀の凶悪犯」として社会的に抹殺された。


それでも、ブンタは一切、口を割らなかった。


どれほど罵られようと、どれほど石を投げられようと。


裁判の結果、言い渡されたのは懲役十二年という、連れ去り事件としては異例の重罰だった。


弁護団は「冤罪だ、控訴すべきだ」と詰め寄ったが、ブンタはそれを頑なに拒否した。


控訴して争えば、クルミの居場所を特定されるリスクが増える。それだけは、何があっても避けたかった。


……こうして、ブンタの十二年に及ぶ刑務所生活が始まった。


前職の清掃員としての実績を買われ、彼は今日も刑務所内の廊下を磨いている。

腰は曲がり、かつての力強さは失われた。


けれど、清掃の手が止まるほど辛くなったとき、彼はそっと、胸の奥にある「心のデジカメ」のフォルダーを開く。


そこには、あの日、遊園地で撮り溜めた、あふれんばかりの笑顔。


牛乳瓶の底のような眼鏡をかけ、ネズミの耳を揺らしながら、

「パパ、楽しいね」と笑う、銀河系で一番大切な宝石の姿があった。


たとえ、モトエが嘘の涙で世界を騙そうとも。


たとえ、自分が一生「誘拐殺人犯」という汚名を着せられようとも。


あの十日間の記憶という「ジェイル(牢獄)」の中で、ブンタは誰よりも自由で、誰よりも幸せな父親だった。


「クルミ、自分の人生を誰にも邪魔されることなく、楽しく幸せに暮らしてくれ」


塀の中の空も 今日は快晴だった。



一方


タツキは離れでクルミと暮らすと言い張り、両親を困らせていた。


そんな朝、一匹の薄汚れた猫が迷い込んできた。


モチオ:「よし、俺は待つニャ! ここか待合所は。え? 先客か……」


男は振り返る。酒の匂いと、世捨て人のような風来坊の気配。


タツキ:「あなたは……?」


クルミ:「誰……?」


モチオ:「ニャ? 俺、モチオニャ。いやー、ブンちゃんから聞いたニャよ! 沖ノ鳥島でレアアース掘ってくるから、ここで待っとけって! 掘ったら半分やる、多分十年かかるかもってな!」


クルミ:「パパのお友達……?」


モチオ:「ああ、ブンちゃんとは飲み友達ニャ。あいつ、俺の分まで働いてくれて超楽だったのに……。ブンちゃんやめたから、サボってるのバレてクビにゃ。早く帰ってこねーかな、十年で帰ったらタワマンだってよ。ウフフ」


タツキの元に、ヨシロウから一通のメールが届く。


『モチオという猫がそちらに向かう。子供だけでは生活できないから、彼にお願いすることにした』



タツキは覚悟を決めた。


タツキ:「あの……僕がタツキで、こっちがクルミ。よろしく」


クルミはタツキの影に隠れて、怯えるようにモチオを見つめている。


モチオ:「ああ、ヨロ。金目のもんねーな……ああああああ! ビールないニャ!!! 買いに行こ」


タツキ:「あの……」


モチオ:「どうした、がり勉猫!」


タツキ:「え?」


モチオ:「お前どう見たって、がり勉だろうが。だから、がり勉猫だ。で、そこのちっせーのが、見た目同じだな、、コツコツ隠れて勉強するタイプだな。だから、コツ勉猫だ。もう決まり。以上ニャ」


……その時、


激しいノックが響いた。


「警察です」


タツキとクルミが息を殺して隠れる中、モチオがのっそりと応対に出る。


モチオ:「見たらわかるわ! お前の名前は警察か? 隣の名前はポリスメンか? どんな漢字ニャ!」


警察:「あの……クルミちゃんという子を探しています。懸賞金が三百万円かけられていまして……」


モチオ:「???……いくらだ」


モチオは、これまでにないほど深刻な顔で聞き返した。


警察:「三百万円です」


モチオ:「あ、…知ってる。」



タツキとクルミは影で震えた。もう終わりだ、売られたんだ。




……けれど。


あれ?


モチオ「カモン ポリスメン!」


外に出かけて行った。


モチオ:「あれ……このあたりにあったような……300万」


警察:「いや、クルミ(植物)を探してるんじゃないから! 少女を……」


モチオ「女の子っぽい クルミだな、 いやーーむずいな 見ても性別わかんねーーー。さすが300万」


警察「いや、、その、、、」帰ろうとしたとき、


モチオ:「それでも日本警察か! 意欲が足りん! 足を使え! 捜査は現場ニャ!!」


モチオは警察を連れ回し、山中の「植物のクルミ」を探させるという狂気の迷走を

繰り広げた。


山中で警察を振り回し、「メスっぽいクルミの木」を真剣に捜索させるモチオの背中を、タツキとクルミは遠くから見つめていた。


「あ!みつけたぞ!! あ、これはおっさん」

「あ! これは、、少年だ」

「あ! これは、、、2年生で飲み会ばっかりで帰ってこない女子大生だ」


タツキ:「……あの父上が、なぜこの人を信頼したのか。なんだか、わかるような気がしてきました」


タツキは、牛乳瓶の底のような眼鏡を指で押し上げた。


クルミ:「パパも……この人と友達?……。うん、わざとじゃないもん。真剣に探している」


論理も法も通用しないあの男 モチオである。


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