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第122話 第25章 HOME 4 家族の破綻

タツキ(がり勉猫):「お父様、どうして……! どうしてでしょうか! クルミはなぜ、外出許可が出ないのでしょうか!」


タツキの叫びが、静かな食卓に響く。


ヨシロウ(父):「……それが、クルミちゃんの『母親』から了解が出ないんだ。私ではどうしようもできない。すまない、タツキ」


ハル(母):「タツキ、これでもお父さんはだいぶ頑張ったのよ。わかってあげて」

タツキ:「そんなのおかしいですよ! 父上! 母上! ……そうだ、クルミの『お父さん』は? クルミのお父さんは、どう思っているんですか!」


タツキの問いに、両親は苦しげに視線を落とした。


その夜、タツキ家の夕食は、いつになく暗い沈黙に包まれていた。


********************************


記憶の向こう側。かつての、あたたかなリビング。


ブンタ(クルミ父):「おおお、クルミ! クルミは天才だね! すごい! 本当にすごいぞ!」


クルミ:「パパ! パパは『天才』と『クルミ』、どっちが好きなの?」


ブンタ:「クルミに決まっているだろう!」


クルミ:「じゃあ、パパ! 世界一大きなダイヤモンドとクルミなら、どっちを選ぶ?」


ブンタ:「ダイヤモンド? あんなもの、クルミに比べればただの石ころだ! クルミに代わる宝石なんて……銀河系をひっくり返して1万年探したって見つかりゃしない。いや、永遠に見つからないな!」


クルミ:「パパ、大好き!!! 私、パパと結婚する!!」


幸せな家庭の、すぐ裏側で。


テレビの画面越しに、モトミ(母)の作り笑顔が部屋を照らす。


TVモトミ:「私がクルミを産んだ時、私の上に神様が降りてきて……」


TVモトミ:「クルミは発育障害で、ADHDで、それでも私は……」


TVモトミ:「クルミは私の遺伝子なのです。私は神様から信託を受けて……」


時折、画面の端で表情を失ったクルミが、見せしめのように立たされている。


ブンタ(父):「モトミ! お前、またクルミを利用して出演料を……! 最低な母親だ!」


モトミ:「何を! 私が母親よ! あなたなんて関係ないわ、離婚よ!」


ブンタ:「何を言ってる、クルミの世話なんて全くしていないじゃないか! 料理だって、毎日毎日冷しゃぶばかり……!」


モトミ:「クルミはADHDだから、冷しゃぶしか食べないのよ!」


ブンタ:「ふざけるな! テレビ出演も今すぐやめろ! クルミは晒しものじゃない、お前の私物じゃないんだ!」


クルミの耳には、絶え間ない罵声が響いていた。


そして、ブンタの出張中に、決定的な「事件」が起きた。


数日後。仕事を終えて帰宅したブンタを待っていたのは、冷え切った沈黙だった。


ブンタ:「……ただいま。クルミ?」


返事はない。


部屋の中は、まるで最初から誰も住んでいなかったかのように、もぬけの殻だった。


そこに、モトミとクルミの姿はなかった。


銀河系にたったひとつの宝石は、母親の手によって、闇の中へ「連れ去られた」のだ。


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